ゴアで消えゆくポルトガルの遺産を守り抜く人々

 

Posted on 13 Aug 2021 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

写真はWikipediaからお借りした、ゴア出身の世界的に有名なファド歌手、ソニア・シルサットさんです。



「Money Control」で、1510年から1961年までの450年間、ポルトガルの首都リスボンの直轄領だったゴアが、インドに併合されて60年あまりの間に、急速にヨーロッパの遺産が薄れつつあるという記事を公開しており、そこにポルトガルの伝統音楽として世界無形文化遺産に登録されたファド(Fado)を、インド人として唯一歌う女性について紹介していてとても興味深かった。

After 60 years of Indian rule, Goa's disappearing Portuguese legacy

記事では、ゴア大学(Goa University)でポルトガル語を教えるロレーヌ・アルベルト(Lorraine Alberto)さんの話として、かつて地位と権力へのパスポートだったこの言語への関心が急速に薄れ、受講を希望する学生が常に定員割れしている現状や、現役時代は教師をしていたオノラト・ベロ(Honorato Velhoさん)さんが、ポルトガルの現首相で、父がゴアにルーツを持つアントニオ・コスタ(Antonio Costa)氏の祖父宅で遊んだことをはじめ、ヨーロッパと地元ゴアの刺激を受けながら育った子供時代を懐かしく思い出すが、自分の子供たちがポルトガル語をまったく話さないことを憂いている話などが紹介されていた。

州全体で古いポルトガルの様式を思わせる、屋根付きのテラスや、苛烈な日射を乱反射し、室内に入ることを防ぐ目的で貝をあしらった窓を持つ、美しい家々は、新しく建てられるアパートの用地に取って代わり、失われつつある。
執筆家のヘタ・パンディット(Heta Pandit)氏は、「ゴアの歴史を物語る証拠であり、文化を閉じ込めたカプセルのような、貴重な家々だ」と述べている。

一方、新しい世代の中に、ゴアの持つ遺産と自己とを結びつけ、形にしている人々もいる。

中でもゴア生まれのファド歌手、ソニア・シルサット(Sonia Shirsat)さんは、19世紀初頭にポルトガルで生まれた、物憂いギターの調べをリードとするファド、インド人として初めてプロで歌っている。

シルサットさんは自分の歌に熱心に耳を傾ける聴衆たちの大部分が、ポルトガル語をほとんど理解しないことを前提に、曲の合間に一時停止し、各トラックの背後にある意味を丁寧に説明する。
ポルトガル語を教えようとした母に反発していた自分自身も、まさにそうだったからだ。

そんなシルサットさんがファドに魅了されるきっかけとなったのは、あるポルトガル人ギタリストとの出会いだった。
その豊かでビロードのような声は、ファドを歌うのに理想的だと語ったのだ。

訓練を受けるためにリスボンに移住、2008年に現地でファドコンサートをソロ公演した初のインド人となったシルサットさんはコロナ禍まで、世界中で公演、中にはシタールなどのインド伝統楽器と組み合わせた作品もある。

ファドの曲には過去への憧れが込められているが、ゴアではファドはまた、2つの時代を結ぶ架け橋としての役割も果たしているとシルサットさん。
「ファドは失われた何かについてだけでなく、これから来るべきものについても語りかけています。100年以上のゴアに生き続けてきたファドを保存しなければ、自分の一部を失うに等しいのです」

さっそくシルサットさんの歌うファドの動画を探してみた。
鳥肌が立つような深い声は、時に上滑りする軽薄なボリウッド音楽ばかりがもてはやされているインドにあって、インドではない、まるでゴアそのもののような存在に魅了された。



 

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なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。

=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※8月11日付けのメール、件名「日本における新たな水際対策措置(インドからの入国者に対する指定施設での待機期間変更)」


●8月14日(土)午前0時以降にインドから日本に入国する全ての方は,検疫所が確保する宿泊施設での待機期間がこれまでの10日間から6日間に変更となります。

1 8月11日,日本政府は,新たな水際対策措置として,8月14日(土)午前0時以降にインドから日本に到着する全ての方に対し,検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設に限る)での待機期間をこれまでの10日間から6日間にすると発表しました。8月13日(金)にインドを出発し,14日(土)に日本に到着する場合は,本件措置の対象となります。
また,入国日の翌日から起算して3日目,6日目に改めて検査を行い,いずれの検査においても陰性と判定された方については,検疫所が確保する宿泊施設を退所し,入国後14日間の残りの期間(8日間)をご自宅等で待機していただくことになります。
(例:土曜日に日本に到着された方は,日曜日が1日目,火曜日が3日目,金曜日が6日目となり,3日目,6日目に検査が行われます。これらの検査で陰性の場合は,6日目の金曜日に指定施設での待機が解除され,残りの8日間をご自宅等で待機していただくことになります。)

ご参考:全ての入国者に共通の措置(厚生労働省ホームページ:水際対策に係る新たな措置について)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00209.html

2 今回の待機期間変更に伴い,空港からの移動手段,指定施設での待機後の待機場所,空港での海外在留邦人向けワクチン接種の予約を変更する必要がある方は,御注意ください。
なお,海外在留邦人向けワクチン接種の予約をしている方で,予約を変更またはキャンセルされる方は,予約日の前日まで以下の特設予約サイト上で変更またはキャンセルすることができます。体調不良等で接種当日にキャンセルされる場合は,コールセンターへ御連絡ください。

【特設予約サイトURL】
https://mar.s-kantan.jp/mofa-v-u/
【海外在留邦人向けワクチン接種事業に関するお問い合わせ先(コールセンター)】
電話 ○日本国内からかける場合:03-6633-3237(有料)
   ○海外からかける場合:(+81)50-5806-2587(有料)
もしくはSkype上でmofa-vaccine-QA@asiahs.com(無料)
 (日本語:月曜~日曜8時~20時(日本時間),英語:月曜~金曜9時~18時(日本時間))
メールアドレス:mofa-vaccine-QA@asiahs.com

【問い合わせ先】
在ムンバイ日本国総領事館・領事班
電話(91-22)2351-7101
メール ryoji@by.mofa.go.jp
=== 転載終わり ==


☆本日の1曲☆






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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