プネ:野良犬たちの保護に生きがいを見い出す60代の夫婦

 

Posted on 31 Jan 2017 23:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

衣食住が満足していないのは人間もだという現実もあり、確かにそのことを考えると何と言っていいか分からないですが、命を尊ぶ気持ちはすごく伝わってきました。



※このこはリスボンの路上で見かけた。しかも野良じゃない。

わたしは犬や猫などの動物が大好きで、特に路上の野良たちと少しずつ仲良くなることを、ちょっと楽しみにしている。

インドと言えば狂犬病が蔓延しているイメージがあり、予防接種を受けてくる旅行者や出張者も多いと思うが、わたしはインド渡航歴15年あまり、在住歴13年あまりで、一度も予防接種の類を受けてきたことがなく、幸いにして野良犬に追いかけられたことすらない。
もちろん、様子のおかしそうな犬には近寄らないし、夜行性の彼らが活発になる時間帯は、あまり人通りの少ないところを出歩かないようにということを原則としているが。

そんな昨日、「The Better India」で、事故で息子を亡くし、辛く癒えない悲しみをきっかけに、2007年ごろからプネの野良動物たちの世話をすることで、ようやく生きがいを見い出したご夫妻の話が掲載されていた。

After Her Son’s Death, This Pune Woman Decided to Open Her Heart and Home to Injured Animals - The Better India

きっと、プネの路上で見かける犬や猫たちが温厚でフレンドリーなのは、このご夫妻のおかげも大きいかもしれない。

スタンプ(Stump)夫妻は、怪我をしたり飢えていたりする動物たちを自宅で引き取り、世話をし、里親を探すという活動をずっと続けている。

きっかけは、当時27歳だった亡くなった息子のことを考えて気持ちがふさぎがちだった夫人が、たまたま散歩に出かけると、じっとこちらを見ている子犬が目に入った。
その子犬を抱き上げた瞬間、不思議と生きる意味を実感できたのだという。

現在、外科医の夫と、子供たちの住むドバイとプネを往復する生活の妻とは、自分の時間を完全に犠牲にして、動物愛護団体「Mission Possible」を運営、延べ数百頭もの動物たちを保護してきた。
医師など幅広い有志が、治療やワクチン接種、飼育、里親探し、また虐待者の通報などの活動を手分けして行っている。
寄付でまかなえない費用は夫妻がやりくりして捻出、さらに2人とも60代に差しかかり、体力的にもきついときもあるという。

しかし、ボランティアとして支えてくれる仲間の存在が大きな支えとなっている。
よりたくさんの動物たちを保護し、手当できるようにと、郊外のサスワード(Saswad)付近に土地の寄贈まで受け、これから施設の建設を予定しているという。

さらに、インドでも血統書付きの犬をお金を出して買うことがステータスのような時代が到来しつつあるが、夫妻はインドの気候や病気に適応能力がある土着品種を育てることも計画している。

ふだんから思うことだが、このような社会活動を継続するには、相当の精神力と人望、指導力が必要だ。
そして、わたしの言う「動物好き」とはケタの違う、深い愛情を持った人たちなんだろう。

このご夫妻のおかげで、わたしは今日も顔なじみの野良犬と遊んでいる。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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