ついに海水淡水化に向けて前進か
Posted on 10 Jul 2019 21:00 in インドの政治 by Yoko Deshmukh
13億人もの人口を支える命の水は、雨と地下水だけに頼っていられるわけがないです。
主要都市で深刻な水不足が続いており、インドのナレンドラ・モーディー(Narendra Modi)首相が、2024年までにインド全土に十分な量の飲料水を供給することを最優先課題と据える中、政府系シンクタンクであるインド行政委員会(NITI Aayog、National Institution for Transforming India Committee)では広大な海岸線に着目し、海水を淡水化してパイプラインで人口集中地域に送水する計画を検討している。
「The Economic Times」が伝えている。
Water crisis? India won’t be at sea
この計画では、海上または総延長7,800キロメートルの沿岸に沿って海水淡水化プラントを建設することを検討している。
国際法によると、主権国家の領海は12海里までであり、海洋排他的経済水域(maritime exclusive economic zone、EEZ)は最大200海里までとなっている。
つまり、インドの海上EEZは163万平方キロメートルと推定されている。
「NITI Aayog」では海水淡水化プラントのエネルギー効率にも着目、太陽エネルギーまたは海洋エネルギーを利用して稼働させることなど、商業的に実行可能な淡水化プラントを設立するために各州に配備する技術や建設費用も含めた、詳細な計画を作成中としている。
「NITI Aayog」が水管理に関して昨年まとめた報告書によると、インドは現在、史上最悪の水危機に直面、その水質は122カ国中120位となっている。
しかも国内21の主要都市が水を使い果たす「デイゼロ(Day Zero)」に直面するとしている。
「デイゼロ」とは、南アフリカ共和国のケープタウンでの大規模な水危機の際に広まった言葉で、文字通り蛇口から一切の水が出なくなる日を指す。
報告書によると、人口の75%にあたる6億人が、水に関して高度から極めて高度のストレスに直面しており、農村部となると84%の世帯が水道水を利用できていない。
また、急激な気候変動や、主に農業用水としての地下水の継続的な過剰抽出などの要因により、水資源は危機的局面を迎えている。
海水淡水化プラント建設計画は、このような文脈の中で検討されているのである。
海水淡水化プラント先進国であるイスラエルでは、家庭用水の70%を淡水化した海水が占めている。
本日最も読まれている記事
1 農村女性などを在宅事業者として自立させる、サリー売買プラットフォーム 06 Jul 2019
2 ポルトガル鉄道のインターネット事前切符予約 26 Oct 2016
3 日本人と顔立ちがよく似た「セブン・シスターズ」北東部の女性、人種差別に立ち上がる 18 Mar 2017
4 生きるとは祭りである 07 Jul 2019
5 意外に低かった?世界の大学ランキング200校中のIITの位置は 09 Jun 2017
About the author
|
|
Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
|
User Comments