投資3,500ルピーで月15万ルピーを稼ぐ社会企業家となったプネーの女性

 

Posted on 22 Jul 2021 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh

サクセスストーリーと同時に、彼女が雇用している人数に驚きました。写真はプネーの某所でいただいた「ソムタムもどき」です。おいしかったな。



楽しいインド(プネー)暮らしの中で数少ない、日本を恋しくなる点と言えば、フレッシュなサラダがいつでも豊富に食べられるところだと思う。
しかし、本日「The Better India」で見つけたプネーの女性起業家が手掛けるサラダが、わたしの悩みを解決してくれるかもしれない。

Investing Rs 3500 to Sell Salads, Pune Woman Now Earns Rs 1.5 Lakh/Month

メガー・バフナ(Megha Bafna)さんは、2017年にプネーで新鮮なサラダを販売する事業「Keep Good Shape」を、わずか3,500ルピーの資金で立ち上げ、コロナ禍を経てなお、わずか数年で毎月数十万ルピーを稼ぎ、30名を雇用するまでに成長させている。

メガーさんは本業である不動産会社での仕事を続けながら、「新鮮なサラダを多くの人に味わってもらいたい」という自らの情熱を追求し、成功させている、稀有な人だ。
「自分の能力にはかなりの自信を持っており、無駄にしたくなかった。不動産業界で15年以上のキャリアを積んできた今、思い切って自分の好きなことに取り組もうと決意した」メガーさんは「The Better India」に起業の動機をこのように語っている。

メガーさんは9年生(15歳くらい)の時、ある大病を患い手術を受け、1年半もの間、寝たきり生活を強いられた。
しかもその時、医師には「回復しても年齢を重ねるにつれ何らかの合併症を発症する可能性がある」と告げられた。

「常に野心的だった」というメガーさんは、大学生になってすぐに最初の仕事に就いた。
「それは貧しかったからではなく、経済的に自立したかったから」と述懐しているが、職場には健康上の理由により自作の弁当を持参していたが、「(プネーでは持ち寄った弁当を仲間とシェアして食べる習慣があるため)同僚たちはとりわけ、私の作るサラダを絶賛してくれた。ついには『もっとたくさん作ってきて』と催促されるようになる始末」と語る。

メガーさんはそこに目ざとくチャンスを見い出した。
「ジャンクフードは簡単に手に入るのに、健康に良いとされる新鮮なサラダは高価であるか、すぐに手に入らないかのどちらかだ(筆者、ここで首がもげそうになるほど頷く)。それをどうにかしたいと思っていた」
奮起し、夫と相談の上でビジネスアイデアを形にし、電子チラシを作成してインスタントメッセージアプリの「WhatsApp」や、FacebookなどのSNSで配布した。
それ以外に有料の広告やプロモーションを一切していないのに、「完全に有機的かつ口コミで事業は順調に成長した」と語っている。

初日に投資した3,500ルピーで6つの注文を獲得、新しい注文が舞い込むたびに、挑戦すべき壁は増え続けた。

だからこそメガーさんは、正社員としての仕事を続ける選択をしたのだ。
毎朝4時に起き、サラダに入れる(スプラウトのための)豆や穀物を水に浸してから、その日の新鮮な野菜を手に入れるために市場に向かった。買ってきた野菜はすべてきれいに洗い、みじん切りにし、下ごしらえをした。

その間、息子を学校に通わせるための準備も同時進行し、注文を受けたサラダをすべて容器に詰めて発送するだけの状態にし、仕事に出かけた。
「ジェットコースターに乗っていたような毎日でしたが、とても楽しんでいた」メガーさん。

現在、毎月15万ルピーをコンスタントに稼いでいる。

「お客様に質の高いサービスを提供することは確信していた。多くの要因で売上は上下したが、この4年間、変わらない品質とサービスの維持に取り組んできた」

しかしそんなメガーさんの事業と注文が順調に進み始めたちょうどその時、インド政府によるプラスチック使用の全面禁止が導入され、大きな打撃を受けた。

「プラスチック禁止は確かに素晴らしい動きだったが、私にとっては最悪のタイミングだった。それまで使っていたプラスチック容器に代わるものを探して奔走した。当初、アルムホイルで代用しようとしたが、野菜の水分バランスが崩れてビシャビシャになり、食欲をそそらないものになってしまった。一夜のうちに、売り上げは1日300件から50件に激減した」
メガーさんは幸い、試行錯誤の末に再利用可能なプラスチック代替容器を見つけた。
少し高かったが、サラダの鮮度も保つ品質であることを確認した。

それから、失った顧客を取り戻すために、サンプルパックの発送を開始、ゆっくりと信頼を取り戻すことができた。
「この4年間の事業運営を通じて、多くのハードルに直面してきたが、日々奮闘はあるものの、必ず回避する方法を見つけてきた。また、そうした問題を解決することが、私にとって最大の学びと呼べるものになっていった」とメガーさん。

メガーさんは現在、10名以上を女性が占める30人を雇用し、27種類ものサラダを販売している。
どれも簡単なことではなかったが、絶え間ない献身と勤勉こそが報われたと話す。

変わらぬハードワークの中で、唯一の変化と言えば、「人を雇用するようになったことから、朝は6時半までゆっくり寝ていられるようになった」と笑うメガーさん。

毎週、新鮮なサラダが届くサブスクリプションは月620ルピーから、サラダとスープのセットは月1,200ルピーから受け付けている。
そしてメガーさんはまもなく、このサービスで近隣のムンバイーにも進出することを計画している。

それにしても、月15万ルピーとは、現在のレートで20~22万円ほどに過ぎないのに、30名も雇用できてしかも質の高いサービスを提供できるとは。
もちろん、メガーさんの特別な能力とハードワークが成せる業であることは間違いないが、インドでは「社会企業家」になるハードルもだいぶ低いのかもしれないと、自らの働き方を振り返り考え込んでしまう。

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なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。

=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※7月17日付けのメール、件名「海外在留邦人向けワクチン接種事業:接種までの流れ」


●日本に一時帰国してワクチン接種を行うことを希望する方々を対象としてワクチン接種の予約受付を7月19日から開始します。
●インドを含む指定宿泊施設での10日間の待機が必要とされる国・地域からの入国者に対しては、医師等が週に2日(月曜日及び金曜日)宿泊施設を巡回し、接種希望者に対して接種を行うこととなります。

1 7月19日正午(日本時間)から、在留先でのワクチン接種に懸念等を有する海外在留邦人等を対象とした新型コロナ・ワクチン接種事業のインターネット予約受付を開始します。本事業での接種を希望される方は、特設サイトを通じて事前の予約をお願いします。
なお、特設サイトへのリンクは、予約受付の開始と同時に外務省海外安全HP(https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/vaccine.html)に掲載いたしますので、そちらを御確認ください。

2 インドを含む指定宿泊施設での10日間の待機が必要とされる国・地域からの入国者に対しては、医師等が週に2日(月曜日及び金曜日)宿泊施設を巡回し、接種希望者に対して接種を行うこととなりますので、「巡回接種予約枠」で予約を行ってください。(巡回接種枠を予約できなかった方及び待機期間後に接種を希望される方は空港の接種会場で接種いただきます)。
(ご参考:接種までの流れ)
https://www.mumbai.in.emb-japan.go.jp/files/100213787.pdf

【問い合わせ先】
在ムンバイ日本国総領事館・領事班
電話(91-22)2351-7101
メール ryoji@by.mofa.go.jp

=== 転載終わり ==


☆本日の1曲☆

 






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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