人々の生計手段を多様化し、治安を向上するオディシャ州のコーヒー栽培

 

Posted on 28 Feb 2021 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh

コラプート・コーヒー、気になります。



オリッサ州で、ダリット(Dalit)と呼ばれ、不当な扱いを受けがちな被差別層の人々を含む部族コミュニティーが、有機コーヒー農業によって生活が向上し、失われていた輝きを取り戻しつつあるという話題を、「The Hindu」紙面版で見つけた。

Livelihoods: smells the coffee

東ガーツ山脈の海抜3,000フィート(およそ915メートル)の地点にあり、美しい丘や小川で知られるコラプート(Koraput)県は、気候が比較的冷涼なためコーヒー栽培に適しており、およそ90年前の英領時代に、ジャイプル(Jeypore)のかつての王族によって、隣村のビカルコタ(Bichalkota)で実験的にプランテーションが導入された。
しかしその後、1950年代後半に周辺で水力発電所建設プロジェクトが始まると、資金の制約や政策ボトルネック、さらに左翼過激派の影響を受け治安が不安定だったこともあり、拡大しなかった。

そんなコラプート県で、近年再びコーヒー栽培が脚光を浴びている。
もともと数世代にもわたり移動耕作を続け、定住できずにいた部族たちにとって、コーヒーは希望の光だ。

実際、統合部族開発庁(Integrated Tribal Development Agency)のプロジェクト管理者、カル・ソレン(Karu Soren)氏によれば、この2年ほどの間に、部族やダリットのコミュニティから、荒れ地や共有地をコーヒー農園に変える手助けをして欲しいというリクエストが頻繁に寄せられるようになった。
ゴルールにはすでに、コーヒー栽培に携わる自助グループが3つほどあり、コーヒーチェリーの調達から種子の加工、包装、そして国際市場での販売まで、さまざまな部門が手を組む。

現在コラプート県では4,238ヘクタールの土地がコーヒー農園用地として確保されているが、潜在的な耕作地としてさらに14万5,170ヘクタールが想定されている。
なお隣接するアーンドラ・プラデーシュ州の同様の気候条件を持つ地域では、すでに7万1,356ヘクタールのコーヒー農園が確立されている。

2016年度に入り、コラプート県では、コーヒー栽培に関わるボトルネックを取り除くための単一プラットフォームとしての「コーヒー開発基金(Coffee Development Trust)」を設立、同県をコーヒーとスパイスの栽培ハブに変革する10年計画を立てた。
主に部族コミュニティからおよそ2万5,000世帯が、長期的な生計手段として正式にコーヒー栽培に関わっている。

しかし、作物への付加価値なしに耕作地を拡大しても意味がない。
かつて、生のコーヒーチェリーはアーンドラ・プラデーシュ州とカルナータカ州に輸送され、農家は1キロあたり35ルピーを収入としたが、調達価格は1キロあたり45ポンドまで上昇することもあった。

そこで、オディシャ部族開発協同組合(Tribal Development Co-operative Corporation of Odisha Ltd. 、TDCCOL)が、地域コーヒー委員会(Regional Coffee Board)からの技術支援を受けながら市場介入を行い、「コラプート・コーヒー(Koraput Coffee)」としてブランド化、オーガニック・コーヒーとして宣伝したところ、国内外で瞬く間にヒットし、現在は複数の電子商プラットフォームで販売されるようになった。

品質を維持するため、コーヒーの果実は収穫後すぐに果肉を除去し、種子は11日間天日干するなど、プロセス全体を国際基準と嗜好に準拠したものにしている。

一度は離業を考えていたコーヒー生産者も、消費者への直接販売により収入が向上するようになり、しかも収益は直接口座に振り込まれるため、安心してコーヒー生産を再開できるようになっている。

ただし州政策の下でコーヒー栽培を行うアーンドラ・プラデーシュ州と異なり、規模がまだ小さいコラプートは乗り越えるべき課題も多い。
そこで同県コーヒー局(Coffee Board)では、有機コラプート・コーヒーの持つ、他では決して得られない独特の豊かな味わいをアピールするなど、手を変え品を変えた努力をしている。

調達やマーケティングのネットワークを合理化し、農家に還元できるメリットをさらに向上するため、コラプートに加工ユニットを建設することも計画している。

コーヒー農園を皮切りに、これまで坂の多く耕作の困難だった地形を最大限に活かし、後進地域と呼ばれていた土地に住んでいたコラプートの部族やダリットなどのコミュニティの生計手段を多様化することで、紛争多発地帯に平和をもたらすことが最終的な目標だとしている。

本日最も読まれている記事
購入後半年で故障したフォッシルのスマートウォッチを巡る、意外な顛末 Posted on 16 Sep 2019
インド人の平均寿命と、女性の伸び率鈍化 Posted on 01 Oct 2019
ムンバイーで、よかれと思った行動でトホホな結末を招いたお騒がせセレブとは Posted on 21 Feb 2021
日本人と顔立ちがよく似た「セブン・シスターズ」北東部の女性、人種差別に立ち上がる Posted on 18 Mar 2017
プネーのみんな大好きイラーニー・カフェ店内で守るべきルールとは Posted on 24 Feb 2021


-----
なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。

=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※2月21日付けのメール、件名「インド政府によるインド入国時の検疫ガイドラインの改訂等」


【ポイント】
●2月17日、インド政府はインドに入国する際の検疫ガイドラインを改訂しました(適用開始は2月22日午後11時59分(インド時間))。これまでの「施設がある空港では、到着時に空港でRT-PCR検査を受けることが可能」とされていた措置が変更となり、一部の例外を除き、出発前72時間以内に受けたRT-PCR検査の陰性証明書を事前にデリー空港HPにオンラインで提出しなければ入国することができないこととされていますので、御留意願います。
なお、マハーラーシュトラ州内への入境について、特定州(デリー、ラジャスタン、グジャラート、ゴア及びケララ)からは陰性証明の取得が必要となっておりますので、特にご注意ください。

1 インド保健・家庭福祉省は、2月17日付で、国際線でインドに入国した場合の検疫に係るガイドライン(Guidelines for International Arrivals)を改訂しました(適用開始は2月22日午後11時59分(インド時間))。これまでの「施設がある空港では、到着時に空港でRT-PCR検査を受けることが可能」とされていた措置が変更となり、一部の例外を除き、出発前72時間以内に受けたRT-PCR検査の陰性証明書を事前にデリー空港HPにオンラインで提出しなければ入国することができないこととされていますので、御留意願います。

2 この改訂は、新型コロナウイルスの変異株が持ち込まれることを最小化することを目的に行われたものであり、英国や欧州、中東「発」の便に搭乗する者に対する検疫措置を強化するものとなっていますが、日本発を含むその他の国発の便についても、主に以下の検疫措置の変更が行われます。

(1)全てのインドへの入国者は、自己申告書(self declaration form)とともに、出発前72時間以内に受けたRT-PCR検査の陰性証明書を事前にデリー空港HPにオンラインで提出しなければならない。
(デリー空港HP)
https://www.newdelhiairport.in/
※同HP中、右上の「Air Suvidha」からオンラインによる提出が可能です。
(2)ただし、家族の死亡のためにインドに入国する者については、この例外となる。この場合には、インド到着時に空港の指定施設において検査を受けることとなる。
(3)マハーラーシュトラ州内への入境について、特定州(デリー、ラジャスタン、グジャラート、ゴア及びケララ)からは陰性証明の取得が必要となっておりますので、特にご注意ください。
(ムンバイ空港HP)
https://csmia.aero/covid-faqs.aspx
(インド保健・家庭福祉省 入国検疫ガイドライン)
https://www.mohfw.gov.in/pdf/Guidelinesforinternationalarrivals17022021.pdf
 なお、同ガイドラインでは、各州政府は、乗客がそれぞれの州に到着した後に、追加の検疫・停留措置をとり得るとされています。

3 日本外務省はインドについて「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」の感染症危険情報を発出しています。インドへの渡航を検討されている邦人の皆様におかれては、渡航の必要性や時期について慎重に御検討ください。
(新型コロナウイルス感染症に関する皆様へのお願い:当館ホームページ)
https://www.in.emb-japan.go.jp/PDF/20210201_Coronavirus_j.pdf
 また、以下のインド内務省入国管理局ホームページに、現在入国できる査証カテゴリーや査証取得手続き、事前の自己申告フォーム等の提出、入国後の自主隔離等、外国人の入国に関するインド政府のガイドラインが掲載されていますので御留意願います。
(インド内務省入国管理局ホームページ該当部分)
https://boi.gov.in/content/advisory-travel-and-visa-restrictions-related-covid-19-1

(各種情報が入手できるサイト)
インド政府広報局ホームページ
https://pib.gov.in/indexd.aspx
インド保健・家庭福祉省公式ツイッター
https://twitter.com/MoHFW_INDIA
インド入国管理局ホームページ
https://boi.gov.in/
在日インド大使館ホームページ
https://www.indembassy-tokyo.gov.in/jp/index_jp.html
外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/
厚生労働省ホームページ:新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
首相官邸ホームページ:新型コロナウイルス感染症に備えて
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

【問い合わせ先】
 在ムンバイ日本国総領事館領事班
 電話(91-22)2351-7101
 メール:ryoji@by.mofa.go.jp
※「たびレジ」簡易登録をされた方でメールの配信を停止したい方は,以下のURLから停止手続きをお願いします。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/simple/delete
=== 転載終わり ==


☆本日の1曲☆

 






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments