ケテヴァン女王のものとみられる聖遺骸の一部、外相の手でジョージアに帰還
Posted on 18 Jul 2021 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
まったく知らない歴史でした。The image of the Saint-Queen relics in Goa from Wikipedia.
殉教者ケテヴァンとして知られる、17世紀の歴史的グルジア東部にあったカヘティ王国のケテヴァン女王という人物がいる。
インドと縁もゆかりもなさそうなケテヴァン女王の遺骸の一部は、実はゴアの人々の手で数世紀にもわたってずっと守られ、この度ついに故郷であるジョージアに「帰郷」した、という興味深い話題を見つけた。
400 yrs later, Georgia saint-queen returns home — from Goa church
内紛を平定し、渡航した先のサファヴィー朝イランで、シャー・アッバース大王にキリスト教信仰を放棄してイスラム教に改宗することを迫られたが、これを拒絶したために拷問を受けた末、1624年に殺害されたと伝えられている。
そして1627年に、女王の最期を見守ったポルトガルの宣教師たちが、その遺骸をゴアに運んだとされていたが、その所在は長い間、謎のままだった。
それから400年後の今月10日、スブラマニヤム・ジャイシャンカル(S Jaishankar)外務大臣は今月10日、ジョージアの首都トビリシを歴訪、式典の中で同国政府と国民を代表する全グルジアのカトリコス総主教(Catholicos-Patriarch of All Georgia)であるイリア2世(His Holiness and Beatitude Ilia II)、およびジョージアのイラクリ・ガリバシビリ(Irakli Garibashvili)首相へ、自ら聖遺骸を手渡した。
ケテヴァン女王のものとされる遺骸の発見から返還までの、根気と忍耐の必要な交渉は、まさに長年にわたる外交的要請と努力の集大成だった。
ケテヴァン女王の足跡は長い年月を経て忘れ去られていたが、中世ポルトガルの記録に関する研究者らの粘り強い調査と研究が実り、2005年、その遺骸がついにオールド・ゴア(Old Goa)の聖アウグスティヌス教会(St. Augustine Church)で発見された。
その後インド考古学局(Archaeological Survey of India)の依頼により、ハイダラーバードにある「細胞分子生物学センター(CSIR-Centre for Cellular and Molecular Biology)」がDNA解析を実施、ケテヴァン女王のものであることはほぼ間違いないと確認した。
2017年、ジョージア政府の要請により、インドはこの聖遺骸を6か月間、同国に貸し出し、イリア2世がこれを自らの手で受け取った。
この時、遺骸は展示されて一般公開され、予想を大幅に超える関心を集めたため、期間がさらに6か月延長されて2018年9月30日、インドに返還された。
インド政府筋は、歴史的に貴重な遺骸の譲渡について、次のように語っている。
「聖遺骸の恒久的な譲渡を求めるジョージア側からの熱心な要求を検討し、またジョージアの人々が(グルジア正教会やローマ・カトリック教会の)聖人であるケテヴァン女王に対して抱く歴史的、宗教的、精神的な感情を考慮に入れ、インド政府はその一部を贈ることに決めた。」
10日の引き渡し式で、ジャイシャンカル外相は次のように話した。
「今日はジョージアだけでなく、インドにとっても特別な日です。聖人であるケテヴァン女王の聖遺骸を、ジョージアの人々の手にお渡しできることを光栄に思うとともに、私個人としては、この大きな仕事が、ジョージアへの初訪問の目的であることを、幸運なことであると受け止めています。
聖遺骸は、17世紀からずっとゴアの聖アウグスティヌス教会(St. Augustine Church)に保管されていました。この遺骸がジョージアの人々にとって持つ、計り知れない精神的価値に思いを馳せ、ゴアの人々は当時から、この神聖なる遺産を自分たち自身のものとして大切にしてきたのです。その返還は、ジョージアとインド、両国の温かで友好的な関係の証しです。特に、この宝を敬虔に管理してきた、ゴアの善良なる人々に感謝します。彼らこそ、信仰を尊重するというインドの伝統に忠実であることによって、インドに誇りをもたらしたのです。
ケテヴァン女王の殉教は、勇気と犠牲の物語です。その遺骸は、女王の生涯が閉じるまでの数年間を共に過ごした、2人の献身的なアウグスチノ修道会の修道士によって、インドに運ばれました。聖遺骸の一部は、2か国が共有した歴史の証しとしてインドに残すことにしましたが、今回、永久にジョージアに戻ってきた一部は、今後この土地を訪れる人々に勇気を与え続ける存在になるでしょう。
インドとジョージアとの交流の痕跡となる遺骸が存在することは、両国間の信仰の架け橋でもあります。今後は少しずつ、両国の人々が、精神性と友情とで築かれたこの橋を相互に往来することを望んでいます。」
また、聖遺骸を守ってきた、ゴアとダマンの大司教(Archbishop of Goa and Daman)の秘書である、ホアキン・ロイオラ・ペレイラ神父(Father Joaquim Loiola Pereira)は次のようなコメントを寄せている。
「ゴアの教会は、ケテヴァン女王の遺物の捜索に熱心に取り組んでいましたが、ポルトガルの研究者らと、インド考古学局の考古学者らによる合同調査が実り2005年、ついにオールド・ゴアの聖アウグスティヌス教会の廃墟で発見されました。
少なくとも『遺骸の一部』が、インド政府によりジョージアの政府と国民に引き渡されたことをうれしく思っています。聖人ケテヴァン女王はジョージアに属し、ジョージアは女王が帰るべき場所だからです。」
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なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。
=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※7月17日付けのメール、件名「海外在留邦人向けワクチン接種事業:接種までの流れ」
●日本に一時帰国してワクチン接種を行うことを希望する方々を対象としてワクチン接種の予約受付を7月19日から開始します。
●インドを含む指定宿泊施設での10日間の待機が必要とされる国・地域からの入国者に対しては、医師等が週に2日(月曜日及び金曜日)宿泊施設を巡回し、接種希望者に対して接種を行うこととなります。
1 7月19日正午(日本時間)から、在留先でのワクチン接種に懸念等を有する海外在留邦人等を対象とした新型コロナ・ワクチン接種事業のインターネット予約受付を開始します。本事業での接種を希望される方は、特設サイトを通じて事前の予約をお願いします。
なお、特設サイトへのリンクは、予約受付の開始と同時に外務省海外安全HP(https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/vaccine.html)に掲載いたしますので、そちらを御確認ください。
2 インドを含む指定宿泊施設での10日間の待機が必要とされる国・地域からの入国者に対しては、医師等が週に2日(月曜日及び金曜日)宿泊施設を巡回し、接種希望者に対して接種を行うこととなりますので、「巡回接種予約枠」で予約を行ってください。(巡回接種枠を予約できなかった方及び待機期間後に接種を希望される方は空港の接種会場で接種いただきます)。
(ご参考:接種までの流れ)
https://www.mumbai.in.emb-japan.go.jp/files/100213787.pdf
【問い合わせ先】
在ムンバイ日本国総領事館・領事班
電話(91-22)2351-7101
メール ryoji@by.mofa.go.jp
=== 転載終わり ==
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
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