俳優の卵がコロナを機に、一風変わった稼業にデビュー

 

Posted on 27 Jun 2020 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

生き残るために、誰もが必死です。写真はプネーのお気に入りの店でいつもいただくキヌアサラダです。外食はまだまだ遠い夢です。



マラーティー語ニュースチャンネルで話題になっていた、プネーの若き新人バジワラ(Bhajiwala、青果売り)は、俳優志望だ。

How a Marathi actor turned vegetable vendor due to COVID-19

ムンバイー出身のローシャン・シンゲ(Roshan Shinge)さんは、念願だった俳優としてのキャリアを、まさに踏み出そうとしていたところだった。
3月19日から始まる予定だった、メジャー作品とされる「Raghu 350」の撮影のためにプネー入りしたところで、新型コロナウイルス感染予防策としてナレンドラ・モーディー(Narendra Modi)首相のテレビ演説により、インドは22日から全土ロックダウンを宣言、そのまま撮影は無期延期、自宅にも戻れなくなり、やむを得ず身内の元へ身を寄せた。

まもなく撮影再開の知らせが届くものという希望も虚しく、ロックダウンは延長に延長を重ね、収入を得る手段もなく貯金は指間からこぼれる砂のごとく消えていった。
居候させてもらっていた姉宅も、義兄が職を失い生活は厳しい。
ただ座っているわけにもいかないと、これまで培ってきた演技力を活用して何かできないかと思いあぐねたローシャンさんは一念発起、友人らから借金をしてリヤカーなどの必要な道具を調えると、一風変わったバジワラ稼業を始めた。

その様子は、以下の動画でぜひじっくり堪能して欲しい。



 

「生活資金を稼ぐためなら、自分にできることは何でもやろうと思っていた。感染リスクにもかかわらず、多くの人が食糧や生活必需品を手に入れようと市場に集まっているのを見て、自分の演技スキルを活かして野菜や果物を行商してみようと考えた」、ローシャンさんは「Mumbai Mirror」の取材にこう話した。

こんなエピソードもある。
許可証なく青果を売り歩いていたローシャンさんを当局が止めて尋問し、リヤカーもろとも取り上げられそうになった時、「せっかくの新鮮な野菜が無駄になってしまう」との危機感を抱き、当局を説得した上で自慢の声を張り上げ、大切な生活の糧であった野菜を、周辺にいた人々に無料で持ち帰ってもらったのだ。

「俳優を目指したのも、人々を笑顔にしたいから。(時には長い行列に並び、値段交渉を重ねるなどの困難に直面したり、警察からの尋問にさらされたりしながら)野菜を売ることでも、目の前の人に笑ってもらえるなら、何も恥ずかしいことではない」

みんなが自宅に閉じこもっている中にあって、しかも5月末までは厳しい暑さが続き6月に入ってからはサイクロンをはじめとして断続的な雨も降ったプネーの街頭。
感染はもちろん、警察からの尋問や拘束のリスクを冒しながら、自分にできることを精一杯に探し、行動し、生き抜こうとする姿に、頭が下がる。
失敗ばかりのわたしも、反省と改善を繰り返して、できることは何でもやろう。

なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。

=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※6月19日付けのメール、件名「中国とのLAC付近における中印両国軍の衝突に関する注意喚起」

●ラダック連邦直轄領の中国との実効支配線(LAC)付近において,インド及び中国の両国軍による衝突があり,これまでに複数の死傷者が出ています。同地域への渡航は止めてください。
●ニューデリー市内においては,中国大使館前での抗議活動が行われているほか,ディフェンスコロニー地区での中国製品不買運動が起こっている等の情報があります。
●また,マハーラーシュトラ州ムンバイ市の中国総領事館周辺での抗議活動は,現在確認されておりませんが,報道によれば,ムンバイ市やグジャラート州アーメダバード,バドーダラ,スーラト,ラージコートでは,一部の者が路上で中国製の携帯電話やテレビ等電化製品やおもちゃなどを壊す・燃やす,窓から投げ捨てる等の行為に及んだほか,習国家主席の写真を燃やしたとも報じられています。抗議デモの現場やシュプレヒコールをあげる集団には決して近づかないでください。

在留邦人及び短期渡航者の皆様へ

1 ラダック連邦直轄領の中国との実効支配線(LAC)付近において,インド及び中国の両国軍による衝突があり,これまでに複数の死傷者が出ています。
報道によれば,両軍は5月上旬から両国の実効支配線のあるパンゴン湖周辺など数か所でにらみ合い,小競り合いも発生してきています。さらに,今月15日夜から16日未明にはバルワン渓谷で衝突が起き,インド政府によるとインド軍兵士20名が死亡したとのことです。中国側は未発表ですが,43人が死傷したとの報道があります。
このような状況を踏まえ,くれぐれも同地域への渡航は止めてください。

2 ニューデリー市内においては,在インド中国大使館前での抗議活動が行われているほか,ディフェンスコロニー地区での中国製品不買運動が起こっている等の情報があります。今後,市内の他の地域や他の都市においても同様の活動が起こる可能性があります。

3 また,マハーラーシュトラ州ムンバイ市の中国総領事館周辺での抗議活動は,現在確認されておりませんが,報道によれば,ムンバイ市やグジャラート州アーメダバード,バドーダラ,スーラト,ラージコートでは,一部の者が路上で中国製の携帯電話やテレビ等電化製品やおもちゃなどを壊す・燃やす,窓から投げ捨てる等の行為に及んだほか,習国家主席の写真を燃やしたとも報じられています。
 中国に対する抗議行動等が今後起こる可能性がありますので,注意してください。

4 在留邦人の皆様及びインド滞在中の皆様におかれましては,今回の衝突に対するデモ活動などの現場付近にいた場合,中国人であると誤解され,不測の事態に巻き込まれる可能性があります。つきましては,最新情報の入手に努め,不測の事態に巻き込まれないよう細心の注意を払うとともに,抗議デモの現場やシュプレヒコールをあげる集団には決して近づかないでください。

このメールは,在留届にて届けられたメールアドレス及び旅レジに登録されたメールアドレスに自動的に配信されております。

【問い合わせ先】
在ムンバイ日本国総領事館・領事班
電話(91-22)2351-7101
メール ryoji@by.mofa.go.jp
=== 転載終わり ===


本日最も読まれている記事
購入後半年で故障したフォッシルのスマートウォッチを巡る、意外な顛末 16 Sep 2019
IMF初のチーフエコノミストに就任したギータ・ゴピーナート氏のあれこれ 05 Oct 2018
意外と知らなかった、あのソープの誕生秘話とロゴの意味 19 Jun 2019
インド人の平均寿命と、女性の伸び率鈍化 01 Oct 2019
変わり種、雑穀イドリーの屋台を起業して三方よしの若者 23 Jun 2020

 






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments