「Gully Boy」の監督がお茶の間に届けるネット配信ドラマ、「Made In Heaven」を鑑賞
Posted on 19 Mar 2019 16:57 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh
展開が早すぎていまいちストーリーに集中できないところがありましたが、全体としておもしろかったです。*Picture from Scroll.in "Amazon Prime Video series ‘Made in Heaven’ to be out in March"
最近映画館で鑑賞した、ムンバイーのダーラーヴィーから世界を沸かせるストリートラッパーの物語、「Gully Boy」に大いに感銘を受け、同じくゾーヤー・アクタル(Zoya Akhtar)氏が制作・監督したとして話題となっていた、アマゾン(Amazon)のプライムビデオ(Prime Video)配信のドラマ・シリーズ、「Made In Heaven」を9話すべて鑑賞した。
Made In Heaven - IMDB
公式トレイラー
このドラマ・シリーズは日本版のプライムビデオでも同時配信されているようなので、すでに視聴された方も多いのではないだろうか。
2018年9月6日にインド最高裁判所が廃止と判決した、同性愛を犯罪とみなす旧英領時代からの古い法律、第377条(Section 377)を軸に、首都デリーに住むアッパーミドルクラス出身のゲイ男性カラン(Arjun Mathur)とその友人でありビジネスパートナーのタラ(Sobhita Dhulipala)、彼らの家族や恋人たちの生活、そして彼らが共同経営するウェディング・プランナー(タイトル「Made In Heaven」はその社名)の事業を通じて観察した、結婚観や配偶者観、また女性の立場など、現代インドの多様な人間模様を描いた物語だ。
見どころとしては、独立した各エピソードで、同性愛とそれに対する偏見についてはもちろん、格差や男女差別など、インドが抱える闇や社会問題を取り上げているところだ。
そうした問題に主人公たちが向き合い、時には背を向ける様子を、視聴者はそれぞれの立場を想像しながら、深く考える。
他には、オープニングタイトルで流れる結婚式の映像、インド人離れした抜群のスタイルと美貌のタラが着こなすインド服をはじめとしたファッション、そして地方によって異なる結婚式の風景や慣習を垣間見られるところがよかった。
個人的には、各エピソードにもう少しまとまりとテーマへの集中が欲しかったことと、カランを中心としたストーリー展開をもっとじっくり見たかった。
わたしの大好きな俳優さん、ヴィジャイ・ラーズ(Vijay Raaz)さんも出演し、怪しげな反社会的勢力っぽい存在感をちらつかせるも、あまり出番がなく、最終話でせっかく見せ場が登場したのに、イマイチその良さが引き出せていなかったのが残念だ。
あとタラの夫アディル(Jim Sarbh、ハンサム過ぎる実業家で、大富豪という設定)の顔のパーツが、全体的に上寄りだなぁ、とかどうでもいい点が気になってしまった。
また、カランやタラ、その他の登場人物たちがそれぞれに繰り広げる、お子様と一緒にはとても観られない「スチーミーホット」な愛の交歓シーンの描写が頻出していたが、これらはインドの検閲には引っ掛からなかったのかな。
あと「Gully Boy」でもちらっと感じたことだが、ゾーヤー監督の恋愛シーンの描き方は、(ゲイであるとか否かなどまったく関係なく)わたしの個人的な趣味(笑)には少し合わないかもしれない。
とはいえゾーヤー監督は、いわゆる「普通の人々の生活」(とあるインタビュー記事にて)を描こうとしていた。
1つのエピソードの中に、幕の内弁当のようにいろいろな要素を盛り込んであるので、わたしの貧弱で低速な頭脳では、なかなか追いつけず、また記憶に残りにくかったようで、いま改めて以下で各ストーリーのハイライトを読み、「なるほど」と腑に落ちている。
※こちらの記事は完全にネタバレなので、未視聴の方はご注意
16 Powerful Moments From 'Made In Heaven' That Stay With You Long After You've Binge-Watched It
一番観てよかったなと思えたのは、マラーティー語を話すマハーラーシュトリアンな田舎者が住民の大多数を占めるプネーと比べると、デリーに集うのはインド全土から来たバラエティ豊かな人々であり、そうした多才な人々が織り成す本物の都会の、多様でカラフルな暮らしぶりを垣間見ることができたような気がしたことだ。
そしてわたしからすると、北インドの人たちには独特のかっこよさ、スマートさ、粋が備わっているように思える。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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