マリーン・ドライブの歴史と、見学先としてもおすすめのホテルなど

 

Posted on 15 Feb 2019 21:00 in トラベル・インド by Yoko Deshmukh

ちょうど、プネーから1泊してでも周辺をゆっくり観光したいと思っていたところだったので、タイムリーな話題でした。



先日、久しぶりにムンバイーはマリーン・ドライブ(Marine Drive)沿いの道路を走って国際空港まで向かったが、2018年にユネスコ世界遺産に登録された(ムンバイのヴィクトリア朝とアール・デコの遺産群: ASKSiddhiリンク)こともあるのか、アール・デコ建築群の並ぶ景観がひときわ洗練された雰囲気に感じられた。
いつも車窓から眺めるだけなので、今度はこのあたりの宿を取って、じっくりと見て回りたいと改めて思った。

そんな折、いつもワクワクするような旅情報を積極的に発信されているムンバイー在住オーストラリア人、シャレル・クック(Sharell Cook)さんが、マリーン・ドライブの歴史やおすすめ観光コース、宿泊先について紹介されていたので、自分への備忘録も兼ねて興味のある箇所だけ少し要約させてもらいたい。

Mumbai's Marine Drive: The Complete Guide

まずマリーン・ドライブの起源は、20世紀初頭にボンベイ都市開発計画第2フェーズ(Back Bay Reclamation Scheme)として、当時インドを統治した大英帝国により整備された。
湾を浚渫して砂利で埋め立てて、ボンベイの面積を西側に広げる計画だ。

現在もギルガウム・チョウパティー(Girgaum Chowpatty)近くの街灯に、碑文が刻まれている。



 

1915年に当時Kennedy Sea Faceと呼ばれていた地点でマリーン・ドライブの建設が始まったと記載されている。

ところが物流上の課題から、当初よりも埋め立て用地が少なくなり、マリーン・ドライブは実際の計画よりも短いものとして、1930年代半ばまでには現在のような姿でインフラ工事が完了、舗装され、歩道が整備された。
風光明媚な新名所となったマリーン・ドライブ沿いに、裕福な映画関係者や、パールスィーの中でも進歩的な産業主義者たちが、当時の世界で最先端とされたアール・デコ様式の建物を競って建てた。

それまでは、ムンバイーと言えば堂々たる大英帝国の栄華を誇示するゴシック様式と、インド・サラセン様式の建造物が幅を利かせてきたところに、現代的なアパートとオフィスを好む新時代の有力者たちが新しい価値観を投影した景観を造り、それがすなわちインド独立へ向けた気風を盛り上げて言ったのではないかとシャレルさんは記述されている。

1940年代後半から1950年代にかけて、マリーン・ドライブ沿いのアール・デコ建築ブームは続き、中には1947年のインド独立時、パキスタンから移住してきたヒンドゥー教徒一家や、クウェート王室が建てたものも含まれる。

アール・デコ建築群のほかにも、マリーン・ドライブ沿いのホテルにも歴史的いわくが深いものが点在する。
Sea Green Hotelは、第二次世界大戦中イギリス軍により占有された集合住宅を改装したものだという。
インターコンチネンタルホテル(The Intercontinental)は、ナタラージ・ホテル(Nataraj Hotel)と呼ばれていたころ、ヨーロッパ人専用クラブであり、当時この街で唯一アイスクリームを提供していたとされる「ボンベイ・クラブ」の敷地内にあった。
ホテル・マリーン・プラザ(Hotel Marine Plaza)は、旧ボンベイ・インターナショナル・ホテル(Bombay International Hotel)だった1980年代、会員制のナイトクラブ「Studio 29」を展開し、この街のパーティーシーンに革命をもたらした。

トライデント・ホテル(Trident Hotel)は1972年にオベロイ・シェラトン(Oberoi Sheraton)として建設された。
当時インドで最も高層かつ先進的な30階建てのタワー構造で、550室もの客室を擁し、この街の象徴であるタージ・マハル・ホテル(Taj Mahal Hotel)に匹敵する注目を浴びている。

トライデントに隣接するジ・オベロイ(The Oberoi)は1986年に開業した比較的新しい高級ビジネスホテルで、2008年の同時多発テロ事件で標的とされてしまった。

1996年にボンベイがムンバイーと改称されてからは、マリーン・ドライブの正式名称もネタジ・スバーシュ・チャンドラ・マーグ(Netaji Subash Chandra Marg)になっている。

ムンバイーの不動産価格の高騰により、絶好の立地にあるアール・デコ建築を買いたい、ということになると、200万米ドル以上を積まなければならず、ほとんどの人にとって夢物語だろう。

ただしマリーン・ドライブ沿いのホテルに宿泊すれば、ムンバイーで年間見られる気候の大部分を占めるよく晴れた日の日没だけでなく、モンスーン季には満潮時に遊歩道まで激しく打ち付ける波の迫力など、最高の眺望を一瞬でも自分のものにできる。

わたしの知人が教えてくれた耳寄り情報として、トライデントなどの高級ホテルでは、ディワーリー休暇時期に利用客が激減することから、宿泊料金が割安となるため、マリーン・ドライブで打ち上げられる花火を堪能できる隠れた絶好の機会となっている。
このほかには、ガネーシャ祭の時期になれば、海に帰っていく巨大なガネーシャ像を眺められるだろう。

シャレルさんの記事では、マリーン・ドライブをプチ優雅に堪能するための宿泊施設も紹介している。
筆頭はジ・オベロイで、1泊最低1万5,000ルピーから。
ただ、国立舞台芸術センター(National Center for Performing Arts)から徒歩圏内と立地は最高だ。

少し安めの料金では、アール・デコ調をそのまま再現したシーグリーン・ホテル(Sea Green Hotel)が、ほぼ全客室バルコニーから海を眺められる上に、朝食込み1泊6,000ルピーからとお得だ。

さらに予算を抑えたければ、同じくアール・デコ調の邸宅「クリシュナ・マハル(Krishna Mahal)」の一部を改装したベントレー・ホテル(Bentley Hotel)が、税・朝食込みで1泊3,500ルピー未満という破格で泊まれる。

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Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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