今朝たまたまツイッターを見ていたら、親しみのある社名が冠された経済ニュースが目に飛び込んできた。
それは、NTTデータがプネーでAI医療画像診断ソリューションを開発するスタートアップ企業、ディープテック(DeepTek)の株式を取得したという「The Financial Express」の報道だった。
Japan’s NTT invests in medical imaging AI start-up DeepTek - The Financial Express
DeepTek Inc
具体的には、ディープテックの株式の一部(具体的な数字は不明)をNTTデータが取得したという内容で、これだけでもプネーの日本人住民としては、日本企業の資本が当地の医療技術分野に入ることは地味にセンセーショナルな話題だと思う。
加えてわたしにとっては、ディープテックの共同設立者となっているアジート・パティール(Ajit Patil)さん(インド工科大学 [IIT] カラグプル校出身)こそ、わたしが前職で在籍していたソフトウェア会社の元共同設立者であり元最高経営責任者(CEO)であり、大変お世話になった尊敬する相手だったので、単純にミーハーな喜びだった。
ちょっと調べてみたら、NTTデータ公式プレスリリースには、以下の報が見つかった。
インド医療機関にてAI画像診断支援の実証実験を完了 - NTTデータ(2018年9月26日)
しかし株式取得については、まだ日本では伝えられていないようなので、せっかくなので記念にASKSiddhi(アスクスィッディ)にて紹介したい。
「The Financial Express」報道によればディープテック側のアジートさん談として、NTTデータは同社株式の10~15%を取得する戦略的株式パートナーシップを結び、この投資によりディープテックは、およそ2年半分の開発費用をまかなうようだ。
アジートさんは記事の中で、現在も全世界からのベンチャー資金調達を模索していると述べている。
アジートさんとともにディープテックの共同設立者に名を連ねているのは放射線医師であるアミット・カーラト(Amit Kharat)氏、そしてカリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)でAI技術の博士号を修得したアニルッダ・パント(Aniruddha Pant)氏。
なお、創立1周年のディープテックは本社を米国とし、プネーは開発センターという位置づけのようだ。
AI技術を活用し、放射線医師の作業負荷を軽減しつつ高度な意思決定を支援することで生産性を向上し、診断プロセスを迅速化、結果としてより短期間に、より低いコストで、より正確なレポートを出力し、従来型の放射線医療モデルに革命をもたらすことを目指している。
年間売上高はおよそ5,000万ルピー、うちインドが7割、米国が3割を占めている。
加えて、アジートさんはディープテックの業務モデルについて次のように詳細を説明している。
「患者数は世界的に急増している一方で、放射線医師の数は比較的限られていることから、サービスコストが増大し、また患者の待ち時間も長くなりがちだ。そこで、比較的新しい技術に対する適応性の高い放射線医師であれば、AIを活用したソリューションを導入することで効率や精度を大幅に向上させる余地があると考えた。ディープテックのサービスは、インド国内の病院や医療機関の一部で既に運用されているほか、共同でソリューションの開発や検証を実施している。例えば、プネーには10名の放射線専門家とデータサイエンティストが在籍してチームを組み、各地から送られてきた患者の診察データを解析する遠隔放射線診療モデルを回している。」
また「The Financial Express」報道では、NTTデータの取締役常務執行役員、木谷 強(キタニ・ツヨシ)氏(技術革新責任者としての紹介)の以下の話も掲載している。
「NTTデータは既に全世界の医療画像技術市場で大きな存在感を有しており、今回の提携により世界中の顧客にディープテックのサービスを提供することが可能となる。NTTデータの旗艦クラウドベースソリューション、「Unified Clinical Archive」(医療画像のアーカイブシステム)は、北米市場で3番目に大きな医療用画像データベースとなっており、数十億件の画像が保存され、およそ1,100件の臨床画像サイトのデータが格納されている。」
「The Financial Times」報道の骨子は以上である。
なお、アジートさんは前述のソフトウェア会社を2007年にNTTデータに売却後、2013年に同社を退職、その後は「法人向けウーバー」とも言える従業員向け配車サービスを展開する企業、「Smartcloud Tech」も共同経営している。
SmartCommute
知る人ぞ知る、プネーにおける日本ビジネスのキーマンでありラスボス的なお方なのである。
アジート・パティール(Ajit Patil)さんLinkedInプロフィール
※懐かしついでに、2006~2007年にかけて前職ソフトウェア会社がNTTデータに買収された際のASKSiddhi(アスクスィッディ)記事も掲載しておく(最終的には同社はNTTデータの完全子会社化のち米法人傘下となり、現在もプネーに同社開発センターがある)。
NTTデータ、Vertex Software株式の68.7パーセント取得(2007年11月15日)
本日アクセスが多かったASKSiddhi(アスクスィッディ)記事トップ5
1位 意外に低かった?世界の大学ランキング200校中のIITの位置は(09 Jun 2017)
2位 観た人がケーララ州を訪れたくなる動画を、サムソナイトが制作(29 Sep 2018)
3位 おいしい?甘すぎる?グラーブ・ジャームンの由来と変遷あれこれ(25 Jul 2016)
4位 ポルトガル鉄道のインターネット事前切符予約(26 Oct 2016)
5位 プネーの国際交流ティーパーティー10月に復活: Pune International Tea Party to Come Up in October!(30 Sep 2018)