料理の腕に自信のある主婦と都市のミレニアルを結ぶ、「クラウドキッチンサービス」が急成長
Posted on 29 Jan 2020 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh
スマートフォンやインターネットの普及により、「あったらいいな」がどんどん実現しています。写真はイメージです。
料理が得意な義妹のためにあるようなトレンドだ。
「クラウドソーシング」ならぬ「クラウドキッチン」と称するサービスが、インドでミレニアル世代を中心としたブームになりそうな予感だ。
Cloud cooking land: Housewives become gig economy chefs
つまり、教育や雇用の機会から弾かれ、家庭に縛り付けられてきた人々が、やる気さえあれば得意の料理を収入源にできる時代は、あっという間にやってきた。
具体的には、一般家庭の台所を引き受ける主婦・主夫たちの料理の腕に注目、各世帯で心を込めて作られた新鮮なできたて料理を、忙しいミレニアルたちに届けるというビジネスだ。
クラウドキッチンのスタートアップ企業としては、「Curryful」や「Nanighar」、「Homefoodi」などがある。
クラウドキッチン事業者は手数料を受ける代わりに、調理を担当する主夫・主婦たちに衛生管理やパッケージング、材料の調達などといった研修を実施している。
こうしたコストを除いた一人当たりの手取り月収は平均10,000~15,000ルピーほどという。
一方、飲食店でフルタイム勤務する調理師の給与水準の幅は、20,000~65,000ルピーで推移していることと比較すると、少ない印象だが、自力でお金を稼ぐことなど無理だと思い込んできた、主に女性たちにとっては、大きな機会になっているのだろう。
サービスの背景としてはこうだ。
若い世代を中心に、都市部で学んだり、働いたりしている人々の多くが、キッチンもないような安アパートや下宿で共同生活をしている。
日々の食事は、薄いダルに油ばかり浮いたサブジ、パサパサのチャパーティーに申し訳程度のライスなど、冷たくてまずいティフィンしか選択肢がなかった。
こうした、独身や共働きで、日々の料理に手をかける時間のない世帯にとっては、毎日良質な家庭料理を食べることができる、神様のようなサービスであることは間違いない。
なんとなく、2013年の映画「The Lunchbox(めぐり逢わせのお弁当)」を連想するビジネスではないか。
2018年に創業したCurryfulは現在従業員数5名のところに、55名の「自宅料理人」を雇用、31歳の創業者は「2022年までに100万人まで拡大したい」との高い目標を掲げている。
なお、記事中では手数料として「Curryful」が18%も課しており、それと引き換えに必要な研修やパッケージの支給を謳っている。
インドのクラウドキッチン市場の規模は2023年までに10.5億ドルに達すると見込まれ、フードデリバリーのSwiggy、Zomato、Rebel Foods、Box8などの企業も参入し始めている。
Swiggyは最近、クラウドキッチン事業に25億ルピー(約3,530万米ドル)を投資している。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
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