新卒給与水準が低すぎて単発仕事に手を出す工科大学出身やMBA持ちのエリート

 

Posted on 16 Mar 2020 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

訪問したことがあるタイやマレーシアなど、他国ではよく見られる現象だと思いますが、インドのような複雑な人口構造を持つ国では、ちょっと困ったことになりそうです。



先日、プネーの日系企業に勤める方にお目にかかった時、「技術系大学新卒の月給水準が以前よりも下がって2万ルピー前後、しかも人件費をより抑えるため、地方大学の学生が選好される傾向にある」というような話を聞き、実態はどうなのか気になっていたところ、次のような興味深い記事を見つけた。

Engineering, MBA freshers increasingly applying for gig jobs: TeamLease

「TeamLease」調査によると、工科大学卒や経営学修士(MBA)持ちの、かつてであればエリートコースを約束されていたような学歴の持ち主が、給与水準が低すぎて、なんとウーバーの運転手やフードデリバリーなどの単発バイトを掛け持ちしている、というものだ。

この傾向は大学や都市を問わずインド全土で等しく見られ、新卒の若者がよりよい収入と柔軟な勤務時間を求めているとしている。

「かつて工科大学の新卒と言えば、出身大学にもよるが月給平均2万~3万ルピーが相場だった。しかしこの2~3年は求人数こそ減っていないものの、新卒給与は月1万~2.5万ルピーほどに下がっている」「TeamLease」社のコメントからも、冒頭の人の語っていた通りであることが分かる。

一方、「Swiggy」や「Zomato」などのフードデリバリーサービス、「Ola」や「Uber」などの配車サービスに登録して仕事を受けると、それだけで月収少なくとも2万~3万ルピー、多い人で5.5万~6万ルピーも稼ぐことができる。

この収入面および時間を有効活用できる魅力につられ、苦労して高い学歴を勝ち得たはずの若者たちは、ためらいなく単発仕事から得られる副収入に手を伸ばしているのだ。

「TeamLease」社によると、毎月平均150万件の採用募集のうち25%が単発業務、それに応募する人の10%前後は(IITも含む)工科大学やMBAを卒業したての若者が占めている。

なお、記事で「単発業務」としている「gig works」には、高いスキルが要求されるコーディングやテクノロジー専門コンサルティングといったフリーランス業務も含まれており、一概に全員がアルバイト系の仕事に従事しているとは言えない、と但し書きがついていた。

わが家も、たまにフードデリバリーをお願いするが、配達にやってくる若者がやけに英語が流暢だったり礼儀正しかったりして、「お店の経営者かな」などという印象を抱いたことが少なからずあるので、そのからくりの一端が見えた気がする。
そう言えば、先日バンガロールで利用した旅行会社所属のイケメン運転手、モハンラージュさんだってMBA持ちだったんだな。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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