※2015年12月に訪れた北海道の旭山動物園にいた、寒そうなゴリラさん。
 

ASKSiddhiで紹介したい話題の出典は、なるべく偏りがないようにしたいと思っているが、最近は「The Better India」にお世話になってばかりだ。

「The Better India」は、いわゆる国家礼賛的な話題ばかりではなく、昨日取り上げたような、北東部の人たちに対する人種差別の存在にきちんと光を当て、その中にもポジティブな動きを見い出そうとしているところが、わたしの理想とするところに合っている。
「The Better India」は現在、NGO団体として様々な社会活動にも従事しており、そんじょそこらのニュースメディアなどよりも、よほど信頼できる情報源ではないかと思っている。

その「The Better India」が、またしてもとても興味深い話題を取り上げていた。
南インドの高原地帯、クーノール（Kurnool）県にあるジュレール渓谷（Jurreru Valley）で、7万4000年前にさかのぼる人類の祖先が暮らしていた可能性があるということだ。

Heard of Ramapithecus and Sivapithecus? Here’s the Story of India’s Earliest Human Inhabitants!

そのころの南部アジア地域は、インドネシアのスマトラ島にあった超巨大火山、トバ火山の大噴火の影響で、上空が厚い火山灰に覆われて太陽光が地表に届きにくくなり地球が寒冷化、人類は絶滅の危機に瀕していた。

ところが近年、ジュレール渓谷での発掘調査で見つかった石器から、噴火前からこの付近に現生人類の祖先が生活していたかもしれないという説が浮上した。
考古学者や科学者らは、この石器（同時代にアフリカの現生人類の祖先が作っていたものと非常に類似している）が現生人類（新人）の手によるものなのか、あるいは絶滅した種の人類のものなのかを特定するため、大きな手掛かりとなる遺骨を探している。

この発見は、アフリカで誕生した現生人類最初の大移動が、アラビア半島を経てインド亜大陸を通り抜け、オーストラリアに至ったとする、オックスフォード大学のMichael Petraglia教授がサイエンス誌に発表した「南のルート」説を裏付ける大きな材料になる。

インド亜大陸に最初に住み着いた霊長類の仲間とされているのが、1,230万年前に主に樹上生活していたその名も「シバピテクス（Sivapithecus）」と「ラマピテクス（Ramapithecus）」というチンパンジーに似た類人猿だ。

続いて、600万年～900万年前に生息したとされる大型の地上猿類（Gigantopithecus bilaspurensis）の化石も見つかっている。

インドで発見されたホモ・エレクトス（現代人の祖先）の化石のうち、最も初期のものは、1982年にマディヤ・プラデーシュ州ハツノラ（Hathnora）村付近のナルマダ川のほとりで、アルン・ソナキア（Arun Sonakia）さんという地質学者が発見したナルマダ人だ。
わたしは学校で習った記憶がある。

以来、人類の進化と結びつく化石は、インドを含む南アジア地域では発見されておらず、数十万年分の空白の間に、現生人類と絶滅した人類に何が起こったのかは、依然として謎に包まれたままだ。

それにしても、「The Better India」の記事で羅列されている、その他の古生物の化石の名前が気になって仕方ない；
Stegodon ganesa（絶滅した現生ゾウの兄弟種）、Rajasauras narmadensis（インドに生息した恐竜）、Sanajeh indicus（恐竜を捕食したヘビ）、Himalayacetus（シームラーで発見されたヒマラヤのクジラ）

また、デカン高原が世界最大の溶岩流の塊だったことも初めて知った。
改めてインドの超歴史に興味関心を呼び起こしてくれる記事だった。