ナーグプルでインド初、9割以上の下水を処理して再利用達成か
Posted on 19 Jan 2019 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh
写真は母なるガンガーの豊かな流れです。2018年10月パトナにて。
「The Times of India」で、マハーラーシュトラ州東部の主要都市ナーグプルでは9割を超える下水のリサイクルに向けて動き出していることを報じていた。
NMC to become nation’s first city to reuse 91% sewage - The Times of India
記事によると、現在もインド全土で都市部を中心に慢性的な水不足が問題となっているが、何ら対策を講じなければ当然ながら、10年後には飲料水を供給できなくなり、史上最悪の水危機に直面する恐れがある。
インドにおける給水の4割近くは地下水が占めており、「持続不可能な速度」で枯渇している。
インド政府のシンクタンク報告書ではさらに、デリー、チェンナイ、ベンガルールなどの大都市を中心に、給水の7割が「汚染されている」と警告している。
そこで当局が考えている解決策のひとつが、下水のリサイクルと再利用である。
実際、多くの都市で既に対策が始まっている。
中でもナーグプルは、9割以上の下水リサイクルに取り組むインド初の自治体となっている。
ナーグプル市自治体(Nagpur Municipal Corporation:NMC)ではまもなく下水処理場の貯水量を強化し、1日に発生する下水5億2,500万リットルのうち4億8,000万リットルをリサイクルすることを目標としている。
特に国営地熱発電所(National Thermal Power Corporation:NTPC)からは、処理済みの下水を1日あたり1億5,000万リットル供給するという約束を取り付けている。
さらに、マハーラーシュトラ州発電公社(Maharashtra State Power Generation Company Limited:Mahagenco)も、ナーグプル周辺の主要火力発電所2カ所から、1日あたり1億9,000万リットルの処理済み下水を調達できる予定となっている。
目下NMCでは処理済みの水を、冷却のためだけに毎日大量の水を必要とするNTPCとMahagencoに販売することで、処理費用を回収することを目指している。
現在、マハーラーシュトラ州政府では、地熱発電所の冷却用水やその他の工業用水として、周囲50キロメートル以内の都市に所在する業者による使用済みの処理水を使うように義務付けている。
NMCは3年前、1億3,000万リットルの下水の処理に初めて成功している。
一口に水不足と言っても、家庭用途を見ただけでも飲料水や調理用水(食器洗浄を含む)として必要とされる水はごくわずかであり、ほとんどが洗浄や冷却に利用するためのものであるなら、使用済み処理水で十分ではないか。
参照:Personal Water Use Chart
以前、「インドで歯磨きしたら、すすぎの水はミネラルウォーターにすべし」と言っていた人がいて感慨にふけった。
日本語でインド情報を発信する以上、日本の読者を意識すれば、インドの水問題なんてほとんどの人にとってどうでもいいことなんだろうが、実はこれからの未来、世界中の誰もにとって、飲用水以外は処理水を利用することが当たり前の時代が到来することを覚悟していくべきである。
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
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