人知れず苦労する人たちを決して見過ごさなかったラジャスターン州の兄弟の発明品

 

Posted on 11 Jan 2018 21:00 in インド科学技術 by Yoko Deshmukh

この世の中には「インスタ映え」する「きれいなモノ」だけが存在するのではありません。



インドはすばらしい国だが、同時にあらゆる現実が剥き出しでそこにあり、常に様々な疑問を投げかけてくる国でもある。

日本にいると、きれいな包装紙にくるまれ、なかったことのようになっている貧困問題とか、差別問題とか、廃棄物処理問題とか、大気汚染問題とかが、インドでは誰もの目に触れるところに顕在している。
それを見て「汚い」だの、「人権無視」だの、「後進国」だの、言うのは勝手だ。
しかし、自分の排泄物や自分が捨てたものが自然消滅し、跡形もなくなっている、などと勘違いするような人間にだけはなりたくないものだ。

インドのように混とんとした現実が混在した国にいることで、自らの生き方を常に問い続けることを強いられる。
しかしそんな環境に身を置いているほうが、21世紀の今、かえって地に足がついているように感じられるとは、わたしはもうすっかり「あちら側の人間」になってしまったのかもしれない。

しかし大志あるインドの若者たちは、考えるだけでなく、どんどん行動に移している。

清掃スタッフが腰を折り曲げて作業をしている姿に心を痛めたエンジニア兄弟が、作業の手助けになる機械を発明したことを、「The Better India」が報じた。

Brothers Invent Unique Machine to Improve the Lives of Sanitation Workers

ラジャスターン州のディプタンシュ・マルヴィヤ(Diptanshu Malviya)さんとムクール・マルヴィヤ(Mukul Malviya)さんは、通学時に毎日、下を向き、腰を曲げて作業する清掃スタッフを見ているうちに、かれらの仕事を楽にする方法はないか、考えるようになった。
そこで、操作もメンテナンスも容易で、企業のオフィスから公共空間まで、幅広い場所で柔軟に使用できる「ゴミ拾いマシン」を開発した。

このマシンは回転基台に取り付けられたローラーコームが、ペーパーナプキンからプラスチックまで、様々な種類のゴミをすくい上げてくれる。

この画期的な発明は、画期的な発明を称えるインドでは権威ある賞、「IGNITE Award」をはじめ、大統領官邸(Rashtrapati Bhavan)が主催する「Innovation Scholar in Residence」プログラムとしての選抜、そしてインド科学技術省(Department of Science and Technology:DST)の自治組織であり、兄弟の発明品の製品化と設計を支援する「ナショナルイノベーション財団(National Innovation Foundation)」からの認定など、一躍注目を集めている。





              



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments

Leave a Comment..

Name * Email Id * Comment *