インド人工知能系企業社長の福岡初訪問に先駆けて

 

Posted on 13 Nov 2019 21:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh

コネも肩書も人望も資格も、何もないからこそ、本質が見えやすいのです。写真は旧大名小学校校舎をそのまま活用した「Fukuoka Growth Next」です。未来につながるといいね。



プネーでもう15年来という長い年月、お世話になっているご縁に付け込んで、8月末ぐらいからA1さんが経営に関わっている人工知能(AI)系企業AA社に週1日、半日だけ勉強のために訪問させていただいている。
そのAA社を率いている社長A2さんが明日から2日間、初めて福岡を訪問してくださることになった。

もともと、偶然わたしが一時帰国しているタイミングでお2人が東京を訪問されるご予定があることを知り、気軽に「じゃあついでに福岡にもどうですか」などと呼び掛けてみたところ、見事にそれをキャッチしてくださりすぐに行動に移されるそのダイナミズムは、スタートアップながらもすでにグローバルに名を馳せるAI企業を率いる敏腕社長像そのものだ。

本当は、A1さんが以前経営していた日系企業の元社員が若干名、福岡で暮らしていることもあり、お2人で来て欲しかったのだが、A1さんに関しては今回は都合がつかずA2さんだけの訪問となった。
そのA2さんも、「初めての訪問で何かが起きるなどとはまったく期待していないので、観光も兼ねて楽しみたいから気楽に」と当初からおっしゃってくれており、何らの強制もされていない。

しかしわたしとしては、願わくば何らかのきっかけが生じて、福岡にこれから何度でも訪れてもらいたい、福岡が推進する「グローバル化」とやらに、きっとこの会社は大いに貢献できるのではないか、という強い思いがあったため、プネーを出発する前からあれやこれやと策を巡らしていた。

帰国後は所要による大阪への弾丸訪問から福岡に戻るや、いろいろな人々に会いに行き、AA社やA2さんのことをPRして、この貴重な機会にぜひ会いに来てもらいたいと呼び掛けた。
簡単なようだが、わたしのもともとの性格を知る人、もといわたし自身も、その行動力に心底驚いている。
そもそもが生粋の人見知りなのだが、そんなものはどこかへ放り投げて奔走し、これまで自分なりにベストを尽くしたと言える。
そして実際、こうした努力の過程も、かなり楽しめた。
自分が長年暮らすプネーの、大好きな人たちが働く会社を作った人だから、絶大な信頼と自信があるのだと思う。

なお、インドの企業経営者が訪問すると言うと、「豊かな日本から旨味のある仕事を獲得しに来た貧民」と思っている節のある人がいまだにけっこういる。
日本企業を含む大手複数社との資本提携があるAA社はむしろ、将来の人材獲得を視野に入れているぐらいなのだが(インド人の優秀なデータサイエンティストは世界でも最高水準に給与が高く、むしろ日本人の方が安いらしい)。

某行政機関で、こんなやり取りがあった。
その人は、「A2さんたちが東京にも行かれているのであれば、才能のある人間はむしろ福岡よりもあちらの方がいらっしゃるのでは」などという驚愕のアドバイスをくれた。
あるイベントで出会った、別の「スタートアップ担当」の市職員だって、メールしたって返信なしだ。
人脈も人望も資格もなんもない、わたしのような者が窓口になってしまっているので仕方がないし申し訳ない面もあるが、つくづく、福岡市の「起業家育成」はラベルだけ、旗振りだけなんだな。
福岡の、いわゆる「国際ビジネス」云々の行政事業の、そんなところは10数年前からまったく変わっていなくて、むしろ潔いほどだ。

一方で、同じくあるイベントで出会った若き企業経営者の方は、A2さんの訪問日程と偶然重なるという理由で、いち早くご自身が参加される有益な交流イベントの案内を共有してくださり、おかげでA2さん訪問の公式目的はほぼ果たされそうだ。
ちなみにこの方は、福岡県外の方である。

この他にも、A2さん訪問およびAA社の説明に熱心に耳を傾けてくれたのは、福岡在住の外国人ばかりだ。

福岡よ、余裕だね。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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