プネー人工知能企業社長の福岡初訪問記:第2日目の救世主

 

Posted on 19 Nov 2019 21:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh

改めて思い返してみても、あの日の展開は奇跡としか思えません。Lさんありがとう。



プネーで人工知能会社AA社を率いる、超名門カリフォルニア大学バークレー校卒という泣く子も黙る頭脳を持つ敏腕経営者なのに(だから)、高飛車なところは微塵もなく、穏やかで常に多方面への気配りも忘れないジェントルマンCEO、A2氏が福岡を初めて訪問した。

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ご滞在2日目は、今年2019年に幕開けした新元号「令和」の里としても全国から一躍注目を集めることになった太宰府にお連れすることを計画していた。

ただし太宰府は有名観光地だけあって食事処はどこも高い。
ランチ時には、いくらA2氏が食事代を出すと申し出てくださっているとは言え、無意味に高いところにお連れしたくはなかった。
そこで当初は、裏通りにあるのにこちらも地元に知らない者はない太宰府の隠れ名物、安いのにバカでかいが皮が薄くて甘く、ジューシーな餡がたっぷり入った「揚子江の豚まん」の、蒸したての熱々豚まんを3つぐらい調達し、店の前にある公民館のベンチに座って食べていただこう、などと至極まっとうに考えていた。

揚子江

しかし前日の「Awabar」から屋台へ流れた「A2氏を囲む夕べ」に付き合ってくださった同業の友人Lさんが、通訳ガイド業などを通じて太宰府にお詳しいことから、我々の計画を聞いて(心配して?)案内を買って出てくれることになった。

そこで、お疲れがだいぶ溜まっているA2氏と、朝はちょっとゆっくりめの午前11時にホテル前のタリーズコーヒーで待ち合わせると、薬院駅まで徒歩で移動、そこからLさん指定の駅まで西鉄電車に揺られた。
「Lさんと合流したら、まずは何か腹ごしらえをしよう」とおっしゃるA2氏のご希望、「ライスの上に肉とかなんかが乗っててタレがかかってるやつ」を伺った上で丼物を出す店を探したが、参道脇にすぐ見つかった。
案の定メニューは全般的に高額だったが、「東京価格より全然安いよ」とこちらもA2氏にごちそうになった。

なお、客人にお金を出させるという体験に慣れていないわたしは行く先々で大変恐縮してしまうのだが、「会社の出張経費として落とせるから」とどこへ行っても勘定を渡してくれなかった。

さて、Lさんは「静かで落ち着ける場所がいい」というA2さんご希望をしっかり汲み取った完璧なプランを立ててくれていた。
まずはメインとも言える太宰府天満宮を尻目に、光明禅寺に我々を誘った。
この寺は苔寺とも呼ばれる風情ある庭が素晴らしく、特に今の時期は楓の葉が徐々に色づき始める瞬間の美を、縁側に腰掛けしばし時間を忘れて堪能することができた。

続いて太宰府天満宮の方向に進んで行くことになるのだが、Lさんは様々な太宰府にまつわるトリビアネタを繰り出しつつ我々を楽しませてくれながら、やはり多くの参拝客で行列する本殿は素通りで、ずんずん山の方へ進んで行く。

途中、「給仕として立ち働く美しい娘『お石(いし)』に心を奪われる男性が後を絶たず、彼女に一刻も早く会いたいというだけの理由で茶店に続くトンネルまで掘る酔狂も現れた」という伝説(とトンネル)が残る、その名も「お石茶屋」を通りかかった。
店内に残るお石さんの写真を眺めてから、「美の基準は時代とともに大きく変化するものだ」などと(失礼極まりない)議論をひとしきり交わしつつ、急な斜面にずらりと並ぶ赤鳥居群を目指す。

ここは天開(てんかい)稲荷神社として、本殿は比較的よく知られているようなのだが(わたしはまったく知らなかった)、その背後のさらに急な段を上がると、巨石に囲まれた小さな洞穴の中に奥の院と呼ばれる石室が鎮座するパワースポットがある。
特に商売繁盛にご利益があるということで、前日に「神を信じない」と断言していたA2氏も、驚嘆しつつ神妙な顔をされていたのが印象的だった。
さすがLさんである。

本当は重要史跡であり、圧巻な眺めが必見となっている大宰府政庁跡(都府楼跡、大和朝廷時代の重要な外交・軍事・貿易拠点)にも連れて行ってくださる予定だったが、意外と時間が押してしまい今回は泣く泣く断念した。
帰りに、「令和」と書かれたクリアファイルと、太宰府案内までお土産でくださったLさんの気遣いに泣いた。

彼女が一緒にいてくれたおかげで、我々の太宰府訪問は、かけがえのない一生の思い出に残るひとときとなった。

続く。

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Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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