プネーで、コロナ感染を経験した人の間にまれな真菌感染症
Posted on 17 May 2021 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
「Black Fungus」というワードを見て真っ先にプネーの留守宅の押し入れや壁を想像してしまいましたが、事態はもっと深刻です。全然関係ありませんが、写真は11年ほど前に、プネーのどこかで撮った空です。
かれこれ半年ほど空き家になっているプネーのわがボロアパートの室内は、今どんなことになっているんだろうと考えれば考えるほど不安が拭えない中、何やら恐ろし気なニュースがわたしの目をキャッチした。
この2か月ほどの間に「黒色真菌(black fungus [原文]、参照: 堤寛ライブラリー PATHOS TSUTSUMI)」とかいうものが蔓延し、新型コロナウイルスに感染し、弱った人々をさらに窮地に追い込んでいるというのだ。
Pune: Black Fungus claims 9 lives at YCMH, 2 lose vision in one eye
「黒色真菌」またはムコール感染症(mucormycosis)は、新型コロナウイルスに感染した患者に見られる稀な真菌感染症で、西部工業地帯であるピンプリ・チンチワッド(Pimpri-Chinchwad)のヤシュワントラオ・チャワン記念病院(Yashwantrao Chavan Memorial Hospital、YCMH)では9名の命を奪い、2名は片目の視力を失ったと報告している。
同院では現在、真菌感染症に罹患している患者が40~50人ほど治療を受けており、院長によれば「半数が新型コロナウイルス感染症から回復し、同院を退院後の再入院、残りは他院から同感染症により転院してきた」という。
また院長によれば死亡者はムコール感染症が主な死因であり、新型コロナウイルス感染症は二次的な原因であるとしつつも、ムコール感染症は新型コロナウイルスが原因で発生している可能性があるとしている。
そこで同院では、新型コロナウイルス感染症から回復した患者たちに、医師に処方された薬による治療計画をきちんと遵守することを求めている。
特に血液を希釈化する薬は、自己判断で突然服用を止めると、この感染症の特徴である鼻やあごに黒色真菌を形成する恐れが高いと指摘、「ムコール感染症が独立した死因となることはなく、新型コロナウイルス感染症および回復後の合併症が原因で発生するもので、通常は顎に黒色真菌の形成が見られ、これが目や脳に広がると、治療せず放置すると死に至ることがある」と警告している。
ムコール感染症は特に、新型コロナウイルス感染症の重症化により集中治療室での治療を受け、抗生物質、ステロイド、レムデシビルの投与を受けた人に多く見られるとし、「新型コロナ感染者のうち、特に高血糖などの併存疾患のある患者は要注意である」としている。
ただし、「新型コロナウイルス感染症からの回復後、処方薬をきちんと服用し、かつうがいには適量を希釈した消毒薬の溶液を使用するなどの措置を講じれば予防できる」と、同院では説明している。
なお、ムコール感染症は第1波の時にはほとんど見られなかったが、第2波が襲来中の今、新型コロナウイルスから回復した人が頭痛や軽度の発熱、鼻道の詰まり、鼻血や鼻からの黒っぽい粘液の漏出、片方の顔面だけの痛み、顎の異常発赤、歯の激痛、かすみ目などを訴える現象が観察されるようになったと同院長は付け加える。
別の病院に勤務する医師は、ステロイドの過剰使用と非管理の糖尿病が黒色真菌の2大温床となっているのではと指摘、(新型コロナウイルス感染症患者の体内の炎症を緩和するために用いられている)ステロイドを慎重に使用し、患者の血糖値の上昇を制御すれば、真菌の増殖を抑えることができるものとしている。
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なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。
=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※5月11日付けのメール、件名「新型コロナウィルスに関する注意喚起(マハーラーシュトラ州におけるロックダウン及び活動制限、E-Pass取得)(2021年5月11日)」
●タクシーやハイヤー等公共交通機関を利用して空港に行く場合は、旅券、Eチケット等があれば、現下の状況(ロックダウン中)であっても、通行許可証等なく移動することが可能です。
●私用車を利用して、空港へ向かう場合には事前にマハーラーシュトラ州警察オンラインポータルもしくは、最寄りの警察署にてE-Pass取得をしていただき、検問等において提示出来るよう準備を願います。
1 当館にて現下の状況(ロックダウン中)の移動制限に関して管轄警察に確認したところ、タクシーやハイヤー等公共交通機関を利用して空港へ赴く場合には、理由が証明できる書類等(旅券、Eチケット、その他業務上必要な理由を疎明する書類や社員証など)があれば、通行許可証等は必要ないとのことです。他方で、私用車を利用して空港へ向かう場合には、警察が発行するE-passを申請していただき、予め車両情報等を登録する必要があるとのことです。
2 今後、ムンバイ空港から運航される全日空便で帰国を予定されている方で、私用車の利用を検討されている方は、警察が発行するE-passを事前に取得していただき、検問の際には提示できるよう準備願います。
取得の方法については、マハーラーシュトラ州警察オンラインポータル(https://covid19.mhpolice.in/registration)から申請、もしくは、最寄りの警察署に関係書類を提出して取得することが可能です。
【問い合わせ先】
在ムンバイ日本国総領事館・領事班
電話(91-22)2351-7101
メール ryoji@by.mofa.go.jp
=== 転載終わり ==
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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