知っているようで知らなかった、インド標準時子午線

 

Posted on 23 Mar 2019 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

統一標準時とはいえ、中国みたいにほぼ東の端に近い北京に合わせちゃうような乱暴さはないけど、やはりもうひとつ設けたほうがいいんですね。



数日前、ブエノスアイレスの顧客と電話会議することになり、アルゼンチンとインドとの時差を調べていた時に、ふと「インドの標準時(協定世界時/グリニッジ標準時+5.5時間、日本との時差ー3.5時間)はどこを基準に定めているのだろう」と気になった。
これまでは何となくコルカタ(カルカッタ、英領下1911年までの首都)かなと思ってきたのだが、さすがわれらがSharell Cookさんが回答を用意してくれていた。

What is the Time Zone in India?

標準時は東経82.5°の地点、ウッタル・プラデーシュ州イラーハーバードからおよそ40キロ南西にあるミルザプール(Mirzapur)のシャンカルガール砦(Shankargarh Fort)をインド中心子午線として定められている。



 

ただしイギリス統治時代のインドでは1884年から「ボンベイ時間」と「カルカッタ時間」の2つのタイムゾーンを運用、別に鉄道用タイムゾーンとして「マドラス時間」が運用されていた。
1906年に現在と同じインド標準時が定められても、カルカッタ時間は1948年、ボンベイ時間は1955年まで、それぞれ運用が続けられた。

ただしインドの国土は東西にも長く、アルナーチャル・プラデーシュ州東端からグジャラート州西端までは距離にして2,933キロメートル、経度にして30°、時差にして2時間分にまたがり、少なくとも2つのタイムゾーンを運用したほうが現実的だ。

実際、日昇と日没の時刻が実際と噛み合わず不便な場所も出ており、特に北東部アッサム州の茶生産者は、英領時代から続く「茶園時間(Tea Garden Time/Bagan Time)」という別のタイムゾーンを独自に設けていることなどは、Sharellさんの記事で初めて知った。

またSharellさんによれば、インド政府では再三の提案にもかかわらず、タイムゾーンを増設することに意欲的ではないようだ。

そこでインドが抱えるタイムゾーン問題については、インド科学産業研究評議会(Council of Scientific and Industrial Research)および国立物理研究所(National Physical Laboratory)の研究グループが、東部州にあたるアッサム、メガラヤ、ナガランド、アルナーチャル・プラデーシュ、マニプール、ミゾラム、トリプラ、アンダマン諸島およびニコバル諸島については世界協定時+6.5時間(現在のインド標準時+1時間)のタイムゾーンを設置すべきとして、2018年10月に発行された学術誌「Current Science」に論文という形で提唱している。

さらに2019年1月に発表されたコーネル大学(Cornell University)研究グループの発表として、インドが単一のタイムゾーンを維持し続けた場合、およそ41億ドル(2,900億ルピー)、名目上の国内総生産の0.2%を占める年間人的資本コストを発生させると推定されている。

確かに、昨年10月に初めて、プネーから1,000キロ以上東にあり、飛行機でも4時間以上かかるビハール州パトナを訪れた時、日没時間の早さに驚いたものだ。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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