プラスチックがなくなっても大丈夫:ムンバイーNGO団体の試み

 

Posted on 15 Mar 2018 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

不便をかえって追い風にしようとする行動に長けている人が、この国には本当に多いような気がします。



※Google Photosに「プラスチック」とタイプしたらなぜか呼び出されてきたのは、
リスボンのパステラリア(軽食店)の写真。
 

昨年末、ムンバイーやマハーラーシュトラ州全域が、プラスチックの使用を全面禁止する方向に舵を切り始めていることをお伝えした。

ムンバイーやマハーラーシュトラ州でもプラスチック使用の段階的禁止か - ASKSiddhi

本日付の「The Better India」ではこれに関連し、プラスチックを使用できなくなることを、むしろ生活に潤いをもたらすプラスの方向に転換しようとしている人たちの試みについて紹介していた。

Donate Scrap & Win Eco-Bag: This Idea is Helping Mumbaikars Say No to Plastic! - The Better India

ムンバイーの非政府組織、「Green Yatra」が展開する「Bag for Cause」では、家庭や企業、学校などで発生するプラスチックや使わなくなった電子機器などのリサイクル可能な廃棄物と、手製のジュートやコットン、その他の布でできたエコバッグを交換するという少し変わったキャンペーンを展開し、大成功を収めているという。

これまでに100トン以上の廃棄物を収集、2万枚以上のバッグを配布したというこのキャンペーンは、どのように回っているのだろうか。

まず、回収対象となる廃棄物は古新聞や古本、段ボールなどの紙類、ペットボトル、空き缶、金属スクラップ、使わなくなった家電製品やコンピュータ(タブレットや携帯電話を含む)、カメラ、おもちゃなど。
回収された廃棄物は、然るべき加工が行われるよう仕分けされ、産業廃棄物処理業者に引き渡される。

「Green Yatra」では廃棄物を回収する際、供出した家庭や企業に、買い物袋などに利用できるよう、コットンやジュートの丈夫なキャンバス地でできた手製バッグを進呈する。
このバッグ作りに活躍しているのが、農村部や都市の貧しい世帯出身の女性たちだ。
2012年からミシンの使い方などの職業訓練を実施、現在は1日に1人で15枚から100枚もバッグを製造できるようになり、月に1万ルピー以上稼ぐ人も出てくるなど、女性たちにとっては手に職をつけるきっかけとして機能している。

現在、同様のイニシアチブがムンバイーのほか、プネーやアーメダーバードでも展開されているようだ。
NGO団体では2018年末までに1,000名の女性活用と、今後数年以内にインド国内30都市での展開を目指している。

プラスチックの利用が全面的に禁止され、大幅に減少する頃には、味のある自然素材のバッグを作ることができる女性がたくさん誕生し、みんなが得をするようになっているという仕組みに、納得の循環を感じた。





        



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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