コルカタでドゥルガー・プージャーの余り物サリーで服作りをする女性

 

Posted on 01 Oct 2022 21:00 in ASKSiddhiサリー部 by Yoko Deshmukh

このようなブランドの発祥地は、やはりコルカタなんだな。



「The Better India」が、コルカタ最大の年中行事、ドゥルガー・プージャー(Durga Puja)で使用される膨大な量のサリーをアップサイクルしたアパレル各種を作っている女性について紹介しており、興味を引かれた。

Kolkata Girl Turns Old Sarees, Curtains & Even Durga Puja Pandals into Chic Clothes

そのブランドとは、「LataSita」だ。

LataSita

わたしは特に、サリーをぜいたくに使ったフレアスカートと、色鮮やかで着心地のよさそうなパーカに魅せられている。

コルカタのメガナ・ナヤク(Meghna Nayak)さんは、環境ジャーナリストになるためイギリスはコーンウォールのFalmouth Universityで学んでいた際、ファストファッション産業が社会や環境に与えている甚大な悪影響について知ることになる。

「The Better India」の取材に対し、メガナさんは当時、生産活動、特に電子機器、食品、衣料品がもたらす環境と人的コストに気づき、ファッションは、石油産業に次く2番目に大きな汚染源であることを知った。
「世界の水質汚染の20パーセントが、繊維産業から排出される汚染物質によるものだが、そのことを日常、どこかで買ってきた服を着ている我々が気づく機会はほとんどない」

国連環境計画によると、ファッション産業は世界の二酸化炭素排出量の最大10パーセントを占め、これはすべての国際航空便と海運を合わせた量を上回っている。
またブルームバーグの報告書によると、プラスチック生産量3億トンのうち、ファッション産業はその5分の1にのぼっている。

そこで2008年に大学を卒業したメガナさんは、帰国後コルカタの新聞社で働きながら、ファストファッションの悪影響について独自に調べ始めた。
10年以上前のインドでは、環境ジャーナリズムはあまりよく知られていなかった。

「当時、お気に入りだったブランドの多くは、大工場で労働搾取的で残酷な方法で、ほとんど人権を奪われた労働者を使っていたことが分かった。本当にショックで、強い不快感を覚えた。その後、ファッションのサプライチェーンに参入することで、自分なりに倫理的なファッション企業を運営するという課題について考え始めた」とメガナさんは語っている。

オーガニックコットンや手織り業などを検討したが、いずれも完全な持続可能性とは呼べない中、着目したのが「アップサイクル」という考え方だ。
特にインドでは、世代を超えて豪華な刺繍や布地を使ったサリーが受け継がれているが、いずれもほとんど着用される機会がない。
それを宝の山と見た。
幸い、女性たちが持ち込む不要なサリーやカーテン、シーツなどはもちろん、コルカタには大量のサリーを使って建てるドゥルガー・プージャーのパンダルがあり、原料には事欠かない。

商品は2,500ルピーから2万5,000ルピーまでの価格帯(平均3,500ルピーから8,000ルピー)で販売、二酸化炭素排出量は最小限に抑えられ、職人には十分に賃金を支払えるバランスを見つけたメガナさんの手掛ける作品は、いずれも順番待ちの人気商品となっている。

わずか10年前のインドでは、古着はあまり受け入れられなかったが、2022年の現在はかえって「クール」であると好意的に捉えられるようになってきていることも、事業の追い風になっている。

またメガナさんの事業に欠かせない腕利きの職人たちについては、金銭的な利益と損失のみを考えるのではなく、労働者の不当な賃金や労働条件を社会損失とみなし、手厚く対応している。
また環境に損害を与える化学染料や廃棄物は環境損失とみなし、経済を超えた社会的および環境的な純利益に向けて取り組んでいる、と話している。

現在は、ネットショップの準備中とのことで、とても待ち遠しい。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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