ラジャスターン州で自然災害レベルの激烈な気温、摂氏51度に
Posted on 07 Jun 2019 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
「2050年人類滅亡説」はショッキングではありますが、インドのような厳しい気候の国に住んでいると、あり得ない話ではないと自然に思えてしまいます。写真は暑い日の午後、肩に乗ってシエスタするインコちゃんです。
酷暑期も終盤に差し掛かっているはずのインドだが、今年は特に激烈な暑さを極め、しかも統計を取り始めてから過去65年で1、2を争う雨不足になっている。
Deadly India Heat Wave Temperature Reaches 123 Degrees in Second-Driest Pre-Monsoon Spell in 65 Years
インド気象局(IMD:Indian Meteorological Department)によると、北部インドラジャスターン州チュル(Churu)では1日に気温が摂氏50.8度に達した。
これは、同じくラジャスターン州ファローディ(Phalodi)で摂氏51度に達した2016年5月19日以来の記録的な気温である。
同州各地は他の地域でも摂氏46度を超える苛烈な熱にさらされ、熱中症による死者も発生(出典:Phys.org)している。
今月に入り、特に暑さが厳しいのがラジャスターン州、マハーラーシュトラ州、マッディヤ・プラデーシュ州、パンジャーブ州、ハリヤーナー州、ウッタル・プラデーシュ州で、気象局では最も警戒レベルの高い「レッドアラート」警報を発令し、熱中症対策を促している。
一口に「摂氏50度の気温」と言われてもピンとこないだろう。
わたしも体験したことがないので想像もできない。
4月はじめにマハーラーシュトラ州内でも暑いことで知られるアコラ(Akola)という町を訪れた際、すでに気温が40度を超えていた。
乾燥した気候の40度、すなわち体温よりも気温が高い環境にいるだけで、何もしていなくても体内の水分がどんどん奪われていく。
まるでオーブントースターの中にいるようで、「暑い」というよりも「苦しい」という表現がぴったりの、地獄の一丁目か火焔地獄に片足を突っ込んだかのような感覚になったものだ。
それよりも10度も高い気温とは、筆舌に尽くしがたい業火であり、自然災害レベルだ。
また南アジア型モンスーンの到来が遅れており、タミル・ナードゥ州チェンナイをはじめとする大都市では水不足に対する懸念が高まっており、水の節約のため洗濯を控えるなどの動きが出ている(Phys.org)。
プレ・モンスーン季とされる3月から5月にかけての降水量がわずか99ミリと、最悪とされた1954年(93.9ミリ)以来2番目の少雨傾向となっていることが、貯水池の一層の枯渇を招いている。
ちなみにプレ・モンスーン季で最も少雨だったのは2012年で、3カ月間の降水量は90.5ミリだった。
気象局気候研究サービス課の専門家によると、一部の地域ではプレ・モンスーン季の降雨量が水不足の懸念を左右することがあり、特に土壌にまったく吸水がない状態が長く続くと、農業に深刻な影響が出る恐れがある。
ここまで読めばだいぶお分かりかと思うが、この10年の間、世界各地で異常気象が続いている。
インドの降雨パターンの変動も、そのひとつだ。
このままでは、以下の記事にある「人類は気候変動の影響で、31年後の2050年までに滅亡」という記事が、本当になるかもしれない。
Humans will perish in 31 years, warns latest climate change study
今月5日の「世界環境デー(World Environment Day)」に寄せてオーストラリアのシンクタンク、「Breakthrough National Centre for Climate Restoration」が公開した、この記事では、ムンバイー、フロリダ、上海などの港湾都市が水没し、人類の90%が滅亡すると警告している。
日本語での解説もあったので、じっくりと目を通したい。
2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測
と、ここまで記事を作成したところで、プネーに待望のモンスーンの雨、第一陣が到着したとの知らせが届き、少しだけ胸をなでおろしている。
例えば、お酒を飲み過ぎた日の翌日に二日酔いで苦しんだことがある人は、「なぜ昨晩あんなに飲んでしまったんだろう」と深く後悔しただろう。
今の地球環境は少し、この状態と似ていないだろうか。
何も考えずに便利な生活に耽溺してきた結果、地球環境は臨界を超えて爆発的に破滅への道を進んでおり、それが災いした渇きや飢えで全員が死滅するかもしれないところにまで来ている。
もしかしたら今、地球人が一体となって何か行動を起こせば、救われる道があるかもしれない。
本日最も読まれている記事
1 ポルトガル鉄道のインターネット事前切符予約 26 Oct 2016
2 空前のインド料理ブーム、でもスイーツはノーマークなあなたへ 29 May 2019
3 誰がなんと言おうと追及し続けたい翻訳者としてのキャリア 30 May 2019
4 ヤマハがインドで楽器生産開始の感慨 31 May 2019
5 インドに流れ着いた「ロスト・ジェネレーション」 02 Jun 2019
About the author
|
|
Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
|
User Comments