「ビジネスはスピード感が命」プネーで愛される韓国人経営のドーナツ・カフェ成功の秘訣

 

Posted on 02 Dec 2018 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh

オーナーさんとお話したことは数えるほどしかないのですが、人材の流動性が高い飲食業界にありながら、優秀なスタッフが長期間離職せず留まっていることからも、よい関係を築いていることが窺えます。ちなみに大好きなメニューはカステラです。



プネーでわたしがノートPCを持ち込み、勝手に行きつけの仕事場とさせていただいている韓国人経営のカフェ・チェーン、「カフェ・ピータードーナッツ(Cafe Peterdonuts)」。

Cafe Peterdonuts - Facebook

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いまでは当たり前になっている無料Wi-Fiスポットを、最も早くから提供してきたピーター・ドーナッツは、割とお金持ちそうな学生が勉強したり、主婦たちが子供のお迎えを待つ間に談笑したりする場として愛され、店舗数がたちまち増えた(プネーに少なくとも5店舗は展開している)。

また現在は想像もつかないことかもしれないが、かつてプネーではドーナッツすら食べられない時代があった。
※その頃はワダを眺めながら、「これがドーナッツだったらなぁ」と何度ため息をついたことか。
そのプネーに、揚げたてのフレッシュ・ドーナッツをもたらしてくれた最初のカフェでもあり、当時は職場近くの店舗に同僚を誘い合わせて足繁く通ったものだ。

そのオーナー、ピーター・チャンソク・ジュング(Peter Chanseok Jung)さんが、「Your Story」に取材され、そのブランドストーリーが詳細に紹介されていた。
わたしにとっては、ピーターさんはプネーに充実した憩いの場をもたらしてくださった恩人であり、末永い繁栄を願って、ASKSiddhiでも要約がてら紹介させていただきたい。

Meet the Korean who’s bringing East Asian flavours to India - Your Story

記事の始まりからしてキャッチーだ。
ピーターさんが韓国を離れ、遠いプネーで飲食業を開業しようと決意したのは、「この街に恋に落ちたから」なのだそうだ。
そうだったのか。

海外で事業を立ち上げることに関心のあったピーターさんは、たまたま長期出張で家族とプネーに1年ほど滞在する機会があり、当時から直感的に飲食業の可能性を見い出していた。
いったん韓国に戻り、勤務先だったアパレル流通関連の仕事を7年間続けて資金を貯めた。

「初めてプネーを訪れた当時、競争はほとんどなかった。その頃、コーヒー店と言えば『バリスタ(Barista)』ぐらいしかなく、カプチーノ1杯飲むのに自宅から40分ほどクルマに乗って出掛けなければならない有様だった」とピーターさん。
それが16年前だそうなので、ほぼわたしと同じぐらいの期間、プネーとの付き合いがあることになる。
だからその時代のことは、よく分かる。

2010年、ピーターさんは韓国を離れ、プネーに1号店を開業する。
「当初パン屋を考えていたが、毎日たくさんの種類のパンを焼けるかどうか定かではなかった。そこで、比較的ハードルの低そうなドーナツを売ることにした」

無料Wi-Fiの提供、(砂糖もミルクも入れないブラックコーヒー)アメリカーノの普及にも一役買ったと話すピーターさん。
確かに、ちょっと薄いけどコーヒーをブラックで飲める場所ができて、とても助かった。

ピーターさんはカフェの経営に加えて、2017年から日本料理や韓国料理を中心に提供する、「キャバレー(Cabaret)」という名のレストランも開業している。

外国人としてインドで飲食業を展開する上での困難として、厨房で使う器具や設備の納品が遅れがちだったりと、特に物流面に大きな課題があると挙げている。
また、高校中退程度の学歴しか持たないスタッフとのコミュニケーションにも苦労したと話す。

わたしはピータードーナッツのスタッフたちからたびたび、「ボスはヒンディー語がペラペラなんだ」と聞いているので、ビジネスのためにきちんと勉強されているだろう。
さらに、スタッフにも簡単な韓国語やあいさつ程度の日本語も教えているようで、時々「ありがとうございます」とか「いらっしゃいませ」とか声をかけてくれるのも、心憎い演出だ。

「キャバレー」に関しては、「本場の味は地元プネーの客に受け入れられない場合もあるので、少しアレンジして提供している。またインド料理やコンチネンタル料理の提供も始め、経営は順調だ。今年は売上が300万ルピーぐらいに達するだろう」という。

営業戦略としてソーシャルメディアでの発信に力を入れているピーターさん、インドでの飲食業成功の秘訣は、必要以上に検討に時間をかけず、集中したらすぐに行動する「スピード感」と話す。

今後、ムンバイー、ハイダラーバード、チェンナイ、ベンガルール、デリーへの事業拡大を目指している。
さらに本国の韓国では、本格インド料理店の開店も視野に入れていると言い、非常に精力的な方であることがよく分かった。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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