インドで最も速く広く感染が広がり、封鎖中のマハーラーシュトラ州の片隅で

 

Posted on 24 Mar 2020 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

インターネット上でも、「閉鎖による精神衛生上の悪影響」に声を上げる人々が出てきました。



「The Hindu」に、インド全土の新型コロナウイルス感染者数を州別に示すマップが掲載されていた。

COVID-19 | Interactive map of confirmed coronavirus cases in India

これを見ると、わがマハーラーシュトラ州が、初の感染者が報告され現在もワースト2のケーララ州を抜いて断トツに感染者が多いことが分かる。
先週からの外出自粛に続き、州境と県境の封鎖、昨晩(本日未明)午前零時からの外出禁止令(Curfew)に至った流れが理解できる。

冷静に書いているようだが、精神的にはなかなか応えている。

誰にも会えず、ここ2日ぐらいは念のため、日用品の買い物は団地併設の商店で済ませており、散歩にすら行けず、じっと自宅に引きこもりを強要されている上に、閉鎖前に注文していたお菓子など嗜好品のデリバリーも届くめどが立たず、おまけにプネーは気温が急上昇中なのに、寝室で10年以上使い続けてきたエアコンは故障、まさに新品に買い替える段取りをつけたタイミングで騒ぎが急拡大したため、取り付け業者も来られなくなり、寝苦しく睡眠不足の日々である。
福岡の実家に滞在していたのならば、(春先で涼しいことはもちろんだが)周辺のほぼ人っ子一人通らない、のどかな海辺や丘陵を歩いて気分転換ができたのにな。

それにしても、自宅に閉じ込められている状況、家族と同居している人もいない人も、誰もが否応なしに内面に向き合わざるを得なくなっているのではないか。
在宅仕事がある人はまだいいが、コロナ禍のせいで雇用すら危うく、ただ自宅での待機を命じられているばかりの人、および収入を得る手段を絶たれ、それでも自宅待機中の従業員への給与支給を求められる中小企業の経営者は、不安でたまらないだろうし、精神衛生上にも非常に危険だ。
この閉鎖状態が長期化することで、感染とは別の健康被害が相次いで報告されそうだ。
謎のウイルスの感染拡大を防ぐことも大切だが、「健康」とはそもそも何なのかを考えたい。

もうひとつ、コロナ禍による閉鎖や封鎖は、現代都市に生きるわたしたちの生活が、いかに他人に依存して成り立ってきたのか、いかにエネルギー大量消費に頼ってきたのかを思い知らせるものでもある。
「COVID-19」は、人類の生き方を強烈に問い直すウイルスとして、後世まで記憶されることになるだろう。

なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。

※3月24日付けのメール、件名「3月23日マハーラーシュトラ州政府発表内容について」

=== 以下、同掲題メールの転載 ===

●23日,マハーラーシュトラ州政府当局は,コロナウィルス感染拡大防止についての対策を発表いたしました。
●生活必需品等の購入等を除き,原則3月31日までの間自宅待機としております。
●この措置に伴い,州内各都市における人の移動制限が一段と厳しくなっており,警察官等が街頭で人の移動について監視,職務質問,従わない者を警棒等で脅している等の情報が当館に寄せられております。不必要な外出は控え自宅での待機を願います。
● タクシーを含む全ての交通機関が制限されておりますので,食料品等の購入は可能な限りインターネット等で購入を検討願います。

在留邦人の皆様へ

3月23日,マハーラーシュトラ州政府当局は,新型コロナウィルス感染拡大防止の観点より,3月31日までの間,以下の措置を発表いたしました。

1 生鮮食品等の搬送等必要なものを除き全てのマハーラーシュトラ州境を閉鎖する。
2 MRSTCバス,メトロ等の公共交通サービスの運行は許可しない。タクシーへの乗車は運転手を除き2名以下とする。オートリキシャーは1名とし,これらの乗車は特別な指示がない限り乗車は禁ずる。ただし緊急事態で医療機関等へ行く場合は除く。自家用車両の運行は生活物資の購入に限りその往来を許可する。乗車人員はドライバーを除き1名とする。
3 近距離バスの運行,旅客運送サービス(民間契約車を含む)は運行を停止する。
4 自宅経過観察が必要な全ての者は,自宅から外出した場合,政府系施設に強制隔離することとし,法的措置を課す。
5 全ての人に対し自宅待機を求め,外出する際は前記2項で定めた事項のみとし,他人との距離を取ること。
6 公共の場において5名以上集まることを禁止する。
7 全ての会社の営業を停止する。ただし,継続した製造等が必要な薬剤等については許可する。日常生活に必要な物資等に関してのビジネスを許可する。
8 州政府が定めた期間に稼働する政府機関,商店,民間企業等は,人と人との距離を約90センチ以上取るよう,会計の際等は足下にマーキングを施すなどし社会的距離を保つようにすること。また,施設内には消毒施設やアルコール消毒剤等を設置すること。
9 生活上必要不可欠なサービスは,以下のとおりとする。
(1)銀行,保険,金融IT等に関連する業務
(2)出版等に関する業務
(3)IT等,通信,郵便,インターネット,データサービス等関する業務
(4)流通業,運送業
(5)農産物その他の輸出,輸入に関する業務
(6)食料や医薬品等の販売や配達に関する業務
(7)生鮮食品の販売,輸送,貯蔵等に関する業務
(8)製菓業,ペットの獣医サービス
(9)飲食店の持ち帰り,配達に関する業務
(10)病院,薬局,眼鏡店等,医薬品等の製造,販売,輸送に関する業務
(11)ガソリン,LPGガス,燃料オイル等の販売,輸送等に関する業務
(12)上記必要不可欠なサービス業における警備,施設維持する上で必要な要員を送り出す民間企業
(13)新型コロナウィルス感染拡大を防止するために必要なサービスを提供する民間企業
(14)上記に関連する生産,流通に従事する業務
(15)人の移動に関することは厳格に規制することとし,物流についてはその限りではない。
10 政府の事務所,部署の機能は必要なサービスのみとする。
11 全ての宗教関連施設は閉鎖とする。
12 閉鎖期間中の必要物資の流通は滞ることないようにする。
13 民間,公共の医療施設における手術予定は延期することとし,新型コロナウィルス感染者の管理に重点を置く。
14 以下の地区(新型コロナウィルス未感染地区)へ車両等で流入することを制限する。
Wardha, Bandara, Gondia, Chandrapur, Gadochiroli, Satara, Sangli, Kolhapur, Solapur, Buldhana, Amravati, Akola, Whashim, Nashik, Dhule, Nandurbar, Jalgaon, Beed, Jalna, Osamabad, Parbhani, Hingoli, Latur, Nanded, and Sindhudurg.

マハーラーシュトラ州以外の州の情報につきましても,引き続き随時送信いたします。

このメールは,在留届にて届けられたメールアドレス及び旅レジに登録されたメールアドレスに自動的に配信されております。

【問い合わせ先】
在ムンバイ日本国総領事館・領事班
電話(91-22)2351-7101
メール ryoji@by.mofa.go.jp

=== 転載終わり ===


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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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