インドITの第一人者で伝説の実業家、アズィム・プレムジー氏が引退
Posted on 08 Jun 2019 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh
ウィプロのロゴをバッグに微笑むプレムジー氏の顔写真はあまりにもアイコニックです。
ウィプロ(Wipro)はインド第4位のIT企業だが、元は食用油の製造販売業者だった。
その劇的な変遷を率いた伝説の実業家で、「インドで2番目の富豪」ともされるアズィム・プレムジー(Azim Premji)氏が6日、50年以上にわたるキャリアを退き、会長職(executive chairman)を、今年7月30日付けで引退すると発表した。
Azim Premji: India’s second-richest man owns a second-hand car and a generous heart
73歳のプレムジー氏は21歳の時から、ウィプロの「大変革」を率いてきた。
引退後は息子のリシャド・プレムジー氏が後任となる。
インドIT業界のパイオニアとされるプレムジー氏だが、ウィプロは父親が急逝し、受け継いだ1966年当時、小さな植物油の製造業者に過ぎなかった。
当時スタンフォード大学でコンピューターサイエンスを専攻していたプレムジー氏は志半ばで中退を余儀なくされ、急ぎ帰国した。
そんな波乱に満ちた幕開けとなったウィプロは今や、IT事業を柱にコンサルティングやデジタル戦略のほか、パーソナルケア、医療、照明や家具などを展開、年間売上高80億ドル、従業員数17万人を抱えるグローバルカンパニーとなっている。
ウィプロの株式のうち74.3%をプレムジー一族が保有、インドで最も大金持ちとされるリライアンス・インダストリーズ(Reliance Industries)のムケーシュ・アムバニ(Mukesh Ambani)氏に次ぐ富豪とされている。
近年、プレムジー氏はIT業界の第一線を離れ、慈善活動にことさら熱心に取り組んでいる。
Wealthの三分の2にあたる210億ドルを慈善活動に寄付しているとされているプレムジー氏自身が、2001年に「アズィム・プレムジー財団(Azim Premji Foundation)を設立、インド全土の農村部にある公立学校の初等教育の改善に取り組んでいる。
今年3月には、自身が保有するウィプロ株式の34%、時価総額で5,275億ルピー(75億ドル)を、財団の資金源にすると約束している。
プレムジー氏はインドの国民栄誉賞にあたるパドマ・ブーシャン(Padma Bushan)およびパドマ・ビブーシャン(Padma Vibhushan)を受賞、引退後はウィプロ各社(Wipro Limited、Wipro Enterprised Limited、Wipro-GE Healthcare)の取締役としては引き続き留任しつつ、同財団を通じた慈善活動に一層邁進したいと語っている。
プレムジー氏については、従業員から買い取った中古のメルセデスベンツEクラスに乗るなどしていたり、オートリクシャーを使ったり、エコノミークラスにこだわったり、また社員たちには電気やトイレットペーパーの節約を呼び掛けるなどの、シンプルなライフスタイルを送っていることでも知られている。
なお、プレムジー氏は中退から30年を経てからスタンフォード大学に復学し、学位を取得している。
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
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