無私の精神で人類愛を黙々と実践するベンガルールのオートリクシャーワーラー
Posted on 12 May 2019 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
思いやりとは、人を人たらしめる基本的な要素なんだな。
ベンガルールのオートリクシャーワーラー(運転手)が、で、陣痛の始まった妊婦を病院へ安全に運んだだけでなく、生まれた赤ん坊の面倒を18日間も見ていたという話題を、「The Better India」が紹介していた。
B’luru Auto Driver Takes Pregnant Lady to Hospital, Looks After Newborn for 18 Days!
「事件」は先月15日、テクノロジー系企業の集まるホワイトフィールド(Whitefield)周辺で営業するオートリクシャーワーラー、バブ・ムッドラッパ(Babu Muddrappa)さんの身に起こった。
ベンガルール中央駅で客を降ろしてからホワイトフィールドへ戻る途中の路上で、お腹の大きな女性が必死で助けを求めている姿を目撃した。
時間は酷暑期に入ったベンガルールが最も暑くなる、昼下がりの午後2時半ごろ。
しかし、止まって女性を助けようとする人はひとりもいなかった。
しかし、バブさんは違った。
女性をオートリクシャーに乗せると、最寄りの病院に連れて行き、さらにその病院が受け入れを拒否すると、指示された別の病院に連れて行き、さらに陣痛の痛みが最高潮に達し、痛みに耐えることがやっとの女性のために、バブさんは親戚の代理として問診票に記入し、また赤ん坊が産声を上げるまで待った。
同日の午後9時半に生まれた赤ちゃんはしかし、早産だったためか呼吸器系に深刻な問題を抱えており、またしても別の病院への転院を勧められた。
バブさんはここでも、幼い命のために何の異論もなく協力して入院手続きを代行、その足で母親がいるはずの病院へ戻った。
すると、予想もしない事態が、バブさんを待っていた。
なんと母親は赤ちゃんを捨てて逃げてしまっていたのだ。
「親が生まれたばかりの子供を見捨ててしまうなんて、同じく子供がいる私にとって、人生で最も恐ろしい想像を絶する瞬間だった」バブさん。
それから18日間、バブさんは仕事が終わると、赤ちゃんが入院する病院を毎日訪れ、また請求書の支払いから、薬の購入、新生児の世話まで、妻と協力して何の見返りも求めずに献身した。
ほどなくしてバブさん夫妻はこの赤ちゃんに対する愛情を抱くようになり、養子縁組みで迎える話を真剣に交わすようになった。
赤ちゃんの健康状態も、徐々に改善に向かっていたかに見えた。
しかし今月4日、容体が急変し、生まれたばかりの命はあまりにも無慈悲に散ってしまった。
バブ夫妻は葬儀を申し出たが、病院からの許可が得られず、2人は来る日も来る日も、悲しみにくれた。
もちろん、赤ん坊を捨てて逃げた母親に対しては、警察に通報している。
バブさんは普段から、乗客の財布を届けたり、急病人を病院に連れて行ったりと、ともすれば悪名高いベンガルールのオートリクシャーワーラーのイメージを返上する徳を積み続けている。
「The Better India」では、バブさんの行動は「助け合い」という行為の気高さを見事に表しているとし、ともすれば面倒やトラブルに巻き込まれることを恐れて人助けを躊躇ってしまうことがあるわたしたちに、勇気を出して行動に移すことによってのみ、人間性に対する信頼を取り戻し、結果として誰もが生きやすい社会を築くことができると結んでいた。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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