「世界水の日」:ベンガルールの「湖を蘇らせた男」

 

Posted on 24 Mar 2019 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

過酷な炎天下で、黙々と多くの人々の今と未来のために働く人がいます。写真はあまり関係ないですが、タイはパタヤのビーチ夕景です。



このところのプネーは、ようやく気温が3月らしく上昇し、暑さが本格化してきた。
そうなってくると気になるのは水資源である。
数年前に深刻な水不足による1年あまりに及ぶ不便な計画断水を経験し、決して当たり前にあるのではない、水という資源のありがたみというのを否応なしに噛みしめることになった。

「世界水の日(World Water Day)」だった22日、年々水資源が枯渇しつつあるインドの中でも、特に水不足が慢性的に深刻化しているとされるベンガルールで、高給の仕事を投げ打って並々ならぬ偉業を重ねている人がいることを、「The Better India」が紹介していた。

Bengaluru Techie Single-handedly Revives Lake in 45 Days, Plans to Save 45 More by 2025!

ベンガルール(バンガロール)はかつて、ヴィジャヤナガル帝国の藩王ケンペゴウダI世(Kempe Gowda I)がこの地に都市を築いた時代(1537年)には、無数の湖や池などの豊富な水塊が存在していたことが、都市整備に着手する決め手となったという。

ところが1960年には262カ所あった水塊も、現在は81カ所にまで激減、うち安定した水の供給能力があるものは、わずか34カ所となってしまった。

この極めて深刻な緊急事態に立ち上がったのが、38歳のアナンド・マッリガワード(Anand Malligavad)さん。
数カ月かけて枯渇しつつある水塊の調査を行い、2025年までに45カ所を再生できると判断、着々と行動に移している。

アナンドさんは最近、36エーカーほどの枯渇した湖をわずか45日間で再生することに成功した。

「作業は2017年4月20日に開始、予算として1,170万ルピーを様々な社会活動のための資金調達を行う団体、『Sansera Foundation(当時はアナンドさんがCSR部門責任者)』から調達し、湖の周辺地域の長老をはじめ地域住民に協力してもらい、湖底に堆積していた泥40万立方メートルを除去することに成功した」と説明するアナンドさん。

枯渇していたころの湖は、地域住民が運動場にしていたり、ゴミを捨て場にしていたりと、悲惨な状態だったというが、泥を除去した後に水を戻し、また泥を湖の周辺に埋め立て、野鳥の飛来地として整え、また果物や花を付ける木々の苗およそ1万8,000本を植えている。

こうした活動にはボランティアによる協力が欠かせないが、「ある時は面積2万5,000平方フィートの土地に5,000本の苗木を植えるのに、1,500人もの有志が集まり、作業がわずか1時間45分で終わった」と、住民たちの意識も高いようだ。

わずか2カ月弱あまりの作業を経て、湖(Kyalasanahalli Lake)周辺の様子は完全に変わった。
最終的には雨水排水用に全長1.8キロメートルに及ぶ水路を建設、昨年9月の時点で、35年間枯渇していた湖が生命を吹き返したという。

この体験を経て、これまで勤めていた団体の職を辞して単独で他の枯渇水塊の調査を始めた。
昨年はヒューレットパッカード(Hewlett-Packard:HP)から750万ルピーの資金を調達し、4月5日から面積9エーカーの枯渇湖の再生事業に取り組み、わずか2カ月で深さ50フィートもの豊かな水を湛える湖として生き返らせた。

最近では、周辺の工場や製薬会社が垂れ流す排水による深刻な水質汚染により死滅した湖を、元凶の会社のひとつから810万ルピーの資金を調達し、今年2月までに再生させるなど、「鉄の意志」で黙々と仕事を続けている。

さらに「The Better India」による活動の紹介をきっかけに、世界中から支援の申し出や問い合わせが相次いでいるという。

アナンドさんの活動に対する寄付先は、こちら。

Saving India, One Lake At A Time - Join The Lake Revivers Collective

活動の大半が、湖や池の枯渇が最も進む乾季の後半から酷暑期に集中していることからも、活動の過酷さが伺える。
わずかながらの寄付をさせていただき、これからも活動を応援したい。

本日最も読まれている記事
ポルトガル鉄道のインターネット事前切符予約 26 Oct 2016
アノーキー(Anokhi)のサリーと、最近見つけた新「サリーのグル」たち 18 Mar 2019
効果てきめん、ターメリックとヨーグルトを混ぜる美顔法:くれぐれも入れすぎには注意! 25 Jul 2017
来年4月開催の「ナマステ福岡(Namaste Fukuoka)2019」ではボランティアを絶賛募集中! 17 Dec 2018

日本人と顔立ちがよく似た「セブン・シスターズ」北東部の女性、人種差別に立ち上がる 18 Mar 2017

 





      



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments