コルカタ発:不要な服があればインド国内なら玄関先で回収してくれる画期的なサービス「Twirl.Store」
Posted on 30 Mar 2019 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
ここ数日、サリー関係のあれこれ検索を通じて出会った、いいなと思うブランドはほぼすべてが、いずれもコルカタや西ベンガル州を拠点とする小規模業者であることが分かりました。インドの奥深い魅力を改めて発見しています。
数日来、とどまることを知らないサリー欲に突き動かされるようにして、いろいろな巻き方を練習してみたり、またおしゃれな着こなしをされている方々の写真を凝視してみたりして、辿り着いた「ガムチャサリー」なるものの存在、そしてそれを通じた、サリーという着衣の持続可能性に、改めて思いを至らせることになっている。
ワクワクしかない!ガムチャでサリーを作って売るコルカタのブランド「145 East」

魅惑の「145 East」ガムチャ製サリー、その価格の理由

気に入りの良質サリーを1枚持っていれば、そのサリーは経年によりボディサイズがどう変化しても長い年月心地よく身を包んでくれるだけでなく、様々な巻き方を習得することにより、ファッションセンスも研ぎ澄ませてくれる。
その上、一部が破れてしまうほど使い込んだり、どうしようもなく飽きてしまったり、また環境などの変化により色や柄などが似合わなくなってしまったりしても、1枚の布なのだから、ほぼ無限なアイデアで、多様なリサイクルができる。
そしてサリーの巻き方は本当にひとつではなくて、「The Sari Series」ではインドだけでも地方別に80通り以上存在することを記録しているし、またそれを叩き台としてまったくのオリジナルな、クリエイティブな巻き方を開発することも可能だ。
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日本や世界のファッショニスタが、サリーに注目してくれるような時代が到来しないわけがないと強く思う次第である。
ただ目下の悩みは、サイズのことを気にせず購入できてしまうサリーだけに、価格と財布との折り合いがついたら、ネットショップなどでつい気軽にポチっと購入してしまいがちなところにある。
ただでさえ、狭いわが家の小さな服収納スペースはパンク寸前なのに、これからどうしようと途方に暮れ、少しずつ不要な服を整理しているところだ。
そんな折を見計らったかのようなタイミングで、「The Better India」が不要な服などを回収し、これを原料に新しい商品を製作し、販売しているコルカタの女性を紹介していた。
Have an Overflowing Wardrobe? Kolkata Woman Can Help You Upcycle It for Good!
スジャータ・チャテルジー(Sujata Chatterjee)さんは、自身もネットショッピングによる服の衝動買いと、その失敗談を数々経験してきた。
その一人として、その「負のサイクル」を「アップサイクル(Upcycle)」に変化させるべく、「Twirl.Store」というオンラインショップを2017年に開設した。
「Twirl.Store」では、「たった1枚の服でも、それを製造するのに必要な自然資源は、製織に用いる大量の水をはじめとして膨大だ。そうしたことに意識を向けることが、無駄を減らして循環型の社会を築く第1歩となる」という理念のもと、不要になった服やテーブルクロス、ベッドカバーなどの布製品(布資源)を回収し、これを原料として新しい製品を製作して販売したり、経済的に不利な立場を強いられる人々に寄付したりしている。
「Twirl.Store」に布資源を寄付するたびにポイントを獲得でき、そのポイントを使って希望するアップサイクル商品と交換できるような仕組みだ。
寄付はコルカタ市内に常設されたボックスに収納するほか、なんとインド国内の都市であればどこでも玄関先まで無料で取りに来てくれるという。
もちろん、さっそく会員登録した。
Twirl.Store
回収した布資源はその状態などを確認した後、協業するNGO団体や自助団体などの協力を得て、主に西ベンガル州の農村部に居住する女性職人60人ほどに依頼し、バッグやアクセサリー、衣類などの新しい商品の製作に入る。
2017年からたった2年弱で、3,500点あまりの布資源を回収、1万点以上のアップサイクル商品を製作し、1,500枚以上をシャンティニケタンやスンダルバンズ、コルカタなどのスラム街で暮らす人々に寄付している。
「Twirl.Store」のサイトを見てみると、トップページに回収した布資源の点数、寄付した点数、アップサイクルしてできあがった商品の点数が表示されている。
しかしそれ以外は、慣れ親しんだオンラインショッピングサイトと遜色ない体裁で、さすが元ITエンジニアが立ち上げたサービスだけある。
たくさんの布資源を持て余しているわたしも、近々サービスを利用してみる予定だ。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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