一人でも多くの命を救うべく安価な人工呼吸器の開発合戦、インドでも
Posted on 02 Apr 2020 21:00 in インド科学技術 by Yoko Deshmukh
地球上の全人類が被災者となった未曽有のパンデミックによる外出自粛は、学びの機会にものなっています。画像はBBC Worldより。
新型コロナウイルスが猛威を振るう世界中で、重症患者の命綱となる人工呼吸器の数が足りないことを、インドの報道局NDTVやマラーティーニュースチャンネル、そして海外のBBCやCNN、Al Jazeeraでも繰り返し報じている。
乗用車メーカーとして知られるスズキは、インドでの人工呼吸器生産に乗り出す。
スズキ、インドで人工呼吸器を生産 _日本経済新聞
そうした報道に接するうち、病院などで見かける大掛かりな人工呼吸器は、自動稼働型で1台あたり数十万円程度する高額なものであることも分かり、今回のように感染が急拡大するパンデミックの状況下、インドにどの程度の用意があるのかはとても気になっている。
BBC報道によれば現時点ではインドに4万8,000台程度しか人工呼吸器がないとされている。
最近、オンライン版で紙面版を購読している「The Hindu」には、インド工科大学ハイダラーバード校(IIT-Hyderabad)が、手動で酸素を送り込む小型人工呼吸器、「バッグ換気型マスク(Bag valve masks)」、別名アンビューバッグ(Ambu bag)の生産を急ピッチで進めるようインド政府に提言している、との記事があった。
‘Bag valve masks’ pitched as alternatives to ventilators
このマスクであれば、1本5,000ルピー程度と、自動人工呼吸器の100分の一程度の価格で導入でき、数カ月以内に数百万本程度の大量生産にこぎつけてインド全土に配布することができれば、救える命が大幅に増えると説明している。
実際にはこのアイデアは新しいものではなく、既に各国で3Dプリントに対応した設計図が無料配布されている。
IITの試算では、インドでは最大8,000万人が新型コロナウイルスに感染し、うち5%にあたる400万人に人工呼吸器が必要となる恐れがある。
そうした中、プネーのスタートアップ企業が、低価格の人工呼吸器を開発していると、BBC Worldが報じていた。
Coronavirus: India's race to build a low-cost ventilator to save Covid-19 patients
設立2年程度のNocca Robotics社は、昨年の売り上げは270万ルピーだが、同社に在籍する機械工学、電子工学、宇宙工学などを専攻したエンジニアの平均年齢は26歳と非常に若い会社だ。
同社は1台5万ルピーで移動式の人工呼吸器を生産できるとして、5日間で3台のプロトタイプ機を立て続けに制作、人工肺と血中に酸素を供給して二酸化炭素を排出する人工器官でテストを行い、今月7日までには承認を受け次第患者にもテストできる状態となっていると発表している。
開発の指揮を執るのはIITカンプール(Kanpur)校で生物化学およびバイオエンジニアリングを専攻したアミターバ・マンディヨパディヤイ(Amitabha Bandyopadhyay)氏。
インターネット上でオープンソースとして開放されていた医療機器グループで人工呼吸器を開発するために必要な情報を検索し、許可を得てからわずか8時間で最初のプロトタイプを完成させた。
同社は医療機器メーカーなどからの協力を得て、5月中旬までに1日150~200台、最大3万台の人工呼吸器を生産することを目標にしている。
インドのソーシャルインフルエンサーやアメリカの医療機器大手メーカー経営者から、肺専門医、循環器専門医、科学者、イノベーター、ベンチャーキャピタリストなどに至るまで、一流の専門家らとZoomなどのオンライン会議システムでつながり、資金調達やアドバイスを次々と受けているのはいかにも21世紀だ。
現在は、圧縮酸素の供給ができないような、農村部の診療所などで、酸素ボンベを用いた稼働ができるかを検討している。
なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。
=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※4月1日付けのメール、件名「日本政府による水際対策強化に係る新たな措置の発表」
●4月1日、日本政府は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う水際対策強化
に係る新たな措置として、インドを含むすべての国・地域からの日本人を含む入
国者に対し、検疫所長の指定する場所(自宅やホテルなど。以下3の厚生労働省作成のQ&Aを御参照願います。)で14日間待機すること、日本国内において公共交通機関を使用しないことを要請することを決定しました。
●本措置は、日本時間4月3日午前0時以降に日本に到着する飛行機等から対
象となります。したがって、4月2日、3日、4日のデリー発の日本航空便及び
4月3日、5日、8日のデリー発の全日空便をご利用される皆様は本措置の対象
となります。
●なお、日本でのトランジットのために上記航空便を利用される方は、経由地と
なる日本で入国手続きをしない場合、上記措置の対象となりません。また、日本
で入国手続きをする場合は、日本滞在中は上記措置の対象となりますが、14日
間の経過を待たずに出国することは可能です。
在留邦人及び短期渡航者の皆様へ
本1日,在インド大使館が管轄内の在留邦人に対し以下の領事メールを発出したので,お知らせします。
1 4月1日、日本政府は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う水際対策強
化に係る新たな措置として、インドを含むすべての国・地域からの日本人を含む
入国者に対し、検疫所長の指定する場所(自宅やホテルなど。以下3の厚生労働省作成のQ&Aを御参照願います。)で14日間待機すること、日本国内において公共交通機関(注)を使用しないことを要請することを決定しました。また、厚生労働省によると、待機場所及び空港から待機場所に移動するための使用交通機関については、家族や所属会社等を通じて事前に確保することとされていますので、ご注意ください。
(注)鉄道、バス、タクシー、国内航空路線等含む。ただしレンタカー、借り上
げハイヤー、家族による送迎は可。家族による送迎の場合、出迎えに来た方は、
帰国者と同乗したという理由では自宅待機の必要はありませんが、帰国者が帰
国後に陽性が確認された場合には、濃厚接触者になるため、その時点から待機等
が必要になります。
2 本措置は、日本時間4月3日午前0時以降に日本に到着する飛行機等から
対象となります。したがって、4月2日、3日、4日のデリー発の日本航空便及
び4月3日、5日、8日のデリー発の全日空便をご利用される皆様は本措置の対
象となります。なお、本措置は4月末日までの間、実施されます。
3 なお、日本でのトランジットのために上記航空便を利用される方は、経由地
となる日本で入国手続きをしない場合、上記措置の対象となりません。また、日
本で入国手続きをする場合は、日本滞在中は上記措置の対象となりますが、14
日間の経過を待たずに出国することは可能です。
参考:厚生労働省HP「水際対策の抜本的強化に関するQ&A」3月26日時点
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou_00001.html
参考:本水際対策強化措置の詳細については、以下の厚生労働省の連絡先にお問
い合わせください。
海外から:+81-3-3595-2176(日本語,英語,中国語,韓国語に対応)
4 上記に加え、水際対策の強化の取組として、以下の訪日外国人に係る査証制限措置が決定されています。
(1)インドを含むすべての国・地域に所在する日本国大使館及び総領事館で
4月2日までに発給された一次・数次査証の効力を停止。
(2)査証免除措置の適用を停止。
上記査証制限措置も、4月3日午前0時から4月末日までの間、実施されます。
なお、日本国籍を有する方が日本に帰国する際に、外国籍を有する配偶者や子
供を同行させるなど、人道的観点から緊急の訪日の必要性が認められる場合に
は、居住地を管轄する日本大使館または総領事館に新たな査証を申請すること
ができます。
なお、再入国許可(みなし再入国許可を含む)を取得している方は、新たな査証を取得することなく,引き続き訪日は可能です。
(各種情報が入手できるサイト)
インド政府広報局ホームページ
https://pib.gov.in/indexd.aspx
インド保健・家庭福祉省公式ツイッター
https://twitter.com/MoHFW_INDIA
インド入国管理局ホームページ
https://boi.gov.in/
在日インド大使館ホームページ
https://www.indembassy-tokyo.gov.in/jp/index_jp.html
外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/
厚生労働省ホームページ:新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
このメールは,在留届にて届けられたメールアドレス及び旅レジに登録されたメールアドレスに自動的に配信されております。
【問い合わせ先】
在ムンバイ日本国総領事館・領事班
電話(91-22)2351-7101
メール ryoji@by.mofa.go.jp
=== 転載終わり ===
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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