ウガンダからの移民が10年で100倍に?その謎に迫る
Posted on 25 Jul 2019 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
オチはともかく、インドとウガンダとの関係について、ひとつ賢くなりました。
過去10年間でウガンダから大量の「移民」がインドに押し寄せているらしいことを示すインド国勢調査の結果とその分析を、BBCが紹介していた。
The puzzling 'mass migration' of Ugandans to India
2001年には694人だったウガンダからの移民者・帰還移住者(インドに移住したウガンダ国籍保有者と、ウガンダから帰国したインド国籍保有者)が、2011年には15万1,363人に膨れ上がっている。
これは、バングラデシュやネパール、パキスタン、スリランカなどの近隣諸国に次ぐ
しかもうち女性が11万1,700人(2001年は339人)と、男性3万9,663人(2001年は355人)を圧倒的に上回る。
「India Moving: A History of Migration」の著者、チンマイ・トゥンベ(Chinmay Tumbe)氏によれば、結論は当局による計算間違いだろうということだ。
理由としては、このいびつな男女差と、2011年に「インドに10年以上居住している」と回答したウガンダからの移民者が7万7,000人以上もいるのに対し、2001年の国勢調査が明らかにしたウガンダからの移民者は694人しかいないという矛盾である。
もともと、国勢調査への回答票は簡潔な作りとなっており、現居住地の前に海外に住んでいたと選択した回答者が、居住国を書き込むようになっている。
そうして得た回答内容はスキャンされ、取り込まれたデータをソフトウェアが自動的に表にまとめて一般に開示する仕組みになっており、ここで何らかの読み誤りが起きた可能性がある。
このデータがおよそ8年を経てようやく検証され、にわかに注目を集めているところからして、インドのお役所仕事を少しでも知る人であれば、あり得なくはないなと納得できてしまう。
この記事では、ウガンダとインドの英領時代からの深い関係についても説明してあり興味深かった。
1890年代に、大英帝国によりケニアのモンバサからウガンダのカンパラまで鉄道建設が進められ、その労働者として4万人のインド人が、主にパンジャーブ州から動員された。
そうして連れてこられた移民たちとその子孫は、1972年に「ウガンダの資金を搾取している」と主張する当時のmilitary ruler、イディ・アミン(Idi Amin)の命令により強制退去させられたが、1980~90年代にかけて再び同国へ戻り、経済を支えている。
こうした顛末は、「The Ghost and the Darkness (1996)」や「The Last King of Scotland (2006)」などのハリウッド作品に詳しいようなので、ぜひ観てみたい。
本日最も読まれている記事
1 ジャワハルラール・ネール大学の警備員が猛勉強の末、難関の入学試験を見事突破 18 Jul 2019
2 ポルトガル鉄道のインターネット事前切符予約 26 Oct 2016
3 意外に低かった?世界の大学ランキング200校中のIITの位置は 09 Jun 2017
4 日本人と顔立ちがよく似た「セブン・シスターズ」北東部の女性、人種差別に立ち上がる 18 Mar 2017
5 格安宿泊チェーンの「OYO」がコワーキングスペース事業に参入 17 Jul 2019
About the author
|
|
Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
|
User Comments