現代を生きるわたしたちへの示唆にも富む、インド初の国産防水布メーカー
Posted on 05 Jan 2021 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh
疫病は必ず退散することも、危機の時こそ大きなイノベーションが生まれていることも、歴史がちゃんと証明してくれています。
先日、深夜のNHK教育で、落合陽一さんという方がアンカーの番組を観ていたら、「2021年の日本では、1930年インドの『塩の行進』並みの現象が起きないとは言い切れない」という予測をされていて興味深くなり、おすすめされていた書籍「Small Is Beautiful」もAmazon.inでさっそくダウンロードした。
Small Is Beautiful: A Study of Economics as if People Mattered (Vintage classics) Kindle Edition
そうした視点からこちらの「The Better India」の記事を読んでみると、ますますおもしろい。
How The Swadeshi Duckback Made Waterproofs Accessible for Generations of Indians
1920年に設立されたベンガル・ウォータープルーフ社(Bengal Waterproof Limited)の「Duckback」という防水ファブリック製品は、「塩の行進」にも通じるインド人の「スワデシ(Swadeshi、My Country)」精神が生んだ、というストーリーだ。
Swadeshi movement - Wikipedia
イギリス領時代のインドでは他の多くの品目と同様、防水布も輸入に頼っており、非常に高額で一般の国民はとても手を出せなかった。
そうした状況を憂慮するとともに、外国製品をボイコットしてインド人の経済的自立を推進すべく、スレンドラ・モハン・ボース(Surendra Mohan Bose)という人が立ち上げたのが、ベンガル・ウォータープルーフ社だ。
熱烈なナショナリストでもあったボース氏は、インドの独立のために激しく戦い、しばしば「国家転覆活動」の罪で投獄された。
その監獄で知り合った兵士たちから、レインコートやレインブーツ、防水シートのない過酷な戦場の話を聞いた。
カリフォルニア大学バークレー校やスタンフォード大学に留学していたボース氏は、自らの技術的専門知識や経験をもとに、安価ながら耐久性の高い製品を発明、商品名の「Ducksback」は「like water off a duck’s back(アヒルの背中からはじかれる水のように;無駄や無意味)」という英語のイディオムに由来する。
以来長い間、インドで最も愛される防水布として長らく普及してきた。
「スワデシ」の基本的な精神とは、利益や富の追及よりも、自国の産業基盤を造り上げ、構築することにある。
「Duckback」はスクールバッグ、郵便局員用鞄、アイスバッグ、湯たんぽ、レインシューズ、ゴム製のかかと、ゴム長靴、空気枕、馬具の鞍といった日用品から、テント、酸素マスク、雪靴、空気注入式ゴムボート、ヘリコプター着陸装置、救命胴衣、パイロット用の反重力スーツ、海底脱出スーツなどの防衛用品まで、幅広い用途に応えてきた。
インド独立後は、ゴム価格の急騰や、ビニール製の使い捨てレインコートの爆発的な普及により経営が危うくなったこともあったが、プラスチック製品の有害性に世界中が目覚めた現在、「Duckback」は環境はもちろん、身に着ける人の肌にもやさしいブランドとして見直されている。
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なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。
=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※12月23日付けのメール、件名「全日空(ANA)による成田ムンバイ間の臨時便運航」
【ポイント】
●全日空(ANA)では、インド航空当局の許可を取得することを前提に、インド政府が設定したエア・バブルに基づく便として、1月16日に成田発ムンバイ行、1月17日にムンバイ発成田行の臨時便を運航することとなりました。
●ANAによれば、同便の予約受付・販売は12月24日(木)11:30(インド時間)から開始予定とのことです。
●こちらの便は航空会社のウェブサイトでの予約受付・航空券購入が可能です。
●なお、日本外務省はインドについて「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」の感染症危険情報を発出しています。インドへの渡航を検討される場合は、インドにおける感染状況を踏まえ、渡航の必要性や時期について慎重に御検討ください。また、インド政府の外国人の入国に関するガイドラインに御留意願います。
在留邦人の皆様へ
全日空(ANA)による成田ムンバイ間の臨時便が運航されることになりましたところ,お知らせします。なお、本件照会については、ANAお問い合わせ先までご連絡いただければ幸甚です。
1 全日空(ANA)では、インド航空当局の許可を取得することを前提に、インド政府が設定したエア・バブル(新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策としてインド政府が実施している国際定期旅客航空便の飛来禁止措置の例外措置)に基づく便として、1月16日に成田発ムンバイ行、1月17日にムンバイ発成田行の臨時便を運航することとなりました。
2 ANAによれば、同便の予約受付・航空券購入は12月24日(木)11:30(インド時間)から開始予定とのことです。なお、空席状況確認や航空券の予約・購入方法等はANAウェブサイトをご確認ください。詳しくは、ANAにお問い合わせください。
(ANAウェブサイト)
https://www.ana.co.jp/ja/jp/international/
(ANAお問い合わせ先)
ANAムンバイ支店予約担当:bomrsvn@ana.co.jp(営業時間<インド時間>:9:00-18:00)
※英語/日本語での受付となります。
※上記の臨時運航便以外についてのお問い合わせ先は以下の通りです。
電話: (インド国内)000800-100-9274 ※24時間対応 ※通話無料
(インド国外)+81-3-4332-6868 ※24時間対応 ※有料
3 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、インド政府よりインド到着旅客に関する情報の提出が義務付けられています。ANAによれば、インドへの航空券を予約・購入された方は、出発の48時間前までに、必ずANAムンバイ支店予約担当に渡航に際し必要な情報の連絡が必要となるため、以下のANAからのお知らせを必ずご確認ください、とのことです。
(ANAからのお知らせ:各地域への入国条件変更/インドへ渡航のお客様へ)
https://www.ana.co.jp/ja/jp/topics/notice200501/#immigration
4 日本外務省はインドについて「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」の感染症危険情報を発出しています。インドへの渡航を検討されている邦人の皆様におかれては、インドにおける感染状況を踏まえ、渡航の必要性や時期について慎重に御検討ください。
(新型コロナウイルス感染症に関する皆様へのお願い:当館ホームページ)
https://www.in.emb-japan.go.jp/PDF/20200929_Coronavirus_j.pdf
また、以下のインド内務省入国管理局ホームページに、現在入国できる査証カテゴリーや査証取得手続き、事前の自己申告フォーム等の提出、入国後の自主隔離等、外国人の入国に関するインド政府のガイドラインが掲載されていますので御留意願います。
(インド内務省入国管理局ホームページ該当部分)
https://boi.gov.in/content/advisory-travel-and-visa-restrictions-related-covid-19-1
(各種情報が入手できるサイト)
インド政府広報局ホームページ
https://pib.gov.in/indexd.aspx
インド保健・家庭福祉省公式ツイッター
https://twitter.com/MoHFW_INDIA
インド入国管理局ホームページ
https://boi.gov.in/
在日インド大使館ホームページ
https://www.indembassy-tokyo.gov.in/jp/index_jp.html
外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/
厚生労働省ホームページ:新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
首相官邸ホームページ:新型コロナウイルス感染症に備えて
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html
=== 転載終わり ==
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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