ジャワハルラール・ネール大学の警備員が猛勉強の末、難関の入学試験を見事突破

 

Posted on 18 Jul 2019 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

遠隔教育による大学の講義受講は、いま一番関心のあることのひとつです。すごく困難や障害があっただろうし、今もあるのだろうけど、とにかく見事です。The photo of Mr Meena from Hindustan Times.



やってみたいことがあれば、ためらいなくやるぞ。

名門ジャワハルラール・ネール大学(जवाहरलाल नेहरू विश्वविद्यालय、JNU)で警備員を務める34歳の男性が、難関を突破して見事同大学の外国語学部ロシア語学科(文学士、オナーズ [Honours; インドの一般大学は3年制だが、これを2年で修了する成績優秀者])の入学試験に合格し、学部生として大学に在籍することになったという驚きの話題を、ヒンドゥスタン・タイムズ(Hindustan Times)電子版が伝えた。

JNU guard cracks varsity entrance, to study Russian

ラジャスターン州カラウリ(Karauli)出身のラムジャル・ミーナ(Ramjal Meena)さんは2014年からネール大学に勤めている。

「JNUに人々は、社会的階層を気にかけない。教授も学生も、誰もが励ましてくれ、そして合格できた今、心から祝福してくれる。まるで一晩で有名人になったような気分だ」ミーナさん。

ミーナさんは日雇い労働稼業で何とか食べていける家庭で育ち、出身地の公立学校に通っていた。高校卒業後、高等教育を受けたいという気持ちはあったが、最寄りの大学でも30キロメートルほど離れていたことと、家計を支えることを家族に希望されていたことから断念した。
しかし、学びたいという気持ちが衰えることはなく、働きながらラジャスターン大学(Rajasthan University)の遠隔講義を受講、政治科学、歴史、ヒンディー語の学位を取得している。

ミーナさんは結婚して3人の娘に恵まれ、家族でデリーのワンルームアパートで暮らしている。
「家族の金銭的問題への対応に追われながらも、一般大学に通えなかったことをずっと後悔していた。JNUで警備の仕事に就き、この大学の学術環境に囲まれた時、かつての夢が蘇った」
そしてミーナさんは業務時間外に、大学入試に向けた受験勉強に着手する。
スマートフォンのアプリなどを活用する傍ら、現役の学生たちからもたくさんの手助けを得た。
外国語の専攻を決めたのは、「海外に行ってみたいという気持ちと、叶うことならば公務員職に就きたいから」と言う。

ただし問題もある。
「一家の家計を一人で支えており、妻はお金の心配をしている。また、JNUでは昼間の一般課程に通う学生は全日の仕事と掛け持ちしてはならないという規則がある。だから夜勤を申請しているところだ」
そんなミーナさんの現在の月給は1万5,000ルピーで、JNU警備責任者は「ミーナさんのことを誇りに思う。しかし日中は大学で勉学し、夜勤で働くなど普通は無理だ。そこでミーナさんへの例外措置として、あらゆる支援を提供する」と説明している。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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