数日前、ブエノスアイレスの顧客と電話会議することになり、アルゼンチンとインドとの時差を調べていた時に、ふと「インドの標準時(協定世界時/グリニッジ標準時+5.5時間、日本との時差ー3.5時間)はどこを基準に定めているのだろう」と気になった。
これまでは何となくコルカタ(カルカッタ、英領下1911年までの首都)かなと思ってきたのだが、さすがわれらがSharell Cookさんが回答を用意してくれていた。
What is the Time Zone in India?
標準時は東経82.5°の地点、ウッタル・プラデーシュ州イラーハーバードからおよそ40キロ南西にあるミルザプール(Mirzapur)のシャンカルガール砦(Shankargarh Fort)をインド中心子午線として定められている。
ただしイギリス統治時代のインドでは1884年から「ボンベイ時間」と「カルカッタ時間」の2つのタイムゾーンを運用、別に鉄道用タイムゾーンとして「マドラス時間」が運用されていた。
1906年に現在と同じインド標準時が定められても、カルカッタ時間は1948年、ボンベイ時間は1955年まで、それぞれ運用が続けられた。
ただしインドの国土は東西にも長く、アルナーチャル・プラデーシュ州東端からグジャラート州西端までは距離にして2,933キロメートル、経度にして30°、時差にして2時間分にまたがり、少なくとも2つのタイムゾーンを運用したほうが現実的だ。
実際、日昇と日没の時刻が実際と噛み合わず不便な場所も出ており、特に北東部アッサム州の茶生産者は、英領時代から続く「茶園時間(Tea Garden Time/Bagan Time)」という別のタイムゾーンを独自に設けていることなどは、Sharellさんの記事で初めて知った。
またSharellさんによれば、インド政府では再三の提案にもかかわらず、タイムゾーンを増設することに意欲的ではないようだ。
そこでインドが抱えるタイムゾーン問題については、インド科学産業研究評議会(Council of Scientific and Industrial Research)および国立物理研究所(National Physical Laboratory)の研究グループが、東部州にあたるアッサム、メガラヤ、ナガランド、アルナーチャル・プラデーシュ、マニプール、ミゾラム、トリプラ、アンダマン諸島およびニコバル諸島については世界協定時+6.5時間(現在のインド標準時+1時間)のタイムゾーンを設置すべきとして、2018年10月に発行された学術誌「Current Science」に論文という形で提唱している。
さらに2019年1月に発表されたコーネル大学(Cornell University)研究グループの発表として、インドが単一のタイムゾーンを維持し続けた場合、およそ41億ドル(2,900億ルピー)、名目上の国内総生産の0.2%を占める年間人的資本コストを発生させると推定されている。
確かに、昨年10月に初めて、プネーから1,000キロ以上東にあり、飛行機でも4時間以上かかるビハール州パトナを訪れた時、日没時間の早さに驚いたものだ。
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