「パッドマン」の闘いは続く:女性たちを動かす夢のマシン

 

Posted on 03 Mar 2019 21:00 in エンターテインメント by Yoko Deshmukh

特に、儚げながらもしっかり前を向いて歩んでいくスマン(Suman)さんとスネハ(Sneha)さんの、力強い語りが印象に残ります。



Netflix Indiaで、あの「パッドマン」が巻き起こした変革をきっかけに、人生を切り開いていく女性たちを取材し、今年のアカデミー賞で「短編ドキュメンタリー賞」を受賞した「Period. End of Sentence.」を鑑賞した。
日本版ネットフリックスでも「ピリオド -羽ばたく女性たち-」として配信されているようだ。



個人的に一番衝撃的だったのは、このドキュメンタリーで取材先となっている「農村」が、首都デリーからさほど離れていない地域のようだということだ。
その経済成長が盛んに謳われている国の首都、つまり女性がサニタリーパッドを使うことはもはや当たり前となりつつあるかの印象を勝手に抱いている大都会のすぐそばに、パッドを「そんなものは見たことがない」とか、生理を「女性特有の病気」だと思っている人たちが今なお実在するという事実をまず突きつけられる。
凝り固まった偏見や旧来の価値観をほぐし、前進することが、思わぬパワーにつながっていく。

このドキュメンタリー映画では本物の「パッドマン」、アルナーチャル・ムルガナンタム(Arunachalam Muruganantham)さんが所々出演して、サニタリーパッドを通じた意識改革に対する、自らの思いを語る。
しかし作品自体が短めなこともあり、思ったよりも露出は少ないので、鑑賞後は改めて、アルナーチャルさんのTED講演をおさらいしたい。



 

作中ではアルナーチャル氏が発明したパッド製造機も実物が稼働する様子を見ることができる。
昨年末日本でも全国公開されたアクシャイ・クマール主演作品、「パッドマン 5億人の女性を救った男」では、かなり忠実にこのパッド製造機を再現していたことが分かるだろう。

それにしても冒頭で述べたように、首都近郊であっても、まだまだ衛生的な処理方法が根付いていないということは、パッドを使っていない人たちは都市に住む人々を含めてまだまだ大勢おり、パッドマンの闘いは過去のものでは決してなくて、現在も続いているのだということが、容易に想像できる。
そうした暗い現状に想いを馳せることで、このパッド製造機が文字通り「夢のマシン」となって、女性たちの自立を後押しし、そして広く地域の人々の意識を変えていく様子が、幾ばくかの光明となってもいる。

プネーで見逃した「パッドマン」、日本全国上映を機に鑑賞

「Period. End of Sentence.」を制作した「The Pad Project」の公式サイト

本日最も読まれている記事
NHK Worldが、コルカタで無私の奉仕を続けて27年の渋谷りつ子さんを紹介 02 Jan 2019
ポルトガル鉄道のインターネット事前切符予約 26 Oct 2016
「Gully Boy」を鑑賞、ダーラーヴィー・ラップが世界を席巻するか 24 Feb 2019​​​
4 またしてもサリーの誘惑に迷走中☆ 27 Feb 2019​
しばらくぶりにデビュー☆プネー在住日本人マダームなブランチ会 23 Feb 2019

 





          



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments