パンデミックが生んだ銘菓店、「チタレー」の誕生秘話

 

Posted on 29 Apr 2021 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

プネーの「ド」ローカル話です。写真は2年くらい前に店舗を訪れた時に撮りました。



プネー出身者や在住者なら誰でも知っている、今年で創業82年を迎える有名な菓子店「チタレー(Chitale)」が誕生したのは、実は「パンデミック」がきっかけだったという興味深い秘話が、「The Better India」に掲載されていた。

わたしにとって「チタレー」は、「バッカルワディ(Bakarwadi)」という独特の甘辛いスナックと、常に混雑した店内が思い浮かぶが、コロナ禍の今、どうなっているのかな。

Did you know Pune’s Iconic Chitale Bandhu Exists due to a Pandemic?

チタレーの「起源」は、1939年、マハーラーシュトラ州でも干ばつが起きやすくHinterlandとされていた、リンブゴーウ(Limbgove)という村の若き青年が、数十頭の水牛を購入して酪農家として起業した時にさかのぼる。
その人こそ創業者のバスカル・ガネーシュ・チタレー(Bhaskar Ganesh Chitale)氏で、この世を去って久しい今でも「ババサヘブ(Babasaheb)」と慕われている。

そう、バスカル青年は14歳だった1918年、当時猛威をふるっていたスペイン風邪のパンデミックにより父を亡くし、一家の主として重い責任を背負うことになったのだった。
勉学を諦めて農場労働者として家計を支えようと試みたが、荒れた土地でいくら農業に精を出しても収入は知れていた。

そこで新天地を求めて同州サングリ(Sangli)県にあるビラワディ(Bhilawadi)という町へ移り、水牛を買うという「投資」に賭けたのだ。
これが「チタレー」誕生のきっかけだった。

クリシュナ(Krishna)川のほとりにあったため水資源が豊富であったこと、そしてボンベイ(ムンバイー)に直通の大英鉄道(British Railway)駅があったことなどから、当時ビラワディは酪農の一大拠点となっていた。

しかし、低温殺菌や品質の標準化といった概念がなかったころ、搾乳した貴重なミルクを新鮮な状態で販売するのには限界があり、これをきっかけにCurd、Hung curd、Khoa(コンデンスミルク)といった乳業が発達、チタレーでも次第に余剰ミルクを使った商品の幅を広げ、パニール(カッテージチーズ)、シュリカンドー(生乳を発酵させて作るデザート)、ギー(澄ましバター)、チーズ、粉乳などを展開するようになった。

販売拠点も、当初のボンベイから、地域柄より固定客の付きやすいと考えられたプネーへ移した。
現在は加工場から75キロメートルほどの地点に生乳を集める「doodhsanghs(ミルクセンター)」を置き、4万件を超える提携する酪農家からミルクの供給を受けている。

「チタレー」の名を広めるきっかけになった製菓業は、酪農家をはじめとする関係者すべてが安定した収入を得られるようにとの思いからだったという。

現在、チタレーではクラウドコンピューティング、データ分析、酪農家への支払い自動化など、テクノロジーも駆使してプロセスをさらに合理化している。

「バッカルワディ」は70年代に、「マハーラーシュトリアンだけでなく、より幅広い客層に訴求するように」とのアイデアから、グジャーラーティー風の菓子を試作したことがきっかけで誕生したようだ。
だから、独特の甘辛テイストなんだな。

2021年の今、「現代のより複雑な需要に応え、砂糖を使わないお菓子やケト系、ヴィーガン系の商品をインターネットで販売」とあるので興味を抱き見に行ってみたら、本当にあった。

Products Chitale Bandhu

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なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。

=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※4月20日付けのメール、件名「新型コロナウィルスに関する注意喚起(マハーラーシュトラ州における食品販売制限措置)(続報)」


●4月20日、マハーラーシュトラ州政府は、食品の店頭販売時間を制限する命令を発出しました。この制限の期間は、20日午後8時から5月1日午前7時までとなります。

1 4月20日20時より、マハーラーシュトラ州政府は、食品の店頭販売時間を制限する命令を発出しました。この制限の期間は、20日午後8時から5月1日午前7時までとなります。

2 全ての食品(野菜、肉、魚、卵等)の店頭販売は午前7時から午前11時まで(自宅宅配は引き続き午前7時から午後8時まで(市区町村行政担当部署により変更される可能性あり))となりました。

3 インド政府は、外国人の入国制限の緩和に関するガイドラインを発表していますが、日本外務省はインドについて「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」の感染症危険情報を発出しています。緊急にインドへの渡航を検討されている邦人の皆様におかれては、その必要性や時期について、渡航の是非を慎重に再検討いただくよう、お願い申し上げます。

4 在留邦人、インドご滞在中の皆様におかれては、以下の点にご注意の上、最新情報の入手に努めてください。
(1)中央政府及び地方政府が感染予防のための措置を継続しており、制度が突然変更される可能性もありますので、十分注意して行動してください。
(2)ご自身や周囲の人の感染防止のため以下の点について励行願います。
・不要不急の外出を控える。
・外出時はマスクを着用する。
・密閉空間、密集場所、密接場面を避け、ソーシャル・ディスタンスを確保する。
・アルコール系手指消毒薬または石鹸と流水による手洗いを頻繁に行う。目、鼻、口などに触れる前に手洗いをする。

(各種情報が入手できるサイト)
インド政府広報局ホームページ
https://pib.gov.in/indexd.aspx
インド保健・家庭福祉省公式ツイッター
https://twitter.com/MoHFW_INDIA
インド入国管理局ホームページ
https://boi.gov.in/
在日インド大使館ホームページ
https://www.indembassy-tokyo.gov.in/jp/index_jp.html
外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/
厚生労働省ホームページ:新型コロナウィルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
首相官邸ホームページ:新型コロナウィルス感染症に備えて
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

このメールは、在留届にて届けられたメールアドレス及び「たびレジ」に登録されたメールアドレスに自動的に配信されております。

【問い合わせ先】
在ムンバイ日本国総領事館・領事班
電話(91-22)2351-7101
メール ryoji@by.mofa.go.jp

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=== 転載終わり ==


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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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