2012年3月、その前月まで現地採用で勤めていたソフトウェア会社を退職し、フリーランスになった記念に購入したヤマハ(YAMAHA)のクラビノーバ(Clavinova CLP-430)。
以来7年ほど、プネーにいる間はほぼ毎日30分から1時間ほど弾いてきたが、ここ数年、特に福岡に数カ月ほど滞在してから帰ってきて弾いてみると、音質の劣化(音がくぐもる感じ)をじわじわと実感していた。
毎回弾き終わったら電源ケーブルはプラグから抜いて、鍵盤や天板、ペダルなどはきれいに拭き、使っていない時には布で全体を覆っていたのだが、それでも細かい埃や湿気が内部に入り込んでしまっていたのだろう。
特に今月、ほぼ2カ月半ぶりにプネーに戻って弾いてみると、これまでよりもひどい音質の劣化と、いくつかの鍵盤が押しても戻らない重篤な症状が発現していた。
実は1年ほど前から、修理に来てくれるところを探していた。
インドのヤマハに電話しても、無回答または「購入店に聞け」、そこで購入店のフルタド(Furtados)に問い合わせて教えてもらった下町の「YAMAHA公認」と謳う修理センターは、何度説明しても懇願しても、「持ち込みしか受け付けていない」との塩対応。
重量60キログラムもあるクラビノーバをどうやって持ち込めと言うのか。
しかも持ち込んでも「修理できる保証はない」とのこと。
アコースティックもデジタルも楽器が揃う「フルタド」。
2カ月ほど前、チェンナイにヤマハ楽器工場ができたという朗報が駆け巡っていたが、アフターサービス対応も少しは改善されるのだろうか。
ヤマハの対応の悪さは既にプネーでは定説になっている。
周囲の人に尋ねたり、Facebookなどの掲示板に投稿したりして、ほうぼう探したところ、ようやく、ある音楽の先生の連絡先に辿り着いたのが先週のこと。
まずはその方が自宅に来てクラビノーバの状態を見てくれるということだったので、指定された時間に待機していたが、案の定お見えにならず、代わって教えてくれたのが、電子ピアノからアンプまで、電子楽器全般の修理を専門にしている「Suresh(スレーシュ)さん」という方だった。
さっそく電話をかけてみたところ、どんな症状で困っているのか、誠実に話を聞いてくれた。
そして指定した訪問日時をきっちり守って現れたスレーシュさん。
まずはクラビノーバの天板を外して内部を検分した。
原因はやはり、機械に入り込んだ埃と湿気で、7年分の大掃除が必要とのことだった。

7年分の埃がみっしり。
その日は状態を見ただけで、クラビノーバの鍵盤部分のみ取り外して持ち帰り、詳しく検査するということだった。
翌日、ピカピカに磨き上げられた鍵盤とともに戻って来たスレーシュさんは、ICチップなどの繊細な機器の集まる機械内部を掃除機と柔らかいブラシで丁寧に清掃し、乾いた布で拭き上げてから、元通りにまた組み立てた。
さっそく試弾してみると、まるで新品の頃のような弾き心地に戻っていて、心底感動したことは言うまでもない。
一連の作業からは、楽器に対する愛情を感じ取ることができる。
連絡もきちんとしていて、とても信頼できる人だった。

掃除を終えてきれいになったクラビノーバを組み立て。
料金は以上のサービス内容、正味2日というスピーディー対応で3,500ルピー。
4,000ルピーしか持ち合わせがなかったので、500ルピーをお礼として渡そうとしたけど、きちんと返してくれた。
今後はスレーシュさんに半年おきに来てもらって、点検してもらうつもりだ。
☆プネーで信頼できる電子楽器の修理屋さん、スレーシュさんの電話番号(本人了承済み)
+91-98228-55922
(※英語のみ。言葉に自信がない場合はわたくし宛てにご連絡くだされば、取り次ぎします)
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