インドで支配的地位を確立するグーグル、不当に競合を排除か
Posted on 29 Jun 2019 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh
インドで今年販売されたものだけでも、99%のスマートフォンにアンドロイドが搭載とは。※Google Photoが勝手に編集してくれた写真と記事の内容とは無関係です。
グーグル(Google)はインドのスマートフォン市場におけるアンドロイド(Android)優位の立場を悪用し、デバイスメーカーがアンドロイドに代わるOSを選択する機会を故意に妨げている疑いがあるとして、インド競争監視委員会(Competition Commission of India、CCI)ではより広い捜査に着手し、反トラスト訴訟準備を進めている。
ロイターがインド特派員の独占取材し記事で明らかにしていた。
Exclusive: Google appears to have leveraged Android dominance - India watchdog
CCIからロイター(Reuters)が入手し、確認した14ページにわたる命令書では、グーグルがメーカーに課していた制限は、インドの競争法に照らして「不平等な条件」に及ぶものと見られる。
ロイターでは先月、CCIが今年4月に、アンドロイドの支配的地位を、競合の参入を阻害する形で悪用している疑いについて、グーグルに対する捜査を開始したことを報じているが、捜査命令のきっかけとなった初期の評価を詳述する指示書の内容については、これまで明らかになっていなかった。
グーグルにとって、インドでの事例は初めてではない。
ヨーロッパ市場でも、アンドロイド搭載デバイスを製造するメーカーに、グーグルのアプリをプリインストールするよう要請していた容疑で、規制当局から5億ドルの罰金支払いを命じられている。
グーグルはその判決を不服として上訴している。
同社が独占所有権を持つアプリのプリインストールを条件づけることで、グーグルは「アンドロイド以外のOSで動作するデバイスの開発や販売を希望するデバイスメーカーの能力と動機を削いでいる」と、CCIはその命令書の中で述べている。
「結果として、グーグルの優位を明らかに流用することになっている。」
ロイターの取材に対し、グーグルは先月発表した声明を指し、アンドロイドのおかげでモバイルデバイスがより手の届きやすい価格になり、数百万人のインド人がインターネットを享受できるようになったと回答した上で、「これまでアンドロイドが競争やイノベーションを限定するどころか、いかに盛り上げてきたのかを実証するために」、CCIに協力する用意があると述べた。
対するCCI側は未回答だ。
4月16日付の命令書が、グーグルに対するより手広い捜査を喚起する一方で、CCI側捜査部門は、グーグルの明らかな過失を特定できずにいる。
また、CCIがグーグルに不利な判決を出した場合の、同社に対して科せられる罰金の金額も、現時点では明らかではない。
アンドロイドはグーグルが無料で開放するOSで、全世界のスマートフォンの88%に搭載されている。
調査会社カウンターポイント・リサーチ(Counterpoint Research)の試算によれば、インドでは今年販売されたスマートフォンだけでも99%がアンドロイドを搭載している。
EUの事例では、規制当局はグーグルがメーカーに、アンドロイド搭載端末にアプリストア「グーグルプレイ(Google Play)」だけでなく、グーグル検索(Google Search)およびクローム(Chrome)ブラウザーのプリインストールを義務付け、不公正な利益を追求したと主張している。
一方のインドでは、CCI命令書によれば、グーグル側はアンドロイドはオープンソースプラットフォームであり、プリインストールの義務付けは「限定的な範囲である」と反論していると記載している。
CCIは、インド事例での訴状でも、グーグルがヨーロッパでの事例にも記録があるような脅迫的な態度を取っていたと主張し、しかも情報筋によればそうした態度に複数の人物が関わっていたとしている。
その中で、グーグルが「グーグルの支配を固める目的で」競争を制限する不正な慣行に手を染めていたと記述されている。
グーグルは「非難すべき行為により、オンライン検索市場におけるその支配的地位を永続させつつ、競合の検索アプリによる市場への参入を妨害している」と、CCIはその命令書の中で述べている。
CCIの捜査部門は、この事例に関する広範な操作を150日以内で完了すると命令書では述べているが、通例こうした捜査には数年かかるのが常である。
CCIはまた、アンドロイド・プラットフォーム乱用の疑いに関するグーグル役員の立場についても捜査すると述べている。
こうした捜査はグーグルにとって、最も大きな成長を見込む市場のひとつであるインドでの、頭の痛い反トラスト案件となるだけではない。
昨年、CCIはグーグルに、「検索バイアス」とその支配的地位を乱用したとして、13.4億ルピーの罰金を科している。
この命令書に対してグーグルは、「回復不能な」損害と評判の損失を引き起こし得るとして上訴しており、本件はインドの法廷で引き続き係争中となっている。
本日最も読まれている記事
1 ポルトガル鉄道のインターネット事前切符予約 26 Oct 2016
2 日本で歴史大作「パドマーワト 女神の誕生(Padmaavat)」を鑑賞 20 Jun 2019
3 福岡で極めつけの幸福感あふれるサリー会と、日本でインドのおしゃれサリーを購入するアイデア 23 Jun 2019
4 デリーで屋台を巡るツアーを企画する旅行会社 22 Jun 2019
5 意外に低かった?世界の大学ランキング200校中のIITの位置は 09 Jun 2017
About the author
|
|
Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
|
User Comments