人気ブロガーであり、セルフブランディングの極意を伝授する「かさこ塾」を運営されているかさこさんが、インド、特にわたしの住むプネーやマハーラーシュトラ州、ムンバイーにおけるコロナの状況について、ご自身の運営されている登録者数5,000人に迫るYouTube番組にてお話しする機会をくださった。
かさこさんとのご縁は、2016年に一時帰国中の福岡で開催された「かさこ塾」に参加したことがきっかけだ。
キレ者のかさこさんからのご招待でもあり、そそうがあってはならぬと、数日前からかなり緊張していたが、事前に以下のとおり質問をいただいていたので準備して臨むことができた。
また、じっくりと耳を傾けていただいたので、当初30分から60分の予定が、気付いたら90分近くお話をさせていただいていた。
もしもよろしければ、以下からご覧いただきたい。
また、動画ではうまくお伝えできなかった話は、よろしければ下記もお読みいただけたらと思う。
これ以外にもまだまだ話したいことはいっぱいある。
わたしの滑舌の悪さを呪う。
<かさこさんご質問、以下「か」>
か: はじめに自己紹介
2003年からインド南西部、国際空港のあるムンバイーから内陸180キロのデカン高原に位置するプネーに在住し、現地ソフトウェア会社に勤務、2012年2月からフリーランスとして独立し翻訳の仕事などを行う。
コロナ禍もインドに滞在していたが、2020年11月から日本に一時帰国中も現在もほぼ毎日のようにインドと連絡をとっているみたいなもの。
か: 2021年3月から急速にインドで感染爆発が起きましたが現地ではどんな状況なのでしょうか?
(身近な人がなくなった、規制状況、現在はピークアウトはした、現地在住の日本人の受け止め方など)
特に週末などを中心に厳格な外出禁止令、県をまたぐ外出が必要な人はその旨を当局に電子的に申告し、スマホ等に電子パス(通行証)をダウンロードの上で行動する義務あり。
生活必需品以外のあらゆる店の営業停止。
オンラインショッピングの配達時間の制限もあり。
参照: E-pass_ Here’s all you need to know about mandatory inter-district travel pass in Maharashtra _ Cities News,The Indian Express
最もショックだったのは団地内併設の商店オーナーで、長年店主をされていた50歳ぐらいの男性が最近、コロナにより命を落としたとの訃報。
お金を持たずに来店してもツケ払いさせてくれたり、通りかかると必ず声をかけてくれたりしてくださる優しくて素敵な方でした。
プネーやムンバイーは、第1波の時の経験から比較的早い段階で徹底的な封じ込め(クラスターの発生している団地やエリアの完全封鎖と全住民に対する検査の実施)を行ったため、幸い現在はピークアウトしていると言えるが、マハーラーシュトラ州全体での新規感染者数はまだ高く予断を許さない。
参照: Covid-19: Maharashtra crosses 25,000 deaths in May alone, Pune tops
ワクチンなどの西洋医学ではなく、アーユルヴェーダという伝統医学が効くとまじめに説くヨガ導師で、パタンジャリ(Patanjali)というブランドでアーユルヴェーダ系製品を製造・販売する会社を経営する企業家でもあり、ヒンドゥー至上主義の極右系思想家でもあるため社会的発言力が非常に高いラ〇デ☆という人物の弊害。
そのほかデマ(犬や猫などのペットや、鶏肉やマトンなどの肉食から感染が拡大するなど)等による深刻な問題もあり。
か: インドでは1月2月はあまり感染者が少なかったにもかかわらず急激にのびた理由はなんだとお考えでしょうか?
12年に1度、ヒンドゥー教の聖地のひとつであるハリドワールで開催されるヒンドゥー教徒たちの大祭事「クンブメーラー」が今年2月に開催され、一説には100万人単位の人たちが集まったことにより拡散したことが大きい。
そのほか、1月2月くらいまでの新規感染者数の落ち着きにより市民に油断が生まれ、マスクを付けず人に会ったり、パーティーや集まりなど頻繁に開催したりしている様子がSNS上で見て取れた。
その相乗的な影響だと思う。
か: ワクチン接種の状況は?またワクチンに対するインド人の考え方は?(わりと許容している方か、ワクチン懐疑派が多いのかなど)
当初は高い教育を受けている人たちですらワクチン接種に対して懐疑的で、「私は打たない」と公言していたが、現在では少なくともわたしの周囲ではワクチン接種を積極的に検討しているか、すでに少なくとも1回目を接種済みの人がほとんど。
特に義両親など高齢者には医療機関の方から接種を積極的に呼びかけスムーズな接種となっているようだ(義両親はすでにアストラゼネカ製2回の接種済み)。
アストラゼネカは2回目の接種を1回目の日付から84日間ぐらい空けることを推奨しているが、留学や就職などで海外への渡航が緊急に必要な人に対しては、必要書類を整えれば2回目を3~4週間後に接種可能(マハーラーシュトラ州とケーララ州)。
企業ごとにワクチンを確保し従業員とその家族への接種を推進する「ワクチンドライブ」。
予約なしのウォークイン接種も可能。
参照: More pvt hosps offer Covishield in Pune, Pimpri Chinchwad _ Pune News - Times of India
か: インドで第1波はいつでしたか?またその時はインドに滞在していたと思うのですがどんな状況でしたでしょうか?(身近な人がなくなった、規制状況、現地在住の日本人の受け止め方など)
散歩しているだけで警察に拘束され、パトカーに乗せられて署に連れて行かれたことがある。
道を歩いていたら知らない人に「コロナ」と言われたり、ウーバーの乗車拒否されたり(到着したドライバーがわたしの顔を見て何も言わすキャンセル)したこともあった。
これまで20年近くインドに住んでいて、差別をされたことはほとんどなく、むしろインド人たちの親日的な国民性から温かく接してもらえることばかりだっただけに、ショックが大きかった。
同時に人種差別は絶対にしてはいけないし、自分自身の言動にも一層敏感であるべきと痛感した。
第1波のロックダウンでは24時間一切外出が許されなかった。
買い物は団地併設の商店で必需品は買えるし、野菜売りが団地に来てくれるのでそこで買えるが、わたしたち外国人が欲しいもの(肉やパン、お菓子など)はあまり売っていない。
ネットスーパーもあるが、みんなが注文するので配達スロットがなかなか空かない。
日本人在住者同士で情報交換してうまく乗り切れた、そのことへの感謝は絶対に忘れない。
逃げてきたような罪悪感もあり、支えてくれた日本人の方々と、うまくコミュニケーションが取れていないことを申し訳なく思っている。
か: 11月に帰国した際、日本の空港での対応はどんな感じでしたでしょうか?
検疫は唾液による抗原検査で、結果が出るまでターミナルビル内の指定区域で2~3時間ほど待たされた。
わたしの乗ってきた便はデリー発11月10日成田到着のエアインディアで、ほぼ満席であり、その分、待ち時間も長かったのかもしれない。
検疫官(空港スタッフ?)の中には簡単なヒンディー語を話せる人もいて感慨深かった。
成田駅近くにあらかじめ自分で確保しておいた14日間の自主隔離先ホテルの前まで行ってくれる検疫運行のバスがある。
抗原検査で陰性であればそれを示すカードを提示すればそのバスに無料で乗せてもらえる。
ところが個人で帰国してきた人(日本人と外国人)は乗れるが、会社や団体から招へいを受けて入国している人(主に外国人)は、その会社や団体が移動手段を用意することになっているため、この検疫運行のバスに乗ることができない。
そのことが企業側に周知されていないのか、会社や団体からの迎えもなく、検疫運行のバスにも乗せてもらえない人をちらほら見かけた。
そういう人たちはやむを得ず公共の交通機関を使って移動していたと思う。
か: 今後インドに帰国予定などは?
日本で一人暮らししている母がいるので、母のワクチン接種が終わるまでは滞在しようと思っているが、場合によっては(インドでの状況次第では)自分の分も日本でワクチン接種を済ませようかと思っている。
か: インドについて知ってほしいことがあればぜひ。
インドは人口が多く、またこれまで数々の伝染病に苦しんできた歴史を持つ国だ。
重傷者や亡くなる方々の急増も含めて、感染者数の数だけを見ると圧倒されるし、苦しい気持ちになるが、インド(各州)政府では早期から「Chase the virus」と呼ぶ、人口密集地域や感染者の発生した地域を先回りして、症状の出ていない人々に対しても全数検査と陽性者の隔離を実施している。
それが数に表れているということだと思っている。
ワクチン不足についてだが、インドでは伝統的に欧米の製薬系やバイオテクノロジー系企業からのアウトソーシング業務を請け負い、ノウハウを蓄積してきたことから、自国製(Bharat Biotech、WHO未承認)のほか、海外企業(アストラゼネカやモデルナ)からの委託を受けて製造している工場(プネーのSerum Institute of India、通称SIIなど)もある。
ところが今回ほどの爆発的な第2波を予測できなかったために計画を誤り、海外への(いわゆるワクチン外交用の無償提供を含む)輸出が優先されてしまったために国内での不足が起きたと思う。
現在、急速にワクチン製造は挽回しており、大手企業や中小企業問わず、会社が従業員とその家族の分のワクチンを確保するなどして接種スピードを上げようとしている。
日本に伝えられる映像で見られるような、心が痛む悲惨な状況は主に低所得層の人々が頼る無料診療している公立病院で起きていることであり、プネーに関しては現時点では十分なベッド数があると、医療関係者の友人も語っている。
か: ご自身の宣伝などあればお願いします!
インド(プネー)は、わたしにとってはもはや第2の祖国であり、好きとか嫌いとかいう感情は特にありませんが、インドがなければわたしは恐らくこれまで生きてこられなかったと思います。
かさこ塾のかさこさんに刺激されて、毎日欠かさずインド情報その他を紹介するブログ「ASKSiddhi.in」を更新しています。
このブログは2003年のインド移住を決めた当時から運営しているので、かれこれ20年近く分のインドつれづれ情報が蓄積されています。
かさこ塾でせっかく学んだ課題はほとんど解決できておらず、独りよがりでビジネスなどまったく念頭にない記事ばかりですが、時々覗いていただき、インドの風を少しでも感じていただけたらうれしいです。
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なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。
=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※5月27日付けのメール、件名「新型コロナウイルス・ワクチン(在留邦人の一時帰国時のワクチン接種に係る意向調査について)」
●日本政府は,日本に一時帰国する方々を対象としたワクチン接種事業を準備中です。
●この一環としておおよその利用希望者数を把握するため,アンケートの実施にご協力ください(6月6日(日)までに回答)。
1 日本政府は現在,海外在留邦人の方々で,在留先での新型コロナウイルスのワクチン接種に懸念等を有し,日本に一時帰国してワクチン接種を行うことを希望する方々を対象としたワクチン接種事業を,今夏以降,成田空港及び羽田空港又はその周辺で実施する方向で準備を進めています。
2 事業の詳細は調整中ですが,適切な体制を整える準備の一環としておおよその利用希望者数を把握するため,以下のリンクを通じて,アンケートの実施にご協力ください(所要時間1分程度)。お一人様1回,6月6日(日)までに回答いただけますと幸いです。フォーム上最後のページで「送信」を押すことで,アンケートは完了となります。
※アンケートの回答は統計的に処理され,特定の個人が識別される情報として利用,公表されることはございません。
リンク:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe0EaSmF6nc5j0Q9R01ccAxfazHCehl1OkKeVsS4vihFl4Ohg/viewform?usp=sf_link
【問い合わせ先】
在ムンバイ日本国総領事館・領事班
電話(91-22)2351-7101
メール ryoji@by.mofa.go.jp
=== 転載終わり ==
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