インド外相、環境への取り組みに対するトランプの非難に応酬
Posted on 06 Jun 2017 23:00 in インドの政治 by Yoko Deshmukh
昨日に引き続き、頭の回転の速そうなスワラジ外相の話題です。
*At Lavasa in 2010, the year Monsoon was very powerful.
Pune has entered Monsoon season already this year,
I hope there would be enough rain.
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、気候変動に関するパリ協定に署名する代償としてインドが「数十億ドル」を受け取ったなどと非難していることに関して、昨日ASKSiddhiでも取り上げた、迅速な行動が光るスシマ・スワラジ(Sushma Swaraj)外相をはじめとするインド政府が反論の上で応酬していると、CNNなど複数のメディアが報じている。
India hits back at Trump in war of words over climate change - CNN
「まず、(トランプの主張には)全く現実味がない」とスワラジ大臣は報道陣に語った。
「インドは、いかなる国からの圧力によるものでも我欲のためでもなく、環境保全への取り組みを確約するため、協定に調印した」と述べている。
トランプ氏は先週、パリ協定からのアメリカ合衆国の脱退を発表するスピーチの中で、インドについて「先進国からの(数十億ドル相当の)多額の国際援助を受けることを条件に(パリ協定に)参加しているのだ(India makes its participation contingent on receiving billions and billions and billions of dollars in foreign aid from developed countries)」と主張していた。
CNNの記事では、トランプの非難と現実のデータとを冷静に対照している。
インドは確かに化石燃料、特に高い石炭生産量を誇ることから、総発電量の3分の2近くを大気汚染が著しい火力発電に頼っている。
しかしインド政府は2020年までに100ギガワットの太陽光発電能力を備える取り組みをはじめとして、2030年までに総発電量の4割を再生可能エネルギーに置き換えることを目標としている。
インドは中国とアメリカに次ぐ二酸化炭素排出国となっている。
ただし1人当たりの排出量を見ると、世界128位という低い水準である点も特筆できる。
スワラジ大臣は、インドが古来から持つ自然界への深い宗教的親和性をたとえに、自国の環境への取り組みを強く訴えた。
「川や山、木に対する崇拝は、インドの文化的な遺産でもあり、アメリカがどういった態度を取ろうが、インドはパリ協定に留まる」
ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)インド首相は2015年、パリ協定が広く合意を集めた時点で、「民主主義国家であるインドは、いまだエネルギーを享受できていない3億人を含めた人口12億5,000万人の需要を満たすために、急速な成長が必要だ」として、先進国こそ炭素排出削減に対するより重い負担を担う必要があると主張していた。
ただし3日、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)フランス大統領との会見の場で、「パリ協定を超えた協力」を誓っている。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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