おいしい?甘すぎる?グラーブ・ジャームンの由来と変遷あれこれ

 

Posted on 25 Sep 2018 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

こういうのを見ていると、無性に食べたくなります。というか口いっぱい頬張りたいです。*The image from Preetis Palace - Indian Restaurant Boondall.



インドのスイーツとして真っ先に頭に浮かぶグラーブ・ジャームン(गुलाब जामुन)。
その歴史について、「The Better India」が紹介していた。

The Origin of Gulab Jamun: A Story of History, Tradition & Oodles of Sweetness! - The Better India

グラーブ・ジャームンとは、コーヤ(खोया)またはマワ(मावा)と呼ばれる凝乳マイダー(मैदा:精製粉)や砂糖と混ぜ合わせて球状に成型し、食用油でキツネ色に揚げた後、バラの香料を仕込んだシロップに漬けたお菓子だ。
インドに旅行したこと、住んだことがある人であれば、高い確率で賞味しているだろう。

このグラーブ・ジャームンの誕生秘話には諸説あるが、起源はペルシャやトルコであるというのが有力だ。

よく似たお菓子は、中東ではバミエ(bamieh)、トルコではトゥルンバ(tulumba)と呼ばれている。

グラーブ・ジャームンの生い立ちについては、古くからアラビアで好まれてきた蜂蜜漬けの砂糖菓子で、(判決にすら影響を与えるほどのおいしさから)「裁判官の一口」という名を持つ「luqmat al qadi」に由来するのではないかと紐解いている。

「luqmat al qadi」がインドに伝来すると、地方ごとに様々なアレンジが加えられることになる。
例えば、コルカタでは円筒形をした赤褐色の揚げ菓子は「レディケニ」と呼ばれている。

このレディケニ誕生秘話とは次のようなものだ。
1850年代後半、当時のカルカッタ(現コルカタ)で随一の製菓業を営んでいたビーム・チャンドラ・ナーグ(Bhim Chandra Nag)という人物が、後に英領インド総督となるチャールズ・カニング(Charles Canning)卿の、甘いものが大好きな夫人(レディ・カニング)のために、特別な菓子を用命された。
試行錯誤の末に完成した菓子を味わったカニング夫人は大いに気に入り、それ以降、晩餐会や社交行事などの機会には欠かさず提供されるようになった。
ほどなくこの菓子は夫人の名前を正しく発音できなかった地元の人たちに「レディケニ」と呼ばれるようになった。

なお、コルカタの所在する西ベンガル州には、ミシュリ(mishri)という氷砂糖を詰めたパントゥア(pantua)というグラーブ・ジャームンによく似た見た目の小ぶりなお菓子がある。

「The Better India」の記事では、アメリカでいわゆる「ドーナツ」と総称される揚げ菓子の世界的な歴史や各地域ごとのレシピについて究明する興味深い書籍も紹介している。
案の定、レビュー欄には「グラーブ・ジャームンはドーナツでない!」と怒っている人がいた。

The Donut: History, Recipes, and Lore from Boston to Berlin by Michael Krondl - Kindle
 





            



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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