「ホワイトカラー奴隷」はもうたくさん、大手多国籍企業などを相手に技術者が蜂起
Posted on 12 Sep 2019 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh
ハイダラーバードの最新の写真がないため、こちらはバンコクの景観です。
インドIT企業でまとまった期間、働いた経験や、現在とあるプネーのインドAI系企業に定期的に通わせていただいている日々からの観察で分かることは、高度な頭脳を駆使して新しい時代を切り拓く開発作業に勤しむエンジニアたちは、総じて仕事が大好きで、朝早くに出勤して作業に集中している人たちの姿は珍しくない。
故にワークライフバランスを崩しやすく、またそのことになかなか気づきにくいのかもしれない。
Techies drag IT companies to court over long work hours, bad leave policies
テーランガーナー州高等裁判所では、外資系を含む大手IT企業に、技術者など従業員の労働環境改善を要請している。
これは、ハイダラーバードでIT業務に従事する人々が中心となり提出された(Public Interest Litigation、PIL)の内容を受けてのもの。
具体的には、週48時間を超える勤務、残業手当の無支給、年間の休日数45日未満などの事例が、インド憲法の保証する「搾取に対抗する基本的権利(Fundamental Rights Against Exploitation)」を侵しているとするものだ。
本来、「テーランガーナー(旧アーンドラ・プラデーシュ)州店舗および施設法(Telangana Shops and Establishments Act of 1988)」では上記の権利を保証するため、従業員は1日8時間、1週間に48時間を超えて労働させてはならないこと、および週6時間、年間24時間を超える残業には残業手当を支払うこと、年間15日の有給休暇、12日の疾病休暇を保証すること、などが定めてある。
しかし、政府特別命令(Government Order、GO)では、IT企業については過去17年間、この法律の適用が免除されていた。
GOの適用免除は、ハイダラーバードをインド随一のITハブに整備しようと動き出した2002年、当時の州政府による仮措置だった。
上記の他、同法律で定められた営業時間や、退職時の従業員の保護といった規定までも適用が除外されている。
しかし、これまでも繰り返しIT企業従事者による訴えがなされていたにもかかわらず、同州では適用免除の措置を延長し続け、最近では今年にも、2年の延長が決まったところだった。
今回、高等裁判所に提出されたPILでは、この免除が搾取的であるとして、大手外資系を含む複数のIT企業と同週の労働局に対し、改善を求める訴えを起こしている。
これを受けて高裁では、対象となっている企業およびテーランガーナー州政府に対し、4週間の猶予を与えた上で回答を求めている。
陳述の中には、通勤時間を除いて1日10時間を業務で拘束される状態が続いているが、残業手当が支払われたことがなく、また通勤にかかる時間も、年々深刻化する渋滞により、出社時刻の少なくとも2時間前までには自宅を出なければならず、1日にひどい時で5〜6時間が通勤に費やされているとして、ワークライフバランスが著しく損なわれていると指摘するものがある。
別の陳述では、休日でもワッツアップ(WhatsApp)などのインスタントメッセンジャーアプリを常時対応できる状態にしておくことを求められるなどの被害も訴えている。
こうした劣悪な労働環境を強いられる技術者らについて、関係者らは「ホワイトカラー奴隷(white collared slavery)」と呼んでいる。
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
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