いつでも秀逸な接着剤フェビコル(Fevicol)のテレビCMに見る、インドの変化
Posted on 28 Aug 2019 21:00 in エンターテインメント by Yoko Deshmukh
ピユーシ・パンデイ氏が手掛けたフェビコルのCMは、このほかにもどれも二度見、三度見してしまう面白さです。
インドのテレビCMには、くだらないものも多いけれど、光るものはいつまでも記憶に残る。
有名な接着剤「フェビコル(Fevicol)」のCMも、そのひとつだ。
特に、最近よく流れてくる「フェビコル60周年」記念CMは、独特の伝統音楽の軽快な音階とリズムに合わせて、「フェビコルが繋いできた家族の歴史と変遷」を歌い上げていて、思わず見入ってしまう作品になっている。
Fevicol Sofa - YouTube
恐らく手掛けたのは、ネットフリックス・インドの番組、「The Creative Indians」にも登場していた広告業界の天才、ピユーシ・パンデイ(Piyush Pandey)氏だと思われる。
Netflix India - The Creative Indians
60周年を迎えたフェビコルの広告は、テーマがことのほか深い。
モノクロの画面には、ガンジス川と思われる大河に浮かぶ3艘の舟、うち1艘には嫁入り道具として真新しいソファーが乗っている。
このソファーは嫁ともども、絶対的な家父長制の下、尻に敷かれ酷使される。
次の場面では、無理やり見合い結婚させられた娘(最初の嫁の妹か)とともに、カバーだけを新調したソファーがダウリー(持参金)の一部として嫁ぎ先に持ち込まれる。
ソファーは再びカバーを張り替えられ、徴税官として立派に出世した息子が引き取る。
この家にはテレビもあり、お手伝いさんもいて、生活は豊かになっているようだ。
最後は映像もデジタル高画質な現代の場面になり、若い夫婦の家に引き取られたソファーに座る妻に、夫がお茶を運んでくる。
張り替えられたソファーの変化とともに、女性の社会的地位の向上もさりげなく表現しているところがいい。
こんな風に、1台のソファーにはそれぞれ60年にわたるストーリーがあって、それらをしっかりと繋いできたのが、60年前に心を込めてそのソファーを作った家具職人(が使ったフェビコル)というメッセージだ。
わずか1分半のCMだが、耳に残る音楽とともに、おもしろいだけでなく、じんわりと心温まるので、ぜひ視聴してみて欲しい。
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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