大臣に問う!経済的なのは自家用車か配車サービスか、費用を比較した人

 

Posted on 17 Sep 2019 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh

写真は2007年10月ごろの、ムンバイー国際空港前のタクシー駐車場です。



ニルマラ・シーターラーマン(Nirmala Sitharaman)財務大臣が10日、「国内の自動車産業の低迷は、ミレニアル(Millenials)世代がウーバー(Uber)やオーラ(Ola)などの配車サービスばかりを利用して乗用車を購入しなくなったせいだ」、などと国民に責任転嫁するかのような発言をしたことが大いに炎上し、ツイッター上には「#BoycottMillennials」というハッシュタグが出現、「〇〇が悪化したのは、ミレニアルが△△しなくなったせいだ」の空欄を皮肉で埋める大喜利で盛り上がっている(例えば『国内の銀行の業績が伸び悩んでいるのは、ミレニアルが香港上海銀行(などの海外の銀行の優れたサービス)を選んでいるせいだ』とか、『ケーブルテレビの契約件数が減少しているのは、ミレニアルがNetflixばかり観ているせいだ』など)。

これを受けて、チェンナイを拠点とする「The Hindu Business Line」の記者が、乗用車の購入・保有・保守と、配車サービスの利用、どちらが経済的なのかを単純計算で比較している。

Owning a car vs hiring Ola-Uber: What does math say?

チェンナイでのウーバー運賃、すなわち1キロメートルごとに平均20ルピーとして、ミレニアル世代が購入する車種の中でも代表的なハッチバック式乗用車の価格を計算した結果が以下である。

ハッチバック式乗用車を2014年に新車で購入したとして、当時の平均価格は70万ルピー。
頭金が平均20万ルピーなので、残り50万ルピーで自動車ローンを組むと、金利9%分の12.3万ルピーが上乗せされ、総額82.3万ルピーとなる。
この乗用車を2019年の現在、売りに出すと、だいたい30万ルピーで売れるので、乗用車にかかる実質的な費用を52.3万ルピーと仮定する。

この乗用車に掛ける車両保険は、5年間で平均7万5,000ルピーとなる。
また整備費用は年間で平均1万ルピー、5年間で5万ルピーである。

そしてここに、燃費が加わる。
こうしたハッチバック式乗用車の燃費は、一般的な都市部の走行でリッターあたり10キロメートル、1日平均25キロメートル走行したとして、毎月の走行距離は700キロメートルとなる。
現在のガソリン価格、リッター70ルピーで計算すると、5年間の燃費は29.4万ルピーとなる。
加えて、駐車場代やシートカバー交換などの雑費が5年間で平均1万5,000ルピーかかる。

以上をすべて合計すると、1台の乗用車に5年間にわたり負担している費用は少なくとも95.7万ルピーとなり、キロメートルあたりでは23ルピーとなる。

これに洗車を依頼したり(チェンナイでは月1,500ルピーくらいが相場)、さらには運転手を雇ったり(同1万2,000ルピー)するとさらに負担は増え、最高キロメートルあたり42ルピーの出費となると計算している。

しかし当然ながら、自家用車を所有するコストを1キロメートルあたりに換算した23~42ルピーを、単純にオーラやウーバーの平均運賃である20ルピーと単純に比較することはできない。
深夜料金や、混雑時の特別料金などとして、最大30ルピーかかることもあるし、またクルマを所有しないことによる不便、具体的には深夜や人口の少ない地域への移動が思い通りにできないこともあるだろう。

インド政府は電気自動車を普及することを政策のひとつに掲げており、その一環として自動車の購入時にかかる税金を無茶に引き上げる措置を講じていることが、自動車販売台数の急減を招いているというのが、多くの人の意見だ。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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