糖尿病患者から健康志向の人まで、奇跡の甘味果実モンク・フルーツを商用生産へ
Posted on 01 Dec 2018 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh
モンク・フルーツは、日本でも人工甘味料に用いられているケースがあるようです。*Image from NaturixSeeds.com
砂糖より300倍甘い上に栄養価が高く、しかもカロリーは低く、血圧の上昇も防ぐという、夢のような果物を、インドの研究者が栽培している。
「The Pioneer」が伝えている。
Scientists successfully grow ‘Monk fruit’ on Indian soil - The Pioneer
インドには3,100万人もの糖尿病患者がおり、その数は当然、過去最高を記録し続けている。
砂糖を含まない人工甘味料の普及も進んでいるものの、味が落ちるため、天然の原料で代替できないか、研究が続けられていた。
この度、研究者らが品種改良に取り組んだのは、中国を原産とする果物、その名も「モンク(Monk、お坊さん)フルーツ(別称Luo Han Guo)」だ。
メロンに似た緑色のウリ科の果物で、先述の通り砂糖より300倍甘く、栄養価は高い割に、カロリーは低く、しかも血圧を上昇させない理想的な砂糖代替物として注目されている。
今回、果物からの甘味料抽出実験に当たったのは、ヒマーチャル・プラデーシュ州の科学産業研究評議会(Council of Scientific and Industrial Research:CSIR)に属するヒマラヤ・バイオリソース技術インド研究所(Indian Institute of Himalayan Bioresource Technology:IHBT)の研究者。
同州パラムプル(Palampur)の実験用果樹園で、栽培に成功した。
研究に当たったチームの主任、サンジャイ・クマール(Dr Sanjay Kumar)博士によると、インドに6,240万人存在するとされる2型糖尿病患者に有効な甘味料を、モンク・フルーツから抽出できるとし、製品開発に向けてラストスパートにあるという。
これまで、資源や技術、知識の不足から、栽培が難しかったモンク・フルーツの種子を、研究者らの努力によりICAR国立土壌調査および土地利用計画局(ICAR National Bureau of Soil Survey and Land Use Planning:ICAR NBPGR)を通じてインドに輸入、商業栽培にまで持ち込んだ。
商業生産されるようになると、天然の低カロリー甘味料市場に革命を起こすことが期待されている。
IHBTの研究者チームは農業学者、化学者、植物育種者、分子生物学者で構成され、モンク・フルーツの生育に適した気候条件と農業技術を見い出している。
もちろん、糖尿病患者だけでなく、健康維持を図りたいすべての人が利用できる甘味料となる可能性が高く、今後の商品開発に注目したい。
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
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