ポンディチェリーのオーロヴィルに、福岡正信さんの教えに則した自然農法を実践する英国人
Posted on 21 Dec 2018 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
毎日、身体に摂り込んでいるものなのに、その経路に無関心過ぎました。
先日、福岡で吉村智美(よしむら・ともみ)さんの店「ラタフィア」にお邪魔した際、タミル・ナードゥ州にある「インドの中のフランス語圏」、ポンディチェリー(PondicherryまたはPuducherry)に所在し、世界中から5万人が集まり、持続可能で環境に配慮した暮らしを試行錯誤する、完全自給の村オーロヴィル(Auroville)に滞在したことがある吉村さんから、興味深いお話をいろいろと詳しく伺った。
そうした中、ポンディチェリーのオーロヴィルに19歳の時に渡ってきたイギリス人男性が実践する完全な自然農法の取り組みについて、「The Better India」が紹介していた。
At 19, He Moved From UK to Puducherry. Today, His Organic Farm Is Smashing Stereotypes!
クリシュナ・マッケンジー(Krishna Mckenzie)さんはイギリスのクリシュナムルティ・スクール※(J Krishnamurti School、現Brockwood Park School)を卒業した25年前から、オーロヴィルに在住している。
※1969年にインドの哲学者で執筆家でもあったジッドゥ・クリシュナムルティ [Jiddu Krishnamurti] 氏が、他民族の共生する社会を見据えた教育を施すことを目的に創始した寄宿制学校
学位も何もなかったクリシュナさんが、才能1本で渡印した当初、その選択が正しかったのかどうかすら疑問だったという。
住む家を自分で建て、水や電気が安定して確保できるようにするところから、長い道のりをコツコツと歩んできたクリシュナさんは、多才な40代になった今、タミル人の妻と子供たちと暮らしながら、地域社会に持続可能な農業の提案をしている。
自然農法によって革命を起こしたユーチューバーとして、また自らの所属するバンド活動によって、そして流暢なタミル語を話せるイギリス人として、街の有名人だ。
クリシュナさんはイギリスのクリシュナムルティ・スクール時代に菜園の運営を手伝ったことをきっかけに、農業に関心を持つようになった。
その後、自然農法、またの名を「何もしない農法」に従う有機農業家であり、禅師でもある福岡正信(ふくおか・まさのぶ)氏に師事し、「わら一本の革命」に賛同、「自然は完璧だ。人間が改善などできない。だから自然農法は(作物の生育に)介入するようなことがあってはならない」と教わった。
この基本原理に基づき、カスタードアップル(ギュウシンリ)、マンゴー、パパイヤ、グアバ、サツマイモ、ニンジン、シカクマメ、ニガウリ、バナナ、カボチャ、ヤシの実、ホウレンソウ、そしてグドゥチ(ティノスポラ・コーディフォリア)、ギロイ(ハートリーフ・ムーンシード)、ハマスゲなどの薬草、そしてタピオカやターメリックに至るまで、クリシュナさんが運営する面積6エーカーの「ソリチュード・ファーム(Solitude Farm)」では、140種類もの作物を完全有機栽培で育てている。
収穫された作物は、近隣の契約者に直売しているほか、農場脇のカフェで楽しむことができる。
「日々口にしている食料について、どこから来て、どこで誰が育てたもので、どんな化学物質がどのぐらいの割合で使用されているのかということに、無頓着な人がほとんどだ。1日3回の食事は欠かせないが、それがどこに由来するものなのか、その過程から消費者は完全に離れたところにいるのはまずい」という概念が、ソリチュード・ファーム設立の骨子にある。
例えばバナナを例に挙げ、「都市でお金を支払って得られるバナナは、商品としての価値を勝手に決められたものであり、通常は実をつけた房だけだ。しかし実際には、農薬などの化学物質に触れず、遺伝子組み換えも行わずに育てたバナナであれば、花だってサラダやおかずの材料になる。また茎から絞り出したジュースは、腎臓結石に有効だ。クリーンに生育した作物は余すところなく味わうことができる」と説明する。
また雑草も種類によってはスムージーや無糖のヴィーガン・アイスクリーム、ペストソース、サラダ、そしてもちろん(南)インド料理などに活用、未熟なパパイヤはチャツネやキムチの下ごしらえのほか、クリシュナさん特製のコルドンブルー風レモングラスココナッツミルクスープの素材として活かすことができるとしている。
オーロヴィルでは、クリシュナさんの農園を見学したり、ワークショップに参加したりできるようだ。
クリシュナさんの農園ホームページ
クリシュナさんのユーチューブ・チャンネル
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
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