猿の命を救うため、何もかもを投げ打って走り回った人

 

Posted on 25 Jan 2019 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

仕事が忙しかったり、さまざまな用務に追われていたりすると、時として感覚が麻痺してしまうことがあります。このリクシャー・ワーラーたちは、まっとうに生きている人たちなんだな。



ムンバイー近郊のターネ(Thane)地区で、電線に引っ掛かって感電し、大火傷を負った野生の猿を獣医のもとに連れて行くために、仕事を投げ打って14キロの道のりを走ったオートリクシャー・ワーラーたちのストーリーを、DNAが伝えていた。

Four Auto Drivers Skip Work, Travel 14 km To Save a Friend – An Electrocuted Monkey! - DNA

実はこの猿、ムンバイーのマンクールド(Mankhurd (W))地区のマンクールド駅前周辺で、ディリップ・ラーイ(Dilip Rai)さんらをはじめとするリクシャー・ワーラーたちに、たびたび目撃されていた。



 

ところがある日、この猿が突然姿を消した。
(良いことかどうかは別として)果物などを時々与えていたディリップさんたちが心配になり始めた3日目の朝、猿はひどく火傷を負った姿で駅前に戻ってきた。

そこでディリップさんは仲間のリクシャー・ワーラーたちに呼び掛けて、野生生物の応急処置をしてくれる獣医師を手分けして探した。
その日暮らしのオートリクシャー稼業なのに、1日の仕事をすべて投げ打って、傷ついた猿のために奔走したのだ。

治療を担当した獣医師は、ディリップさんたちが猿を置き去りにせず診療所まで連れて来てくれただけでなく、応急処置後に獣医師を連れて周辺を管轄する野生保護協会2カ所に無料で回ってくれたことに驚き、感嘆している。

猿は顔や手足に30%の火傷を負い、目に若干の損傷が見られるため、視力に何らかの影響があるかもしれないが、幸い命に別状はない。
現在、猿は食欲も戻っているという。

ただし詳しい検査の結果、犬歯が抜歯されていたことが判明、誰かが飼っていた猿である可能性が浮上している。

仕事や日常の雑事に追われ、余裕がなくなりがちな現代社会に生きるわたしたちだが、自分の人生にとって大切な瞬間とは何かを見極め、見逃さないようにしたいと思わせる話題だった。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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