パトナNITでの講義の模様、クイックレポート:「日本で博士研究したい」

 

Posted on 09 Oct 2018 21:00 in トラベルASKSiddhi by Yoko Deshmukh

写真はネットで見つけた日本紹介動画からの一コマです。



滞在先のゲストハウスはキャンパスの入口付近にあり、周囲には学生や職員がバレーボールやバスケットボール、クリケットなどで自由に使えるようになっているフィールドが配置されている。
施設内には学生も利用できる食堂を備えていて、給仕さんがいくらでもお代わりを持ってきてくれた。

NIT側の世話役をしてくださったのは、いずれもNITパトナの助教授、スブラータ・ダース(Subrata Das)さん(PhD., Chemistry)とプラディープ・スクル(Pradip Sukul)さん(PhD., Chemistry)。
2人とも今回わたしたちに声を掛けてくださったアビシェックさんの学友ということで、知的な雰囲気を漂わせつつも、物腰の柔らかく好奇心も旺盛な、素敵な方々だった。

うちプラディープさんは数年前、つくば学園都市に博士研究員として2年間在住していたこともあり、ほんのちょっと日本語を話せるコミカルな方で、スーパー〇〇で買い物した思い出、焼き鳥が大好きなこと、日本人の上司がビールを浴びるように飲み、大声で話していた様子、また夜の繁華街で酔った女性が道端で寝込んでいるのを目撃して驚いたことなどを嬉々として語った。

ゲストハウスの居室は広々としていて、到着前に綺麗に清掃しておいてくださっていたため快適に過ごすことができた。
それにしても早朝から割と夜遅くまで、居室前にあるバスケットコートで、学生たちが「タンタンタン...」とドリブルをする音が響いていて、よい睡眠薬になった。

9日午前10時半、わたしの講義が始まった。
中講義室には100名ぐらいの学生が詰めていて、さすがに迫力を感じた。

わたしに求められていたのは、学生たちが日本に関心を持つきっかけとなるような講義をすること。
そのため、下手な講釈を垂れるよりはと、スライドには街や文化、食事など日本の様子が分かる豊富な写真や動画を組み込み、また日本の平均的な給与や物価なども共有し、パトナから束の間のショートトリップ体験をしてもらえるように工夫した。
また日本におけるインド人人口や、宗教や地方、言語など別の様々なコミュニティの存在、グルドワラやモスク、ジャイナ教寺院があることを知っていただいた。

このほか、日本でのバーフバリ人気についても言及した。
バーフバリ関連のコスプレやマーチャンダイジング、日本オリジナル漫画の制作のほか、テルグ語学習熱やハイダラーバーディ・ビルヤーニ人気、そしてラモジ・フィルムシティへの観光旅行に関心が高まっていることについても紹介、2月に取材を受けた「Scroll.in」記事のサムズネイルに登場したバラーラデーヴァとデーヴァセーナのコスプレには喝采が起こった。

When Katappa-san killed Baahubali-san: SS Rajamouli’s films are the latest fan favourite in Japan - Scroll.in

なお、「日本人はどのように出会い、結婚するのか」、「結婚式の費用は」、「どちらの親がそれを支出するのか」など、結婚や結婚式の様子に思いのほか関心が集まっていた。

さて、講義の最後には日本の歌を紹介したいと考え、シッダールタのアイデアで「演歌を歌うインド人」チャダさんの美声による「面影の女」を再生させていただいたところ、「どこでダウンロードできるのか」と想定以上の反響があって驚いた。


チャダさん「面影の女」

 

福岡は誰も知らないが、広島と長崎は誰でも知っている。

午後シッダールタが実施した講義では、ある学生は日本のGDPが徐々に下がっていることを指摘し、「超大国アメリカ、巨頭中国、そして次の超大国とされているインドを差し置いて、もはや飽和状態にある日本を目指すことに、どのぐらいのメリットがあるのか」という質問を挙げた。
これにはアビシェックさんも参加して非常に熱い議論が巻き起こっていたが、総じて「それでも君は日本から得られることが大いにあるし、そのような心構えで勉学等に取り組むべし」という意見に収束していた。

また、日本の治安やインド人に対する人種差別の有無について質問する人もいた。

1名あたり半日丸ごと、かなりの長時間(1名ほぼ2.5時間)を割り当てていただいて、じっくりと日本を紹介させていただいたが、昨日までは「日本ってどこ」状態だった学生たちが、グイグイと話に引き込まれ、もっと日本のことを知りたい、そして日本に行ってみたい、できれば博士研究員として日本の教育機関に在籍したい、という態度に変化していくのが肌で感じられて非常にエキサイティングな体験だった。

スブラータさんも、「あなたの講義後、職員寮の自室に少し戻り瞑想しながら、色々なことを閃いた。私も日本に行って研究生活を送ってみたい」と何度も言ってくださった。

なお、当地ではインターネットがやたら遅いので、写真は後日プネーに戻ってから順次アップしたい。


秀才女子学生たちと大学裏ガンジス川ほとりでセルフィー
 

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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