福岡での滞在を諸事情により少し延ばしたため、来週木曜日のフライトで発つことになっているのだが、先日友人に誘われて博多から中洲川端、天神にかけてを散策しつつ、福岡を代表する夏の一大祭り、博多祇園山笠（はかたぎおんやまかさ）の飾り山巡りをしていた。
すると、ちょうど週末だったためか小学生くらいの子供たちが引く子供山笠を見学するチャンスに恵まれた。

かわいらしい回し姿だが気合いは大人の引けを取らない少年たちが、掛け声をかけて小型だが重量が相当ありそうな山を引いて商店街を元気に駆け抜けて行くのを微笑ましく見守っていたら、懐かしいような切ないような気持ちがやってきた。
思えば通っていた高校が博多区にあったので、山笠の季節になると登下校途中に仮設された詰め所で、独特の出で立ちで準備に追われる大人たちを眺めては、梅雨が明けたばかりの湿った熱い風の匂いとともに、夏の到来を実感していたものだ。

参加する者も見る者も、誰もが興奮に包まれる勇猛な博多祇園山笠は、ご神体が宿る山とその形状からしてプネーの名物行事であるガネーシャ祭を想起させるものがあった。
そして、山笠の直前に福岡を離れることが改めて惜しく、来年こそはできればこの時期に滞在して見学したいと思わせてくれた、友人Aさんの魅力的かつ非常に分かりやすい解説に感謝している。

プネーのガネーシャ祭も、福岡の博多祇園山笠も、非日常のハレの舞台だ。
しかし、誤解を恐れずに言えば、いずれも神事を建前としているが、人が人のために催行している点で、人生の結晶でもあると思う。
みんなが祭りを成功に導くために全力を投じ、そして毎年、この時期が訪れることを心待ちにしている。

わたしたちの人生も、祭りのようなものかもしれない。
自分で思うほど長くなく、驚くほど一瞬で駆け抜けて行く。
そして今20歳の人でも明日生きている保証はどこにもないし、今70歳の人があと30年以上は生きるかもしれず、また事故や災害に巻き込まれて、生命は取り留めても生活や人生が激変することは、誰にでもあり得ることだ。

だから年齢などささいなことを言い訳にして、本当に好きなこと、本当にやりたいことを、たやすくあきらめるべきではない。
逆境の波に、自らの舵で進んでみよう。
常にこの瞬間に生まれたと思って息をし、学び、驚き、刺激を受け、他者に対する想像力を忘れず、そのようにして今ある日々の一瞬一瞬を自分なりに生き延び、その選択の繰り返しで人生を紡いでいけたら、それでいいと思う。

あなたがどこで何をやろうが、否定的に見る人は必ずいる。
引きこもって仕事ばかりし、ろくに人に会っていないわたしについてすら、根も葉もない噂話を流す人がいるらしいことを最近知った。
そんな、少なくとも自分にとって何の価値もない、取るに足らない人たちに耳を貸したり注意を払ったりする時間はなく、ましてやそんな人たちのために自らの方向性を曲げるなんて愚かだ。

祭りが「神」を最高の存在とし、聖なる力と人々の協力を得て全力疾走するように、わたしたちひとりひとりも、一度きりのかけがえのない、つかの間の人生で、譲れない大切なものを1つ掲げたら、雑音は一切排除して、大切な人や思いを寄せる人や存在のことだけを考えて、がむしゃらに全力疾走して生ききりたい。

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