リアーナ激似のチャッティスガル出身モデル、一躍脚光

 

Posted on 07 Jul 2018 21:00 in エンターテインメント by Yoko Deshmukh

「Beauty lies in the eyes of the beholder」も「外部の価値観」という眼鏡を借りないと本質を捉えることができない、皮肉な話題ではあります。



*Photo from Azra
 

リアーナに似ていることで大きな話題になっているチャッティスガル州出身のモデルが、インドの厳格な白肌信仰に一石を投じている。

Meet India’s very own Rihanna: Chattisgarh model Renee Kujur is the R&B superstar’s doppelgenger - Hindustan Times

彼女が初めて「ファッションショー」に出演したのは、わずか3歳の時。
と言ってもそのころ、無邪気な少女であれば誰もがそうするように、羽根つきの美しいドレスを着せてもらって、他の子たちと並んで妖精のようなしぐさをした、というものだが。
しかし心弾ませて舞台に立った彼女に、観衆は「見て、黒い妖精よ!」と叫んだ。
その言葉そのものではなく、容赦なく大声で笑われたことが、彼女を深く傷つけたという。

時は流れて2018年、アメリカ人R&Bポップスター、リアーナ(Rianna)に似ているとして、レネー(Renee)さんの美に一躍、注目が集まっている。
数年前からモデルのキャリアに入ったレネーさんのインスタグラムのフォロワーは5,000人以上に達し(この記事の掲載時点)、雑誌の撮影が次々に舞い込む人気者になっている。
「白肌信仰」への固執が強いインドで嘲笑の種にされた3歳の女の子は、同じ肌の色でモデルとしてのキャリアを歩み、新たな美の基準を築いてみせている。

レネーさんはチャッティスガルのバーギーチャ(बागीचा:Bagicha)という極めて小さな村で生まれ育った。



 

しかし大方の予想通り、レネーさんが名声を得るまでの道は容易なものではなかった。
「『クライアントとベッドを共にする覚悟がなければ、黒い肌の女にモデルのキャリアはあり得ない』などと言われた」、レネーさんは回想する。

その上、レネーさんを前にした写真家が、メイクアップアーティストに肌色を3~4段階明るくするよう注文した上、撮影した写真はさらにPhotoshopなどの加工ソフトウェアで編集を重ねられた。
こうして、まるで本人のものと分からないものに仕上げられた写真を見た現場の人間たちは、「(明るい肌に造り上げることで)黒い肌の女の子を綺麗にできた!」などと小馬鹿した。

モデルのキャリアを踏み出したレネーさんを待ち受けた、想像を絶する嘲笑や屈辱の日々に、大きな転換が訪れたのは、ある友人による「レネーは、あのリアーナに似てるね」という指摘だった。
「最初は笑ってごまかした。そんなはずないよって」

ところがそれ以降、レネーさんを見る人々の目がガラリと変わった。

「写真家がクライアントに私を紹介する時に、リアーナに似ていると伝えさえすれば、交渉がいとも簡単にまとまるようになった。リアーナの美しさは誰も否定できないから。もう『黒い妖精』なんて言う人はいなくなった」

「インド人たちが、黒い肌に対する根強い偏見を持つ以上、欧米の人々がその美を絶賛しているリアーナに似ていなければ、仕事を得ることは非常に難しかっただろう。リアーナに似ているのだから、私が魅力的でないわけがない。人々はそう考えて、ようやく受け入れてくれるよになった」レネーさん。

ただし、そのような「幸運」をもってしても、レネーさんが獲得できる仕事の数は、白い肌を持つモデルの3分の1程度に過ぎないという現実はある。
「ルールを変えようと思う人はほとんどいない。(インドでは)多くの人にとって、色白こそが美なのだ。そうした基準を変えるのは時間がかかるだろうが、自分がその変化の中にいると感じられるのはうれしい」

レネーさんの究極の夢は、「運命を変えてくれた」リアーナに会って驚かせ、そして感謝することだという。

いまだに肌の色が美の定義であり続けているこの国では、レネーさんのようなモデルが高く評価され、固定観念を破ることができれば、誰もが持って生まれた肌の色に自信を持てるようになるかもしれない。


レネーさんのインスタグラム





          



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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