西インドを中心に〇万人が居住し、徐々に人口が減少傾向にあるとされているパールスィー（拝火教徒インド人）たち。
彼らの食文化は独特で、パールスィーでないわたしたちは、パールスィー経営のレストラン（いわゆるイラーニーレストラン）などに行っても食べられない、家庭で作られる素朴な料理にありつくためには、パールスィーの友達を作るしかない。
パールスィー料理は少しムスリム料理に似ていて、肉は脳ミソから内臓まで余すところなく使うため、独特のコクと滋味がある。

そんな家庭料理の中でも最も特徴的なのは、千変万化な卵の使い方だ。
料理研究家のヴィール・サングヴィ（Vir Sanghvi）氏が先日、「あるパールスィー一家の朝ごはん」に関する次の記事をツイートしていて、興味深く読んだ。

A writer recalls her father as a man who believed in a hearty start to the day with traditional Parsi delicacies

記事の中で挙がっている卵料理だけでも、なんと10個あった。

キーマ・ゴータラ（kheema ghotala）は、挽き肉（キーマ）を卵とスパイスとともに炒った料理。

Kheema Ghotala Recipe _ How to Make Keema Ghotala (Step by Step)

セクタ・ニ・スィン・ナ・フール・パール・イーダ（sekta ni singh na phool par eeda）は、ドラムスティックの花の上に卵を落とし、じっくり熱を通した料理。
レシピが出てこない。

カーリ・ビスコット・パール・イーダ（khari biscot par eeda）は、プレーンなパイ（カーリ）を砕いた上に卵を落とし、じっくり熱を通した料理。
どんな料理なのか謎めいているが、やはりレシピが出てこない。

レーリ・ケリ・ネ・ベングナ・ニ・アコーリ（leeli keri ne vengna ni akoori）は、青マンゴーとナスのパールスィー風スパイシースクランブルエッグ（アコーリ）。

基本のアコーリは、卵に玉ねぎとグリーンチリ、トマト、ニンニク、コリアンダーリーフ（kothmir）を加えて作る。

そこに炒めたスライスポテトと大量のギー（卵8個に600グラム）を加えたものがバーローチ・アコーリ（bharoochi akoori）、ナッツとレーズンを加えるとマワ・ニ・アコーリ（mava ni akoori）と呼ばれる。

元の記事によると、さらに干したボンベイダック（Bombay duck、ウナギみたいな形の川魚で、ボンビルとも呼ばれる）、マトン（ヤギ肉）、完熟マンゴーをはじめ、冷蔵庫の残り物を何でも入れてしまうアコーリもある。

またポロ（poro）と呼ばれるパールスィー風オムレツも同様に、エビやみじん切りにした脳ミソ、骨を取り除いたボンベイダックなど、食材を自由に加える。

面白いのは、ビンディー・パール・イードゥ（bhindi par eedu、オクラ入りの炒り卵）、ケーラー・パール・イードゥ（青バナナ入りの炒り卵）、タマタール・パール・イードゥ（トマト入りの炒り卵）は、野菜嫌いのパールスィーたちが野菜を摂取するための苦肉の策なんだとか。

この記事を読んでいたら無性にパールスィー料理を食べたくなり、近所のパールスィーレストランに直行したのは言うまでもない。

なお、レシピを調べていたら、こんな素敵なサイトに行き当たった。
パールスィーの家庭料理を覗いてみる第一歩になるかもしれない。

Welcome – ParsiCuisine.com

なお、パールスィーに関するASKSiddhi（アスクスィッディ）記事は、よろしければこちらもご覧ください。

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