空前のインド料理ブーム、でもスイーツはノーマークなあなたへ

 

Posted on 29 May 2019 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

写真は「エリックサウス」の悶絶グラーブ・ジャームンとベビンカです。食べたい人は今すぐGO!



CNNの記事で、インドのお菓子6選を紹介していた。

6 of India's most beautiful desserts

記事の中で、ムンバイー出身で現在はニューヨークを拠点に、レストラン経営などで活躍するインド料理家、フロイド・カルドズ(Floyd Cardoz)氏の話として、「世界的なインド料理流行の陰で、お菓子についてほとんど語られることはない。インド人以外の多くにとって、甘すぎると感じられるようだ。しかし、基本的にグルテンフリーであったり(ミルク以外の)動物性の材料を使わない、または簡単にこれらの材料を別のものに置き換えられることから、ビーガン仕様にも柔軟に対応でき、手軽に楽しめる。今後はインドスイーツも人気が上昇するのでは」と話していた。

わたしも兼ねてから同じことを考えていた。
きっかけは今年はじめ、東京の友人に連れて行ってもらった麹町の南インド料理店、「エリックサウス」で、ブランデーに浸けた斬新なグラーブ・ジャームンをいただいたことだ。
むせるようなブランデーが、甘いミルクのグラーブ・ジャームンにぴったりで、癖になりそうなおいしさだった。
味わいながら、スイーツの無限の可能性に思いを馳せた。

このように、家庭で作る場合は甘味を調整したりといったアレンジは自在にできるし、またインドでも、糖尿病や肥満の患者が急増している背景もあり、徐々に砂糖の使用量を減らす傾向になってきているように感じる。

魅惑のインドスイーツ、CNNで紹介されているラインナップはどんなものか。

筆頭は「ベビンカ(Bebinca)」。
これはゴアで食べられている、ココナッツとバターをふんだんに使った、羊羹の食感に近いカスタードケーキで、16世紀にゴアに到来したポルトガル人が考えたものとされている。
他のインドのお菓子と異なり、卵を基本に小麦粉、ナツメグ、ココナッツミルクを混ぜ合わせた生地を薄焼きにし、ギーを挟んで重ねた、手間のかかるミルクレープのようなお菓子だ。

お次は我らがマハーラーシュトラ州の誇る「アームラス(Aamras、マラーティー語でアンベアツァラス)」だ。
わたしは個人的に、マンゴーはそのまま食べるのが一番おいしいと思っているが、このデザートは地方性はもとより、インドが酷暑期を迎える時期にだけありつける希少性もあって、知っている人はなかなかいないかもしれない。
作り方は至って簡単、潰してピューレ状にしたマンゴー果肉に、砂糖とミルクを加えてよく混ぜるだけ。
濃厚なマンゴープリンといったところか。
地方によってはサフランで風味を加えたり、揚げたチャパーティー(プーリー)と合わせて食べる(アームラス・プーリー)ところもあるようだ。

3番目に挙がった「ガジャルカハルワ(Gajar halwa)」も、初めて食べた時の衝撃を忘れられないデザートのひとつだ。
すりおろしたニンジンをギーで炒めながら、砂糖やカルダモン、干しぶどう、細かく刻んだピスタチオやアーモンドを加えて味付けたら、少量のミルクを加えてできあがり。
シンプルながら、焦がしギーをたっぷり吸ったニンジンの味の変化と、ナッツの香ばしさが口中に広がる。
CNNの記事では、バニラアイスクリームを添えて食べることを勧めている。

この他、ヨーグルトをプリン状になるまでしっかり水切りして作る乳酸菌のパワーたっぷりの「シュリカンドー(Shrikhand、グジャーラート)」、ミルクを煮詰めて作る味わい深い「ミシュティ・ドイ(Mishti Doi、ベンガル)」、丸く成型した甘いガルバンゾ粉生地を揚げて作る「ラッドゥー(Motichoor Ladoo)」などを紹介していた。

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※本日の「2」について補足説明する。今月26日、福岡出身インド在住の友人が博多駅近くの伝統ある住吉神社で結婚式を挙げた。お相手はインド出身フランス人男性で、なんとボリウッド女優カルキ・ケクラン(Kalki Koechlin)さんの実兄だった。新郎新婦とも頭脳明晰で、インドのみならず世界中で活躍しているが、その印象は「誠実」や「実直」という言葉がぴったりの、気さくで穏やかそのもので、にわかにその華やかな世界との繋がりをすぐに連想できず本当に驚いた。この度ありがたくも一時帰国中であったため、親族中心だった結婚式に図々しくも参列させていただいたが、このことを知ったのはそのわずか3日ほど前のこと。世界の狭さに心底たまげたが、男性とは2014年に出会ったという友人が、その事実を知った時の衝撃はいかばかりだったか。わたしはもちろん、生まれて初めて世界に名だたる大女優を間近で見て、そのオーラに圧倒された。しかしそれ以上に、義姉となった友人との間で何気なく交わされるやり取りの中に、すでに姉妹の絆をしっかりと感じられた。フランス人であるカルキさんだが、インドで生まれ育ち、インド人としての価値観もしっかり精神の中に育んでいるのだろうなと見て取れたようだった。両家の幸福をたくさん分けていただき、日本、インド、フランスをはじめ、世界各国から集まったゲストのパワーをたっぷり吸収した1日だった。そして改めて不思議な町、ポンディチェリーを訪れたくなった。





    



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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