このところのプネーは、ようやく気温が3月らしく上昇し、暑さが本格化してきた。
そうなってくると気になるのは水資源である。
数年前に深刻な水不足による1年あまりに及ぶ不便な計画断水を経験し、決して当たり前にあるのではない、水という資源のありがたみというのを否応なしに噛みしめることになった。
「世界水の日(World Water Day)」だった22日、年々水資源が枯渇しつつあるインドの中でも、特に水不足が慢性的に深刻化しているとされるベンガルールで、高給の仕事を投げ打って並々ならぬ偉業を重ねている人がいることを、「The Better India」が紹介していた。
Bengaluru Techie Single-handedly Revives Lake in 45 Days, Plans to Save 45 More by 2025!
ベンガルール(バンガロール)はかつて、ヴィジャヤナガル帝国の藩王ケンペゴウダI世(Kempe Gowda I)がこの地に都市を築いた時代(1537年)には、無数の湖や池などの豊富な水塊が存在していたことが、都市整備に着手する決め手となったという。
ところが1960年には262カ所あった水塊も、現在は81カ所にまで激減、うち安定した水の供給能力があるものは、わずか34カ所となってしまった。
この極めて深刻な緊急事態に立ち上がったのが、38歳のアナンド・マッリガワード(Anand Malligavad)さん。
数カ月かけて枯渇しつつある水塊の調査を行い、2025年までに45カ所を再生できると判断、着々と行動に移している。
アナンドさんは最近、36エーカーほどの枯渇した湖をわずか45日間で再生することに成功した。
「作業は2017年4月20日に開始、予算として1,170万ルピーを様々な社会活動のための資金調達を行う団体、『Sansera Foundation(当時はアナンドさんがCSR部門責任者)』から調達し、湖の周辺地域の長老をはじめ地域住民に協力してもらい、湖底に堆積していた泥40万立方メートルを除去することに成功した」と説明するアナンドさん。
枯渇していたころの湖は、地域住民が運動場にしていたり、ゴミを捨て場にしていたりと、悲惨な状態だったというが、泥を除去した後に水を戻し、また泥を湖の周辺に埋め立て、野鳥の飛来地として整え、また果物や花を付ける木々の苗およそ1万8,000本を植えている。
こうした活動にはボランティアによる協力が欠かせないが、「ある時は面積2万5,000平方フィートの土地に5,000本の苗木を植えるのに、1,500人もの有志が集まり、作業がわずか1時間45分で終わった」と、住民たちの意識も高いようだ。
わずか2カ月弱あまりの作業を経て、湖(Kyalasanahalli Lake)周辺の様子は完全に変わった。
最終的には雨水排水用に全長1.8キロメートルに及ぶ水路を建設、昨年9月の時点で、35年間枯渇していた湖が生命を吹き返したという。
この体験を経て、これまで勤めていた団体の職を辞して単独で他の枯渇水塊の調査を始めた。
昨年はヒューレットパッカード(Hewlett-Packard:HP)から750万ルピーの資金を調達し、4月5日から面積9エーカーの枯渇湖の再生事業に取り組み、わずか2カ月で深さ50フィートもの豊かな水を湛える湖として生き返らせた。
最近では、周辺の工場や製薬会社が垂れ流す排水による深刻な水質汚染により死滅した湖を、元凶の会社のひとつから810万ルピーの資金を調達し、今年2月までに再生させるなど、「鉄の意志」で黙々と仕事を続けている。
さらに「The Better India」による活動の紹介をきっかけに、世界中から支援の申し出や問い合わせが相次いでいるという。
アナンドさんの活動に対する寄付先は、こちら。
Saving India, One Lake At A Time - Join The Lake Revivers Collective
活動の大半が、湖や池の枯渇が最も進む乾季の後半から酷暑期に集中していることからも、活動の過酷さが伺える。
わずかながらの寄付をさせていただき、これからも活動を応援したい。
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